重賞ウィナーレポート

2023年08月27日 新潟2歳S G3

2023年08月27日 新潟競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:アスコリピチェーノ

プロフィール

生年月日
2021年02月24日 02歳
性別/毛色
牝/黒鹿毛
戦績
国内:2戦2勝
総収得賞金
168,544,000円
ダイワメジャー
母 (母父)
アスコルティ  by  Danehill Dancer(IRE)
馬主
(有) サンデーレーシング
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
黒岩 陽一
騎手
北村 宏司

 この取材をしていて思うことだが、育成厩舎と所属厩舎の相性の良さは間違いなくある。2019年の紫苑S(G3)を優勝したパッシングスルーと、今年の新潟2歳S(G3)を優勝したアスコリピチェーノは、共に美浦の黒岩陽一厩舎の管理馬であり、そして、ノーザンファーム空港牧場の旧A3厩舎の育成馬となる。

 現在はA4厩舎の管理を任されている東谷智司厩舎長は、黒岩調教師について、「頻繁に連絡を取り合っているだけでなく、こちらが意図して調教してきたことについても、先生は馬の状態を通じて理解してくれています」と関係性の良さを話してくれる。このコンビでは2頭目の重賞制覇となったアスコリピチェーノに関しても、「切れのある末脚が武器となっていますが、ダイワメジャー産駒らしい前向きなスイッチが入りやすくもなっていたので、先生もそれを意図しながら調教を進めてくれていました」と重賞制覇に至るまでの経緯を教えてくれる。気性はダイワメジャー特有の前向きさはありながらも、その父から遺伝されたスピードを先行力ではなく、末脚の鋭さへと転換したアスコリピチェーノであるが、それは東谷厩舎長の元で管理されていた頃から示していた才能でもあった。

 「調教での動きの良さからしても、いい脚を持っているなと早い時期から感じていました。イヤリングから移動してくる時期は、他の馬よりも遅くはなりましたが、その後の調教は至って順調に進めることができたので、春先には本州へと送り出すことができました」(東谷厩舎長)

 6月のメイクデビュー東京。単勝1.7倍という圧倒的な人気に支持されたアスコリピチェーノは、まずまずのスタートを切ったにも関わらず、馬群の中団より後方からレースを進めていく。

 「ダイワメジャー産駒だけに、前で競馬をしていると思っていました。馬群の中に入ってしまった感もあった中で、前が開いてから、あれだけの脚を使ってきたのは驚きでした」(東谷厩舎長)

 最後の直線では鞍上のC.ルメール騎手に促される形で、馬場の中央に進路を向けたアスコリピチェーノは、そこから一気に加速。粘り切りを図る先行馬たちを並ぶ間もなく差し切ってみせた。

 続く新潟2歳S(G3)でも一番人気の支持を集めたアスコリピチェーノは、北村宏司騎手に手綱が変わったものの、そこでも末脚の鋭さは健在だった。外枠からじわっとスタートを切ってからは、先行勢をマークするポジションで、新潟の長い直線へと向かっていく。

 先に抜け出したのは逃げ切りを図るショウナンマヌエラ。だが、アスコリピチェーノは末脚を伸ばしていき、ゴール前ではまさに図ったかのように差し切りを決める。

 「北村騎手が末脚を引き出す騎乗をしてくれました。馬の折り合いも付いていたのは、黒岩先生や厩舎の皆さん、そしてノーザンファーム天栄のスタッフの努力も大きかったと思います」(東谷厩舎長)

 レースの後、黒岩調教師は東谷厩舎長や牧場スタッフの元を訪ねて、祝勝会を開いてくれたという。

 「僕らにも気をかけてくれている先生には感謝しかありません。また、先生と喜びを分かち合えるような活躍を、アスコリピチェーノには期待しています」(東谷厩舎長)

 この後は阪神JF(G1)を目指すことが、サンデーレーシングのホームページで発表されたアスコリピチェーノだが、次の祝勝会は更に盛大に行われるのかもしれない。