重賞ウィナーレポート

2023年02月11日 クイーンC G3

2023年02月11日 東京競馬場 晴 稍重 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ハーパー

プロフィール

生年月日
2020年01月18日 03歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:3戦2勝
総収得賞金
196,412,000円
ハーツクライ
母 (母父)
セレスタ(ARG)  by  Jump Start(USA)
馬主
エムズレーシング
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
友道 康夫
騎手
川田 将雅
  • 育成馬とクイーンC(G3)とは非常に相性がいい
    育成馬とクイーンC(G3)とは非常に相性がいい
  • 厩舎内には重賞を勝利してきた歴代の育成馬の写真が並ぶ
    厩舎内には重賞を勝利してきた歴代の育成馬の写真が並ぶ

 験がいいレースというよりも、ここまではっきりした結果が出ると、クイーンC(G3)はノーザンファーム生産馬から買うべきだと言える。

 過去10年のクイーンC(G3)でノーザンファーム生産馬は8頭が優勝しているだけでなく、上位独占した年も含めて2着、3着にも顔を出してきた。

 その中でもノーザンファーム空港C5厩舎の育成馬の勝利数と連対率は抜けており、過去10年でハーパーを含めた4頭の育成馬が優勝。連対率は6割という驚異的な数字を残している。

 「今回はハーパーの他にも、育成馬ではアスパルディーコとウンブライルも送り出していました。結果も含めて、改めて育成馬たちと相性のいいレースだなと思います(笑)」と話すのは中川晃征厩舎長。半姉で昨年のJBCレディスクラシック(Jpn1)の勝ち馬となった、ヴァレーデラルナの育成も行ってきている。その姉との育成時と同様に、ハーパーもまたゆっくりとした成長曲線を辿っていったものの、背中の良さが感じられていただけでなく、春から夏にかけて一気に動きが良くなっていったと教えてくれる。

 「育成時の姉と同様に、春先は非力で心身ともに幼さも感じられました。それだけにじっくりと育てていったのなら、必ず良くなるだろうなと思っていましたが、期待通りに中身が入ってくるようになってからは、能力の高さが走りにも表れてきました」(中川厩舎長)

 その頃は桜花賞(G1)よりも、オークス(G1)向きなのではとの印象もあったというが、管理をする友道調教師もまた、同じ距離適性を感じ取ったかのように、芝2000mでハーパーをデビューさせていく。そのメイクデビュー阪神では2着に敗れたものの、続く2歳未勝利戦ではマイルに条件を移して勝利をあげる。

 「初戦は外に膨れたロスもあって直線で届かなかったものの、ゴール前ではいい脚色を見せてくれました。未勝利戦でも距離があった方がいいと思っていたにも関わらず、マイルを難なくこなしてくれました。今回も前走のようなレースができたのならば、メンバーが強くなったとしても、勝ちきってくれるのではとの期待はありました」(中川厩舎長)

 スムーズなスタートを切ったハーパーは、先行勢を射程圏内に置きながらレースを進めていく。最後の直線では馬群がばらけたタイミングを見計らって末脚を伸ばしていくと、ゴール前ではドゥアイズとモリアーナとの競り合いを制して優勝。牝馬クラシック戦線の新興勢力として名乗りをあげた。

 「オーナーがセレクトセールで選んでくださった馬の中から、初めての中央での重賞馬を、自分の厩舎で管理できたのがとても嬉しかったです。ここで賞金を加算できたことで桜花賞(G1)に加えて、春の目標だと思っていたオークス(G1)への出走も叶えられたのもまた、目標を叶えられたとの思いがありました」(中川厩舎長)

 勿論、マイルで2勝の実績からしても、ハーパーにとって桜花賞(G1)は願っても無い条件ともなる。

 「ここ数年の勝ち馬だけでなく出走馬の成績からしても、クイーンC(G3)は出世レースとなってきた印象がありますし、桜花賞(G1)に向けてもいい間隔が取れるだけに、ハーパーのように関西馬でも出走してくるようになっているのでしょう。オークス(G1)を考えた時にも東京コースを経験できているのは強みになると思いますが、その前に桜花賞(G1)ですね」と期待を寄せる中川厩舎長。昨年の2着馬となったスターズオンアースは、桜花賞(G1)とオークス(G1)を制して2冠馬となっているだけでなく、中川厩舎長が育成を手掛けたアカイトリノムスメは秋華賞馬となっている。ハーパーが3連勝で桜花賞(G1)を制したのならば、願っても無い条件であるオークス(G1)制覇も現実味を帯びてくるだけでなく、半姉のヴァレーデラルナの走りにも証明された成長力で秋華賞(G1)も優勝して、三冠牝馬となってしまうのかもしれない。