重賞ウィナーレポート

2022年11月20日 マイルChS G1

2022年11月20日 阪神競馬場 曇 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:セリフォス

プロフィール

生年月日
2019年03月07日 03歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:8戦5勝
総収得賞金
520,026,000円
ダイワメジャー
母 (母父)
シーフロント(FR)  by  Le Havre(IRE)
馬主
(株) G1レーシング
生産者
追分ファーム (安平)
調教師
中内田 充正
騎手
D.レーン
  • 放牧地もうっすらと雪が降り積もった
    放牧地もうっすらと雪が降り積もった
  • 牧場としてもペルシアンナイト以来の生産育成馬でのG1馬となった
    牧場としてもペルシアンナイト以来の生産育成馬でのG1馬となった

 朝日杯FS(G1)から挑戦すること4回目。ついにセリフォスがG1タイトルを掴み取った。

 待ちに待った瞬間を、育成を手掛けた追分ファームリリーバレーの平沼敏幸厩舎長は、自宅のテレビで見ていた。

 「古馬が相手となったのもありますが、人気もそこまでではなかった(6番人気)だけに気持ちも楽に見ていました」(平沼厩舎長)

 この夏は追分ファームリリーバレーで調整が行われたセリフォスは、順調に夏を過ごしたのを証明するかのように、前走の富士S(G2)を快勝。その後も右肩上がりで調子を上げていく。その証となったのが、レースの当該週に発売された競馬週刊誌の立ち写真だった。

 「こちらにいた時よりは勿論のこと、富士S(G2)との比較でも物凄く馬が良くなっているのが分かりました、この短期間で、これだけ馬が変わるのかとも思いましたし、本番でも力を出せる状態にあると思いました」(平沼厩舎長)

 スタート直後に先行争いこそ起こるも、隊列が決まってからはG1の落ち着いた流れとなったレースは、馬群を形成したまま最後の直線を迎える。その時、セリフォスの姿はまだ後方にあった。

 「正直、ここから届くのかなと不安になりました。レースでは上がり最速も使っていますが、このメンバーを相手にした場合にも、果たして届くのかなとも考えました」(平沼厩舎長)

 だが、名手D.レーンはセリフォスがどの馬よりも速い末脚を使えるのを、初めての騎乗にも関わらず理解していた。最後の直線では大外に進路を向けると、残り1ハロンから弾けるように末脚を伸ばしていく。あっという間に抜け出して見せると、その勢いのままにゴール。これまでG1を勝っていなかったのが嘘のように思える、圧勝劇となった。

 ゴールの瞬間、平沼厩舎長のスマートフォンには続々と着信が届き始めた。

 「電話を切ってもまたすぐにかかってきましたし、その間にLINEの着信を見たら、物凄い件数になっていました。マイルCS(G1)優勝は牧場としても、そして自分の育成馬としても2017年のペルシアンナイト以来となりましたが、やはりG1勝ちの喜びは格別ですね」そう話す平沼厩舎長であるが、育成馬のG1勝利は1つの目標としながらも、根底にあるのは管理馬の全てが勝ち上がってくれることだとも話す。

 「1つの勝利を掴んだその先にあるのが重賞であり、そしてG1タイトルだとも思っています。それを叶えるべく、目の前にいる育成馬たちもしっかりと管理していきたいです」(平沼厩舎長)

 ちなみに芝マイルを中心に多くの活躍馬を送り出してきた父ダイワメジャーであるが、マイルCS(G1)を勝利した産駒はセリフォスが初めてとなる。この勝利で父の背中を追いかける存在となったセリフォスだけに、今後は父に迫り、いつか追い越すような活躍も期待したい。