重賞ウィナーレポート

2023年09月09日 紫苑S G2

2023年09月09日 中山競馬場 晴 稍重 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:モリアーナ

プロフィール

生年月日
2020年03月02日 03歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:7戦3勝
総収得賞金
128,306,000円
エピファネイア
母 (母父)
ガルデルスリール  by  ダイワメジャー
馬主
高橋 文男
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
武藤 善則
騎手
横山 典弘

 2歳の阪神JF(G1)以来、5度目の挑戦にして初めて重賞タイトルを勝ち取ったモリアーナ。2歳時は6月のメイクデビュー東京に加えて、8月には札幌競馬場で行われたコスモス賞も勝利しており、その年の阪神JF(G1)では2番人気の支持も集めていた。

 「乗り味が良かった上に、体幹も強く、調教は至って順調に進められました。ただ、気性が前向きかつ、首の力も強かったので、普段は馬房の中で行う初期馴致も、馬や人に何かあっては困ると思い、広い場所を求めてロンギ場で行っていました」とはノーザンファーム空港の東谷智司厩舎長。新潟2歳S(G3)でも育成馬のアスコリピチェーノが勝利しており、育成馬としては中1週での重賞制覇ともなった。

 その際には、アスコリピチェーノを管理する、黒岩調教師とのコミュニケーションの良さを語ってくれた東谷厩舎長であるが、モリアーナを管理している武藤善則調教師とも、普段から頻繁に連絡を取り合えるような関係性があった。

 「メイクデビューを使った後に、気持ちの入りやすい馬であることを考慮して、コスモス賞の出走を考えてくれたのも武藤先生でした。その時もモリアーナはここで調整していただけでなく、紫苑S(G2)もNHKマイルC(G1)の出走後から牧場で管理を始めて、レースの3週間前まではこちらにいました」(東谷厩舎長)

 近年、レースに出走する馬は「外厩」とも呼ばれる、美浦や栗東の近郊にある牧場で調整される流れが出来上がっていることを考えると、ここまで北海道の牧場で管理されていたのは異例とも言える。それを可能としたのは、武藤調教師が頻繁にノーザンファーム空港へと足を運び、モリアーナの状態を常に把握していただけでなく、東谷厩舎長や牧場スタッフたちも、レースを意識した仕上げでその期待に応えていた。

 「紫苑S(G2)の前に送り出した際に、先生から『去年の夏よりも更に良くなってます』と言われた時は嬉しかったです。今回は初めての芝2000mとなりましたが、コスモス賞のレース内容からしても、距離はこなせると思っていました。またここでひと夏を越したことで、心身ともに成長を遂げた感もあっただけに、いいレースをしてくれないかなとの期待はかなりありました」(東谷厩舎長)

 春のクラシック戦線を沸かした馬だけでなく、連勝でこの舞台に臨んだ夏の上がり馬も顔を揃えるなど、多彩な顔ぶれとなった今年の紫苑S(G2)だが、後方待機策から直線では鮮やかな末脚で馬群を抜け出してくると、先に抜け出したヒップホップソウルを半馬身差交わしての優勝。鞍上の横山典弘騎手は、この勝利でJRA重賞最年長勝利(55歳6か月18日)を更新した。

 「横山騎手も上手く進路を見つけて抜け出してくれましたが、モリアーナもその手綱捌きに答えてくれました。同じ牧場にも強い馬が何頭もいますが、今のモリアーナならG1でも十分に戦えると思います」(東谷厩舎長)

 レースの後に牧場へ喜びの言葉を伝えに来た武藤調教師は、東谷厩舎長や牧場スタッフの労をねぎらうべく、祝勝会を開いてくれたという。牧場と厩舎の繋がりの強さがもたらしたと言える、今回の重賞勝利だが、次走の秋華賞(G1)でも、その繋がりの強さを糧として、モリアーナはG1タイトルへと向かっていく。