2023年07月23日 中京記念 G3
優勝馬:セルバーグ
プロフィール
- 生年月日
- 2019年04月12日 04歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:14戦5勝
- 総収得賞金
- 115,084,000円
- 父
- エピファネイア
- 母 (母父)
- エナチャン by キンシャサノキセキ(AUS)
- 馬主
- 桑畑 夏美
- 生産者
- 前谷 武志 (静内)
- 調教師
- 鈴木 孝志
- 騎手
- 松山 弘平
「サラブレッドは人間が創り上げた最高の芸術品。そして、競馬はヒトとウマが織りなすキングオブスポーツ」。久しぶりに、そんな言葉を思い出した。
7月23日、中京競馬場で行われた第71回中京記念(G3)を勝ったのは新ひだか町豊畑にある前谷牧場生産のセルバーグ。前走の米子ステークスが2桁着順だっただけにレース前の評価は8番人気だったが、松山騎手の叱咤激励に応えるようにハナを奪うと道中は後続に1~2馬身程度のリードを取り、そのまま1度も後続に並ばれることなく先頭ゴールインを果たしている。これがデビュー14戦目の重賞初勝利。生産した前谷牧場にとっては2018年の日経賞(G2)に勝ったガンコ以来、5年ぶりの重賞勝利。戦後間もないころから軽種馬生産をスタートさせたという前谷牧場は、心身ともに丈夫で、強く健康な競走馬を生産することを目標にしている中堅牧場。年間20頭前後の生産馬を家族だけで管理している。セルバーグは、そんな前谷牧場にとっては4頭目のJRA重賞勝ち馬となった。
「レースは牧場で見ていたのですが、テレビの画面越しにも気持ちよさそうに逃げているなと思いましたし、4コーナーを回って直線に向いたときも脚色がしっかりしていましたから、これならと思いましたが、やっぱり競馬ですから。ゴールするまでは安心はできませんでした」と笑顔でレースを振り返ってくれたのは前谷卓也牧場代表。セルバーグの生産者であり、実父の前谷武志氏とともに法人化した前谷牧場の若き代表だ。かつては馬術選手としてインターハイに出場し、また大学を卒業後はダーレー・ジャパン・ファームに就職。オーストラリアでの実習経験も持つホースマンだ。
そんな前谷さんが「この勝利は、馬が、桑畑オーナーに恩返ししてくれたのだと思います」とぽつり。「牧場に大きなタイトルを届けてくれた馬には感謝しかありません」と喜びを語ってくれた。
「(セルバーグの母)エナチャンは桑畑オーナーにとってはとても思い入れがある馬なのです。重い病気(蹄葉炎)を患ってはいますが、獣医師や装蹄師の方たちのおかげで、現在は繁殖牝馬として生活を送っています。牧場に足を運んでいただき、セルバーグと初めて対面されたときのオーナーの顔は忘れられません」というものの、日々管理するのは前谷さん。その気苦労は計り知れない。
「馬が勝ったとき、本当にたくさんの方々からお祝いの言葉や品々をいただきました。嬉しかったですし、励みになりました。でも、この勝利はエナチャンを助けてくれた方々や、セルバーグを逞しく育ててくれた人たちのおかげだと思っています。これからもセルバーグの無事と活躍を期待しながら、セルバーグに負けないような馬を送り出したいと思います」とインタビューを締めくくってくれた。