重賞ウィナーレポート

2023年04月02日 大阪杯 G1

2023年04月02日 阪神競馬場 晴 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ジャックドール

プロフィール

生年月日
2018年04月08日 05歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:13戦8勝
総収得賞金
490,042,000円
モーリス
母 (母父)
ラヴァリーノ(USA)  by  Unbridled's Song(USA)
馬主
前原 敏行
生産者
クラウン日高牧場 (門別)
調教師
藤岡 健一
騎手
武 豊

 春の中距離王決定戦「第67回大阪杯(G1)」を制したのはクラウン日高牧場生産のジャックドール。ジャックドールにとっての大阪杯(G1)は、ちょうど1年前に破竹の5連勝で挑んだレース。その時は臆することなく堂々とレースを引っ張ったが、ペースを乱されて5着敗退。それから1年という時間をかけて逃げ足に磨きをかけて雪辱を果たした。

 クラウン日高牧場の母体となるクラウンファームは2006年に設立され、2010年から生産活動をスタート。北海道内外に繁殖、中期育成、そして後期育成と5つの牧場を所有し、当初はオーナーブリーダーとして牧場の歴史をスタートさせたがジャックドールがそうだったように牧場としてのスキルアップを目的に生産馬を売却することもある。現在は騎乗スタッフ含む20人が35頭の繁殖牝馬と、その仔馬たちを強く、丈夫に育てている。その陣頭指揮を執るのは、これらクラウンファームを運営している株式会社クラウンの代表であり、また全国乗馬倶楽部振興協会中九州地区理事を務め、日本体育協会公認スポーツ指導者でもある矢野恭裕さんだ。

 矢野さんは、この1年間を「長かったような、短かったような。でもようやくこれでスタート地点に立てたような気がします」と表現してくれた。

 大阪杯(G1)が行われた4月上旬は出産、種付けの繁忙期。「競馬場に行きたいという気持ちがなかったといえば嘘になりますが、自分には大切な仕事がある」と自宅のある牧場テレビを通しての応援を決めた。

 「G1競走に挑戦するというのはやはりすごい事で、周囲からも色々な声が届いていましたが、人気なりながらも勝てないレースが続いていたので、自分自身はあまり浮足立たないように冷静にレースを迎えたつもりです」とはにかんだように振り返った。

 

 海外帰りの1戦。しかし、ファンファーレが鳴って、ゲートが開くといつものジャックドールがそこにいた。いつものように好ダッシュからハナに立ってレースを引っ張る。「G1競走ですから、少しのミスが命取りになることもあります。まずは無事にゲートを出てくれてひと安心。その後もジャックドールのペースで走ることができましたので道中はさすがに力が入りました」と笑った。

 ジャックドールにとっては4度目の、生産牧場としては5度目の挑戦でつかみ上げたG1タイトル。「もちろん嬉しかったですし、ジャックドールには感謝していますが、牧場としては満足するわけにはいきません。スタッフのモチベーションも上がると思いますし、この勝利を次のG1タイトルにつなげたい」と新しい目標に切り替えている。

 改めて牧場時代のことを尋ねると「4白流星の派手な馬ということもありましたけど、骨格とか体形は放牧地でも目立つ1頭でした。ただ、けがや病気とは無縁で、牧場にいるときは記憶に残らないような馬でした。せり上場に向けての馴致もスムーズでした」と当時のことを振りかえり「せりでは多くの人に見ていただきました。生産馬が市場で高く評価されるということも嬉しいですし、働いてくれるスタッフにとっても自分たちにとっても良い勉強になることを知りました。それと、せりを通して多くの人間関係を構築できることも知りました」

 そんなクラウン日高牧場には、牧場としての夢がある。「牧場の代名詞となるようなファミリーを築き上げたい」という夢だ。その夢に向って今日もていねいな馬づくりにまい進している。