2022年12月28日 ホープフルS G1
優勝馬:ドゥラエレーデ
プロフィール
- 生年月日
- 2020年01月29日 02歳
- 性別/毛色
- 牡/黒鹿毛
- 戦績
- 国内:5戦2勝
- 総収得賞金
- 150,588,000円
- 馬主
- (株) スリーエイチレーシング
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 池添 学
- 騎手
- B.ムルザバエフ
昨年の春先に行われた2歳馬の取材で、管理をする山内厩舎長が、「完成度も高く、動きもいいので早めにデビューできると思います」と取材陣の前で話していたのがドゥラエレーデだった。
その言葉通りに2歳の6月にデビューを果たしたものの、勝ち上がったのは3戦目となった。ただ、果敢に先行した東京スポーツ杯2歳S(G2)では、勝ち馬と0秒2差のレースを見せると、前残りの展開となったホープフルS(G1)でも、ゴール前で逃げ粘るトップナイフをハナ差交わして優勝。今年のクラシック戦線に名乗りをあげた。
「調教の動きや馬体の良さも含めていい馬だとは思っていましたが、それでもトモに緩さは残っており、口向きも敏感で、コントロールの難しい馬だと思っていました」と山内厩舎長。その注意すべき点は、入厩までの管理を任されたノーザンファームしがらきや、管理をする池添学調教師にも伝えられていくのだが、実は池添調教師と山内厩舎長は、非常に親しい関係でもあった。
「池添調教師はノーザンファームで働いていたこともありました。今でも何でも言い合える関係であり、ドゥラエレーデといった管理馬に関しても、頻繁に連絡を取り合っていました」(山内厩舎長)
ドゥラエレーデの入厩後、池添調教師からは、「この馬は凄い」との連絡が山内厩舎長の元にあったという。ただ、新馬戦で敗れたドゥラエレーデは山内厩舎に戻って再調整されていくも、札幌での2歳未勝利戦も2着に敗退。すると中1週でダートのレースを使い、デビュー3戦目にして初勝利を掴み取る。
「こちらに来た頃はどこも痛んで無かったので、順調に調整を進められました。ただ、2戦目は勝ったのが札幌2歳S(G3)の勝ち馬(ドゥーラ)で相手が悪かったと言えますが、その後、どこを使うのだろうと思って話を聞くと、『勝たせるためにダートを使う』と聞かされた時には驚きました」(山内厩舎長)
ただ、ここで勝利をあげられたからこそ、東京スポーツ杯2歳S(G2)を使うという選択肢となり、その内容が良かったからこそ、ホープフルS(G1)出走へと繋がっていった。
「東京スポーツ杯2歳S(G2)は一発あるのではと期待をしていました。結果は4着となりましたが、前で競馬をしながら、あそこまで粘りこめたレース内容は強かったと思いました。スタミナ勝負になれば、いいところはあるなとも思えただけに、次走がホープフルS(G1)と決まった時には、ここでもいいところはあるぞと思っていました」(山内厩舎長)
今年の中央競馬では最後のG1レースとなったホープフルS(G1)。その3日前に行われた有馬記念(G1)の興奮も冷めやらぬ中を、ゴールを目指してスタートを切った2歳馬たち。1000m通過は61秒5という落ち着いた流れとなった中、ハナを切ったトップナイフに第3コーナーで並び駆けて行ったドゥラエレーデであったが、内からトップナイフがもう一伸びを見せると、残り1ハロンでは半馬身ほど離されてしまう。
「また2着かと思いました。実は今年、デイリー杯2歳S(G2)、そして朝日杯FS(G1)ではダノンタッチダウン、ドゥラエレーデも出走していた東京スポーツ杯2歳S(G2)の2着馬となった、ダノンザタイガーも育成馬となります。今回も半ばあきらめていたところで、ゴール前でその差を詰めていった時にはまさか…と思いました」(山内厩舎長)
それはゴール板を2頭が駆け抜けた、ほんの一瞬の出来事だった。体勢的にはトップナイフが逃げ粘ったかのように見えたが、ドゥラエレーデの鞍上を務めたバウルジャン・ムルザバエフ騎手が、まるで図ったかのように鼻面を先に押し出していた。
「自分もひょっとしたら交わしているのでは?と思いました。その後、確定した時にはビックリしました」(山内厩舎長)
レース後、山内厩舎長は関係者からのお祝いの電話やLINEに一通りの返事をした後、池添調教師に電話をかけて、勝利をたたえ合った。
「向こうも忙しそうだったので、会話は少しだけでした。ただ、池添厩舎にとって最初のG1馬を自分の厩舎から送り出せたのは、やはり嬉しかったです」(山内厩舎長)
皐月賞(G1)と同条件のホープフルS(G1)を勝利したことからも証明されているが、山内厩舎長はドゥラエレーデに対して距離の不安は無いと話しており、それどころか、まだ緩さも残っているトモも解消されれば、更に強い走りを見せてくれると期待をしている。
「今年最後のG1で、ドゥラエレーデが悔しい思いを晴らしてくれました」と笑顔を見せる山内厩舎長。2着とは言えどもダノンタッチダウン、ダノンザタイガーも能力の高さは証明済みである。今年の牡馬クラシックは育成馬の上位独占で、一気に溜飲を下げてもらおう。