重賞ウィナーレポート

2023年03月25日 毎日杯 G3

2023年03月25日 阪神競馬場 曇 良 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:シーズンリッチ

プロフィール

生年月日
2020年02月23日 03歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:5戦2勝
総収得賞金
48,269,000円
ドゥラメンテ
母 (母父)
エバーシャルマン  by  ハーツクライ
馬主
宇田 豊
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
久保田 貴士
騎手
角田 大河

 古くは皐月賞馬のハードバージや、日本競馬史にその名を残す名馬のオグリキャップが勝ち馬として名を記している毎日杯(G3)。

 1990年台後半以降も皐月賞(G1)を制して、総取得賞金の世界記録を樹立したテイエムオペラオー、ソダシの父としても知られるクロフネ、NHKマイルC(G1)と日本ダービー(G1)を制したキングカメハメハが、このレースで重賞初制覇をあげると、そこから日本競馬史にその名を残すような活躍をしていった。

 そして芝1800mに施行条件が変わってからはディープスカイ、キズナ、シャフリヤールが、このレースの勝利をステップに日本ダービー(G1)へと駆け上がっている。

 今年、この出世レースの勝ち馬となったのが、キングカメハメハやシャフリヤールと同じ、ノーザンファームの生産馬であるシーズンリッチである。

 育成を手掛けてきたのは、ノーザンファーム空港のB1厩舎。そして管理を行う田中洋二厩舎長にとっては、馴致から手掛けてきた育成馬では初めての重賞勝ち馬となった。

 「こちらに来た頃から馬格に恵まれており、すらっとした印象もありました。跨ってみると柔軟さもあって、操縦性にも秀でていたので、距離は持ちそうだと感じていました」(田中厩舎長)

 乗り込み量に比例するように良化を遂げていき、いつしか早期入厩の目処が立つようにもなっていく。7月のメイクデビュー新潟でデビューを迎えるも、そこでは4着に敗退。ただ、メンバー中最速タイ(32秒4)だった末脚を見た田中厩舎長は、次走で巻き返せると確信していた。

 「次の未勝利戦ではきっちりと勝ちきってくれましたが、その後は道中で引っかかるなど、スムーズさを欠いたようなレースが続いていました。この頃は緩さも抜けきって無かったように、心身ともに成長過程だったのでしょう」(田中厩舎長)

 本当に良くなるのは先だと思いながら見ていたという毎日杯(G3)ではあったが、インコースからスムーズにレースを運んでいくと、最後の直線では馬群の中から力強く抜け出していく。

 「4コーナーを回った時に、これは勝ち負けになるのではといった手応えが見て取れました。馬群から伸びてきた時には興奮のあまり手が震えてしました」(田中厩舎長)

 結果は2着のノッキングポイントに半馬身差を付けての勝利。また、勝ち時計の1分46秒6は、芝1800mでの施行条件となってからは、6番目のタイムながらも、シャフリヤール、ディープスカイ、キズナといった上位5頭は全て後にG1馬となっている。

 レース後の田中厩舎長の元には、ひっきりなしに重賞初制覇を祝う連絡が届いた。

 「空港のスタッフだけでなく、早来の関係者の方からも連絡をいただきました。それだけ自分や手掛けた馬たちのことを気にかけてもらっていたのだと思っただけに、本当に嬉しかったですね」(田中厩舎長)

 次走は日本ダービー(G1)への出走を表明。勿論、育成を手掛けてきた馬では初めての日本ダービー(G1)出走馬となる。

 「距離が伸びても大丈夫な馬だけに、あとは相手関係だけだと思います。電話をかけていただいた厩舎長や育成主任の方たちが送り出す馬と、この舞台で戦えるのは光栄でもあります。それだけに自分や共に働く厩舎のスタッフだけでなく、シーズンリッチにもこのチャンスをものにして欲しいと思います」(田中厩舎長)

 このローテーションでは過去にシャフリヤールが日本ダービー(G1)を優勝。先人が切り開いたダービー(G1)制覇への道を、今年、シーズンリッチは歩んでいく。