重賞ウィナーレポート

2023年07月09日 七夕賞 G3

2023年07月09日 福島競馬場 曇 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:セイウンハーデス

プロフィール

生年月日
2019年04月08日 04歳
性別/毛色
牡/黒鹿毛
戦績
国内:11戦4勝
総収得賞金
126,084,000円
シルバーステート
母 (母父)
ハイノリッジ  by  マンハッタンカフェ
馬主
西山 茂行
生産者
鮫川 啓一 (荻伏)
調教師
橋口 慎介
騎手
幸 英明

 夏の福島開催を代表する「第59回七夕賞(G3)」が7月9日、福島競馬場で行われ幸英明騎手騎乗の2番人気セイウンハーデス(牡4歳)が1分59秒8(良)で優勝した。橋口慎介調教師にとっては2018年に京都競馬場で行われたJBCスプリント(Jpn1)(優勝馬グレイスフルリープ)以来の重賞勝利で通算2勝目。幸騎手にとっては今年のファルコンS(G3)(優勝馬タマモブラックタイ)以来の重賞勝利で通算45勝目。新冠町の優駿スタリオンステーションで種牡馬生活を送る父のシルバーステートにとっては今年のニュージーランドトロフィー(G2)(優勝馬エエヤン)以来の重賞勝利となった。

 セイウンハーデスの生まれ故郷は浦河町の鮫川啓一牧場。1967年に鮫川三千男さんによって設立された牧場で、半世紀以上の歴史がある。その歴史の中でダービー馬カツラノハイセイコや2019年のNARグランプリ年度代表馬ブルドッグボス、チューリップ賞(G3)など重賞4勝オースミハルカなどを送り出してきた。JRA重賞勝利は2008年新潟大賞典(Jpn3)(優勝馬オースミグラスワン)以来となった。

 「今回は、競馬場で応援させてもらいました」と鮫川代表。競馬場での再会は昨年の菊花賞(G1)以来とのことだったが、力強い踏み込みで落ち着いて周回を重ねる同馬に「厩舎関係者の方々がずいぶんと工夫をしてくださり、精神的にずいぶんと大人になったなぁ」という感想を抱いたそうだ。

 母ハイノリッジも鮫川さんの生産馬。「受胎もよく、子育ても上手な馬」だそうで、母系は代々大切にしているトサモアー(1955年啓衆社賞最優秀3歳牝馬)にさかのぼる。4代母ランズプロントからずっと鮫川さんの牧場で生まれているファミリーだ。

 「母ハイノリッジ(父マンハッタンカフェ)に限ったことではないのですが、当時、牧場ではサンデーサイレンスのクロスをどのように取り込むのかというのは大きなテーマでした。セイウンハーデスの1歳年上にトゥザグローリーの牝馬がいるのですが、この馬もサンデーサイレンスのクロスを持っていますが、自分の中では評価の高い馬だったんです。それで直父系で、福永騎手が高い評価を口にしていたシルバーステートを選びました」と鮫川さん。

 そうして生まれたセイウンハーデスは「自分の中では納得できる馬」だったそうだで、その後も理想的な成長曲線を描いて牧場を訪れる人から「あの馬はなんですか」と聞かれることが多い馬に育ったそうだ。今回の勝利を「期待してくださったオーナーの気持ちに応えてくれたことが嬉しいし、ほっとしている」と述べた鮫川さん。「ダービー馬(カツラノハイセイコ)の生産牧場と言われることが多いのですが、自分を初めてダービー(G1)の舞台へと連れて行ってくれたのはセイウンハーデスです。出走するだけでうれしかったのですが、出走すれば欲も出るし、負ければ悔しい。もっと頑張らなければと思いました」と前を向いている。今年、母ハイノリッジはシルバーステートを父に持つ牝馬を無事に生んでくれたそうだ。「この馬も競走馬としてはもちろんですが、繁殖牝馬としても期待しています」と夢を広げている。