2023年02月26日 阪急杯 G3
優勝馬:アグリ
プロフィール
- 生年月日
- 2019年03月04日 04歳
- 性別/毛色
- 牡/青鹿毛
- 戦績
- 国内:9戦5勝
- 総収得賞金
- 151,745,000円
- 母 (母父)
- オールドタイムワルツ(USA) by War Front(USA)
- 馬主
- 三木 正浩
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 安田 隆行
- 騎手
- 横山 和生
アグリが初重賞制覇をあげた阪急杯(G3)の口取り式。鞍上を務めた横山和生騎手、そしてオーナーの三木正浩氏の横には、元レーシングドライバーの「アグリ」こと、鈴木亜久里氏の姿もあった。
「重賞勝利も嬉しかったですが、そこに鈴木亜久里さんも口取りに参加していただいたことで、更にハッピーな気持ちになりました」と笑顔を浮かべるのは、育成を手掛けたノーザンファーム空港の伊藤隆行厩舎長。アグリは今シーズンからJBBA静内種馬場で導入されたカラヴァッジオの産駒となるが、血統の先入観は持たずとも、乗り出した頃からスピード感あふれる走りを見せるようになっていた。
「数多くのクラシックウイナーを送り出してきたエイダン・オブライエン厩舎の中でも短距離に属した活躍馬でしたが、アグリも血統的な裏付けも含めて、父の良さが出ているように感じました」(伊藤厩舎長)
育成も順調に進み、2歳6月のメイクデビュー阪神でデビュー。そこで3着となると、間隔を取って出走した10月の2歳未勝利戦で初勝利をあげる。
「予定通りのデビューとなりましたが、更に完成度の高い馬を相手にした時にはまだ幼さも残っており、現在のようなトップスピードも足りなかったのかもしれません。その後には牧場に戻って再度調整が行われたのですが、レースを経験したことによる体幹の強化、そして体全体を使って走ったことでの可動域の広さも出てきました。2戦目はいい勝ち方をしてくれましたが、それでも安田厩舎の安田(景一朗)助手とは『まだ幼いところがありますね』と意見が一致していました」(伊藤厩舎長)
その後も掲示板を外さないレースを続けていったアグリであるが、勝利にはなかなか届かず、春先には再び牧場で調整されていきながら、JRA北海道シリーズへと臨んでいく。
「7月のレースで負けてしまった時には、結果論かもしれませんが、まだ負荷が足りず、身体もレースに対応しきれていなかったのではと思いました。それを踏まえた上で8月のレースでは、更にしっかりと作り上げた結果が出てくれたのは嬉しかったです」(伊藤厩舎長)
この勝利をきっかけに、アグリの快進撃が始まっていく。中央場所に戻った3歳2勝クラス、そして六甲アイランドSも快勝。初の重賞挑戦となった阪急杯(G3)でも2番人気の支持を集めた。
「『上がり馬』と呼ぶに相応しいほどの活躍をしてくれました。それも安田先生や厩舎の皆さんといった関係者の方々が、この馬の成長を最優先に考えて無理をさせなかったことが、重賞勝利という最高の形で実を結んだのだと思います」(伊藤厩舎長)
5連勝がかかる次走は高松宮記念(G1)に出走。更にメンバーは強くなるものの、勢いという点においてはアグリに勝る馬はいない。
「欲を出さずにというのか、まずは無事に走り切って欲しいです。自分自身、育成をしていった中で、アグリの良さや成長を見極められていなかったのではと、今日の活躍を見て反省することもありますし、まだまだ強くなる馬だと思います。本来、競走馬たちはレースに出走して、走り切るのも本来ならば大変なことだと思います。改めて馬や関係者の皆さんに感謝するだけであり、アグリにも高松宮記念(G1)を無事に走り切ってもらった結果、みんなで喜び合えていたのならば最高ですね」と伊藤厩舎長。脚質的にもポールポジションを取った馬をマークする位置でレースができそうであり、ゴールの瞬間は関係者の心の中でチェッカーフラッグが振られていることを期待したい。