重賞ウィナーレポート

2023年05月21日 オークス G1

2023年05月21日 東京競馬場 晴 良 芝 2400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:リバティアイランド

プロフィール

生年月日
2020年02月02日 03歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:5戦4勝
総収得賞金
744,440,000円
ドゥラメンテ
母 (母父)
ヤンキーローズ(AUS)  by  All American(AUS)
馬主
(有) サンデーレーシング
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
中内田 充正
騎手
川田 将雅

 桜花賞(G1)では後方3番手から、前にいる15頭を一気に交わし去る豪脚で優勝。二冠がかかったこのオークス(G1)でも、単勝1.4倍という圧倒的な支持を集めていたリバティアイランドではあったが、育成を手掛けてきた佐藤信乃介厩舎長は、初めての芝2400mという距離に、幾ばくかの不安を持っていた。

 「育成時の印象としてもテンションの上がりやすい馬であり、前走(桜花賞(G1))から間隔も詰まったことで、スイッチが入った時に我慢ができるのかと思っていました。ただ、中間を管理してくれていたノーザンファームしがらきのスタッフに話を聞くと、レースの疲れこそあったものの、その後は問題なく調教もできていたと話してくれていました」(佐藤厩舎長)

 競馬場まで応援に出かけた桜花賞(G1)とは違って、オークス(G1)は自宅での観戦となったが、テレビの画面越しにも発汗が見て取れたという。

 「その日の東京は気温も高かったのもあったかと思います。ただ、若干の余裕残しも感じられた桜花賞(G1)よりも、状態は上がったといった印象も受けましたし、しがらきのスタッフや中内田先生や厩舎スタッフの皆さんが、最高の状態に仕上げてくれたと感謝もしていました」(佐藤厩舎長)

 ただ、佐藤厩舎長の心配をよそに、リバティアイランドはこのオークス(G1)で最高のレースを見せていく。1000m通過が60秒フラットという落ち着いた流れの中、リバティアイランドは中団を追走。最後の直線では馬場の真ん中に進路を取ると、そこから弾けるような末脚を使って、前にいたラヴェルを交わしていく。

 「向こう正面でハミを噛んでいたようなしぐさや、行きたがるような素振りも見せてはいましたが、川田騎手が上手く抑え込んでくれました。牧場にいた頃から僕らが教え込んできたことを、しがらきや厩舎でも継続して続けてくれたからこそ、あそこで我慢のできる馬になってくれたと思いますし、川田騎手も調教やこれまでの騎乗での中で、リバティアイランドの性格を掴んでいてくれていたのだと思います」(佐藤厩舎長)

 残り一ハロンで先に抜け出していたラヴェルを捉えると、リバティアイランドはそこから更に末脚を伸ばしていく。2着争いを尻目とするかのように、6馬身差を付けての圧勝。見事に二冠牝馬となっただけでなく、この着差はグレード制導入後のオークス(G1)では最大の着差となった。

 「直線に入ってからも折り合いがついていましたし、前にいたラヴェルを交わした時には、後ろから来る馬に差されることは無いだろうと見ていました。あの弾けるような脚を使える競馬ができたのは、リラックスしてこの距離を走れた証明でもあり、それも、これまで関わってきたホースマンが、様々な課題を1つ1つクリアしてきた成果が出たとも思いました」(佐藤厩舎長)

 そしてレース後にはオークス(G1)のレーティングが発表。2012年のジェンティルドンナ、2017年のソウルスターリング、2018年のアーモンドアイ、2022年のスターズオンアースと蒼々たる名馬が記録した115ポンドを抜き去って、史上最高となる120ポンドという数値を記録した。

 「それだけの評価をいただけたことを嬉しく思います。リバティアイランド自身、まだまだ成長している過程であり、今後も1つ1つのレースで結果を出していきながら、競走馬として完成した頃に、更に大きな結果を残してくれると思っています」(佐藤厩舎長)

 これだけのパフォーマンスと実績を残したと言えども、まだ3歳の牝馬。これから更に強くなっていくリバティアイランドのレースを追っていけるのは、競馬ファンとしては至福な時間となっていきそうだ。