2022年12月31日 東京2歳優駿牝馬(GDJ)
優勝馬:メイドイットマム
プロフィール
- 生年月日
- 2020年04月06日 02歳
- 性別/毛色
- 牝/栗毛
- 戦績
- 国内:7戦3勝
- 総収得賞金
- 81,076,000円
- 母 (母父)
- コマノスクアーロ by ゼンノロブロイ
- 馬主
- (有) 木村牧場
- 生産者
- 新井牧場 (むかわ)
- 調教師
- 石井 勝男
- 騎手
- 本橋 孝太
『グランダム・ジャパン2022』2歳シーズンの最終戦は大晦日の「東京2歳優駿牝馬(大井)」。同シリーズの指定競走に優勝しているボヌールバローズ(ラブミーチャン記念)、マカゼ(ローレル賞)、フジラプンツェル(プリンセスカップ)らが女王のタイトルを狙ってエントリーする中、2番人気に推されたメイドイットマムが2着に4馬身の差をつける圧勝劇を披露した。
メイドイットマムの生まれ故郷は、むかわ町の新井牧場。2010年の宝塚記念(G1)に優勝し、凱旋門賞(G1)でワークフォースのアタマ差2着に迫ったナカヤマフェスタの生産者として全国に名を馳せた牧場だ。その後もコマノインパルスが2017年の京成杯(G3)を制するなど、コンスタントに活躍馬を送り出している。
「メイドイットマムの祖母コマノマコとコマノインパルスの母コマノアクラが姉妹で、両馬は同じ牝系の出身になります。メイドイットマムの兄姉が中央で勝ち上がっていたので期待はしていましたが、どちらかというと奥手な血統なので、まさか2歳時にこんな大きなタイトルを獲得する馬になるとは思っていませんでした」と驚きを隠さない生産者の新井誠さん。というのも取材の前日、NARグランプリの各部門受賞馬が発表され、メイドイットマムが『2歳最優秀牝馬』に選出されたという知らせを受け取ったばかりだったからだ。
メイドイットマムは2022年6月、門別競馬場でデビュー。その初戦で5馬身差の圧勝をおさめ、3戦目にはJRAオープンの芝レース・すずらん賞にも挑戦(6着)。ダートグレードのエーデルワイス賞(Jpn3)で5着したのち、南関東の船橋競馬へ移籍した。「門別競馬場がすぐ隣なので、メイドイットマムがデビューしてからのレースは毎回応援に行っていました。ホッカイドウ競馬の2歳戦はレベルが高く、他場へ遠征したり移籍したりしても活躍する馬が多いので、他の牧場の生産馬でも自分ごとのようにうれしいんです」と笑い、「メイドイットマムはうちの牧場で産声をあげ、オーナーでもある木村牧場さんで育成されましたから、本当に門別競馬場の近隣で生まれ育った馬なんです。その馬が地方競馬を代表する2歳牝馬に選ばれたのですから、誇らしいことですよね」と穏やかな表情で話してくれた。
メイドイットマムの牝系を遡ると、4代母にリンデンリリーの名前がある。1991年のエリザベス女王杯(G1)を、デビューからわずか7戦目で制した名牝だ。同馬は繁殖牝馬としても重賞馬・ヤマカツリリーを送り出したが、繁殖入りから約30年が経った2022年にその子孫がビッグタイトルを獲得するあたり、血の底力と継続性を感じさせる。「メイドイットマムの母コマノスクアーロは敏感な馬で、収牧の時以外はなかなかつかませてくれないんです。昨年は出産を1年休みましたが、現在はダノンスマッシュの仔がお腹にいて、3月1日の出産予定です」と母馬を紹介。香港スプリント(G1)を親仔制覇したダノンスマッシュに父が替わり、今度はどんな快速馬が誕生するか楽しみだ。
「3歳になって今後どんな道を歩むのかわかりませんが、無事に駒を進めて頑張ってほしいですね。ゆくゆくは交流重賞で走る姿も見てみたいです」とエールを送る新井さん。古馬牝馬の交流重賞といえば、門別競馬場でもブリーダーズゴールドカップ(Jpn3)が行われる。いつの日か生まれ故郷のすぐ隣で、メイドイットマムが凱旋勝利する姿を新井さんといっしょに夢見たい。