2023年04月01日 ダービー卿ChT G3
優勝馬:インダストリア
プロフィール
- 生年月日
- 2019年04月23日 04歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:9戦4勝
- 総収得賞金
- 106,806,000円
- 馬主
- (有) サンデーレーシング
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 宮田 敬介
- 騎手
- 戸崎 圭太
ノーザンファーム空港の木村純一厩舎長が、現4歳世代で手掛けた育成馬の数は27頭。その中からホープフルS(G1)と中日新聞杯(G3)の勝ち馬となったキラーアビリティ、そして朝日杯FS(G1)と日本ダービー(G1)と京都記念(G2)を制したドウデュースに加えて、インダストリアもダービー卿ChT(G3)を優勝して、育成を手掛けた重賞馬の仲間入りを果たした。
「スタッフと取り組んできた結果が身になったと思うだけに、育成馬たちの重賞を沸かすような活躍は有難い限りです」と木村厩舎長は感謝の言葉を口にする。
育成時のインダストリアは、気性の強さが前進気勢といったプラス面に働いたかと思えば、時には乗り難しくなるようなマイナス面も抱えていた。
「ただ、自分も跨った時から走りそうだなと思っていただけでなく、騎乗したスタッフに話を聞いた時にも、誰もが乗り味の良さを評価していました」(木村厩舎長)
騎乗調教を休んだ時期はあったものの、その後の調教は順調に進んでいくと、2歳10月のメイクデビュー東京で初戦を迎える。単勝1.7倍という断然の一番人気に応えられずにアタマ差の2着に敗れるも、2戦目の2歳未勝利戦では鮮やかな末脚を使って勝利。その勢いのままに年明けのジュニアCも快勝する。
「ジュニアCはいいところはあるのではと思っていましたが、それでも強い勝ち方だと思いました。続く弥生賞(G2)にはドウデュースも出走していたので、2頭で上位独占できないかなと思いながらレースを見ていました」(木村厩舎長)
その弥生賞(G2)で一番人気のドウデュースはクビ差の2着、そして2番人気のインダストリアは5着に敗れたものの、皐月賞(G1)で3着となった後に、日本ダービー(G1)を制したドウデュースとは対照的に、NHKマイルC(G1)でも2番人気となったインダストリアはそこでも5着に敗れてしまう。
「勝ち切れないレースこそ続いていましたが、そう遠く無い時期に重賞は勝てる、もしくはその舞台を沸かせられる馬になると期待をしていました」(木村厩舎長)
その後は初のダート戦となるユニコーンS(G3)に出走するも、熱中症の症状も出ていた影響もあって13着に敗退。静養させるためにノーザンファーム空港へと戻ってくる
「熱中症の治療だけでなく、蹄の薄い馬なのでそちらのケアも行ってきました。熱中症はすぐに回復したのですが、蹄に関しては少し運動させたらすぐに痛みだすような感じがあっただけに、自分たちよりも装蹄師さんがかなり苦労されながら調整してきたと思います」(木村厩舎長)
牧場での調整期間は長くなったが、蹄が良くなってくるにつれて、インダストリアは騎乗スタッフを手こずらせるような元気さを取り戻していく。
「並走している他の馬にも飛びかからんばかりの気合を見せていました(笑)。いい状態で送り出せたと思っていただけに、休み明けとは言えども、カウントダウンSはいいところがあると思いながらレースを見ていました」(木村厩舎長)
その期待通りにカウントダウンSを勝利して再度のオープン入りを果たすと、東京新聞杯(G3)の7着を挟んで出走したダービー卿ChT(G3)では、3番人気の支持を集める。
「中山マイルの実績も評価されたのだと思います。また、こちらにいた頃からスパッと切れる脚を使うというよりも、パワーで押し切るような脚を使えていたので、東京よりも中山向きの脚質と言えるのかもしれません」(木村厩舎長)
このレースまで中山マイルでは2戦2勝。同条件で行われたダービー卿ChT(G3)もゴール前の急坂を力強く登り切り、ゴール前では追い込んできたジャスティンカフェの末脚が届く前にゴール板を駆け抜けた。
「道中はいいところに付けていましたし、坂上で更にグッと手応えが良くなった印象もあっただけに、このまま押し切れると思いました。昨年はこちらで管理していた時間も長かっただけに、より充実感のある重賞勝利となりました」(木村厩舎長)
インダストリアはレース後には安田記念(G1)への出走を表明。木村厩舎長や育成を手掛けたスタッフたちにとって、現4歳世代では3頭目のG1馬となる可能性は充分にあると言えそうだ。