重賞ウィナーレポート

2023年05月06日 京都新聞杯 G2

2023年05月06日 京都競馬場 小雨 良 芝 2200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:サトノグランツ

プロフィール

生年月日
2020年04月03日 03歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:5戦3勝
総収得賞金
157,507,000円
サトノダイヤモンド
母 (母父)
チェリーコレクト(IRE)  by  Oratorio(IRE)
馬主
里見 治
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
友道 康夫
騎手
川田 将雅

 現3歳世代が初年度産駒となるサトノダイヤモンド産駒としては、初めての中央重賞制覇を、京都新聞杯(G2)で飾ったサトノグランツ。ダービー(G1)の最終切符を携えて、父の果たせなかったダービー(G1)制覇へと挑んでいく。

 育成を手掛けたのは、ノーザンファーム早来の木村厩舎。木村浩崇厩舎長は、育成時からサトノグランツに高い評価を送っていた。

 「ワーケア(弥生賞ディープインパクト記念(G2)2着、ホープフルS(G1)3着)の半弟という血統的な期待もありました。ただ、当時の馬体は線が細くて華奢であり、動かしてみてもトモの力の無さが目立っていました」(木村厩舎長)

 だが、一か月半程休ませると、馬体が良化してきただけでなく、更に調教を進めていくと動きの良さも目立つようになってきた。

 「普段から大人しい馬で操縦性も高く、若いスタッフにも騎乗する機会を与えていました。春先になってから、これならいいところまで行けるだろうなとの手ごたえを感じられるようになりました」(木村厩舎長)

 その後の調教も順調に進み、6月後半に厩舎へと移動することとなったが、その際、友道厩舎の旧知の調教助手からは、「今年の2歳馬の中でもトモのラインといった筋肉の付き方には、目を見張るものもありました。こんな感じで馬を作っていくのは難しくなかったですか?」と連絡が来たという。

 「それは最高の誉め言葉だと思いました。ゲート試験に受かった後、また北海道で調整させてもらえることになったのですが、それだけ信頼してもらえている証だと感じていただけに、また最高の状態で送り出そうとの思いがありました」(木村厩舎長)

 ただ、期待をしていたというメイクデビュー阪神では、単勝1番人気の支持を集めながらも8着に敗退。

 「さすがにあの時は落ち込みました」と苦笑いを浮かべる木村厩舎長であるが、3戦目に初勝利をあげると、続くゆきやなぎ賞も優勝。京都新聞杯(G2)では重賞初挑戦にも関わらず、1番人気の支持を集める。

 「助手さんも『乗りやすくて、扱いやすい馬』と話していたように、距離はあった方がいいタイプだと思っていました。未勝利戦を勝った時には、『ダービー(G1)を見据えながらも、菊花賞(G1)を目標に進めていきます』とも言われていたので、ゆきやなぎ賞を勝利した後に京都新聞杯(G2)への出走が決まった時には、ひょっとしたらいいところもあるのではと思いました」(木村厩舎長)

 ダービー(G1)最終便とも言われる、今年の京都新聞杯(G2)には12頭が出走。スローで流れたレースはゴール前での瞬発力勝負ともなったが、5頭がクビ差、アタマ差でひしめき合う大接戦を制したのは、父を彷彿とさせるような末脚を見せたサトノグランツだった。

 「里見オーナーが所有していたサトノダイヤモンドの産駒でもありますし、その仔で重賞を勝てて、ダービー(G1)に出走できることを嬉しく思います。サトノダイヤモンド産駒は個人的にもいい馬が多いと思っていましたし、種牡馬の評価を高められたのも良かったと思いました」(木村厩舎長)

 レースの後、木村厩舎長の元には、サトノダイヤモンドの育成調教を手掛けていた、ノーザンファーム空港の佐々木淳史厩舎長からも連絡があったという。

 「佐々木厩舎長もサトノグランツの勝利をとても喜んでくれていました。種牡馬入りした頃から期待も大きかった馬でしたし、まだまだいい馬がこれからも出てくると思います」(木村厩舎長)

 サトノグランツの勝利によって、木村厩舎は今年のダービー(G1)に2頭の育成馬(フリームファクシ)を送り出すこととなった。

 「毎年育成馬をダービー(G1)に送り出すのが、1つの目標だっただけに、今年、それが叶えられたのを嬉しく思います。フリームファクシも皐月賞(G1)では期待されていたような結果は出せなかったものの、高い能力を持っている馬だけに、ここで巻き返しを図れると思います。そしてサトノグランツも、父のリベンジをここで果たしてもらいたいです」と木村厩舎長は2頭にエールを送った。