重賞ウィナーレポート

2023年09月18日 セントライト記念 G2

2023年09月18日 中山競馬場 晴 良 芝 2200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:レーベンスティール

プロフィール

生年月日
2020年03月08日 03歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:6戦3勝
総収得賞金
84,059,000円
リアルスティール
母 (母父)
トウカイライフ  by  トウカイテイオー
馬主
(有) キャロットファーム
生産者
広富牧場 (門別)
調教師
田中 博康
騎手
J.モレイラ
  • セプテンバーセールで取引されたときのレーベンスティール
    セプテンバーセールで取引されたときのレーベンスティール
  • 殊勲の母トウカイライフ
    殊勲の母トウカイライフ
  • 広富牧場エントランス
    広富牧場エントランス
  • きれいに整備されている厩舎まわり
    きれいに整備されている厩舎まわり

 菊花賞(G1)への優先出走権をかけた第77回朝日杯セントライト記念(G2)が9月18日、中山競馬場で行われ、日高町の広富牧場生産で、北海道市場セプテンバーセール出身の2番人気レーベンスティールが優勝。通算成績を6戦3勝2着2回3着1回とした。手綱を取ったジョアン・モレイラ騎手にとっては2018年R-NIKKEI杯京都2歳S(G3)(優勝馬クラージェゲリエ)以来のJRA重賞勝利で、JRA重賞は通算5勝目。管理する田中博康調教師にとっては今年の函館記念(G3) (優勝馬ローシャムパーク)以来の重賞勝利で通算4勝目となった。

 広富牧場は1973年(昭和48年)創業。現在代表を務める高橋裕子さんの亡夫で東京農大出身の修さんによって牧場の歴史がスタートし、現在は長女の三千代さんを中心に3人のスタッフで20数頭の繁殖牝馬を管理しているが、「繁殖牝馬はしっかりと休ませます」と年間の生産頭数は14-5頭。親身になってくれる獣医師、装蹄師の意見や、土壌検査、草地管理などをしてくれる業者と一緒になって丁寧な馬づくりを続けている牧場だ。

 JRA重賞勝利は1988年小倉3歳S(G3)(優勝馬ダンデイアポロ)以来2回目。レース当日、三千代さんは久しぶりに集まった大学時代の先輩、友人と牧場テレビから応援していたそうだ。「大先輩はじめ、かつての仲間たちが集まることは2か月前から決まっていたことなんです。なので、競馬場には市場コンサイニングを担当してもらった兄(髙橋司さん=(株)B.C.S代表)に足を運んでもらいました」と当日のエピソードを話してくれた。

 「ゴール前は(1番人気で2着の)ソールオリエンスばかりを見ていたので、実はゴール板を通過した瞬間は見ていないのです」と少し照れ臭そうにレースを振り返りながら「このファミリーは決して易しい血統ではないと思うのですが、根気よく付き合っていけば理解しあえる賢い馬。今、こうして活躍できているのは、私たちの手を離れたあとのノーザンファーム、田中博康厩舎の方々のおかげと感謝しています」と笑顔を広げた。

 母トウカイライフも、祖母のファヴォリも広富牧場の生産馬だ。「3代母ベイリーフスイータを近隣の牧場から譲り受けてきたのが最初です。母トウカイライフは結果的には重賞競走にも出走してくれた馬ですが、初勝利まで10戦を要した馬。祖母のファヴォリも11戦目が初勝利でした。今、レーベンスティールがいるのは諦めなかった方々のおかげだと思いますし、快く牧場に戻していただいたオーナーには本当に感謝しています」と感謝の言葉を続けた。

 そんなレーベンスティールの牧場時代は「仲間たちとコミュニケーションをとるのが上手で、面倒見の良い馬」だったそうだが、「馬としては成長曲線がゆっくり目」。そのため「サマーセールへの上場も考えなかったといえば嘘になりますが、期待して買っていただくオーナーのためにも、夏が終わるまでしっかりと夜間放牧をしたかった」とセプテンバーセールへの上場を決めたそうだ。

 結果は、高額5位タイとなる20,900,000円でノーザンファームによって落札され、クラブ法人キャロットクラブの馬としてデビューすることになる。「たくさんの方々が関わって、そして創りあげられたと改めて思います。レーベンスティールという名前はドイツ語で生き様という意味。素晴らしい名前をいただきましたので、レーベンスティールなりの生き様を見せてくれるような競走生活を送って欲しいと思います」と期待している。