2022年11月12日 武蔵野S G3
優勝馬:ギルデッドミラー
プロフィール
- 生年月日
- 2017年02月19日 05歳
- 性別/毛色
- 牝/鹿毛
- 戦績
- 国内:21戦4勝
- 総収得賞金
- 182,391,000円
- 父
- オルフェーヴル
- 母 (母父)
- タイタンクイーン(USA) by Tiznow(USA)
- 馬主
- 有限会社シルク
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 松永 幹夫
- 騎手
- 三浦 皇成
重賞にチャレンジすること11戦目。ついにギルデッドミラーがタイトルを掴んだのは、重賞での連対もあった芝ではなく、これが2走前から走り始めたダートの上だった。
「育成時からコロンとした馬体をしていただけでなく、パワータイプの馬といった印象も受けていただけに、ダートでの重賞勝ちは今から思うと納得もしています」とはノーザンファームの野崎孝仁厩舎長。2歳の7月デビューのギルデッドミラーであるが、それを可能にした完成度の高さに加えて、調教でも動きの良さを示していた。
「芝向きの走りができていたというのか、ダート馬特有の堅さは感じられませんでした。ただ、乗った時のコントロールが難しい馬で、距離が短くならないように気を付けながら調教を進めてきました」(野崎厩舎長)
デビュー戦こそ勝利を収めたものの、その後は気性の難しさも顔を覗かせる形で、勝ちきれないレースも続いていった。それでもアーリントンC(G3)で2着となると、NHKマイルC(G1)では勝ったラウダシオンから0秒3差の3着にも入っている。
「競馬を見ていても勿体ないレースが続いていましたし、こちらにいた頃にその辺が解消できていれば、まだ早く重賞を勝たせてあげられていたのではという悔しい思いはありました」(野崎厩舎長)
その後も二桁着順に沈んだかと思えば、4歳時の京都牝馬S(G3)では2着に入着。その年の夏のTVh賞ではデビュー以来、初めての芝1200mを使うなど、様々な試行錯誤をしてきたギルデッドミラーであるが、夏にはノーザンファームへと調整に戻ってくる。
「その頃には自分が牝馬から牡馬の育成に変わっていたので、大谷厩舎で管理を行ってもらいました。調教の映像を見ても引っかかるような素振りを見せていただけに、どこか申し訳ない気持ちにもなりましたが、そこで修正してもらえたことも、今の活躍に繋がっていると思います」(野崎厩舎長)
今年に入ってからも勝ちきれないレースが続いていたギルデッドミラーであるが、NST賞からダートに戦いの場を移していく。すると、ゲートもスムーズに出ただけでなく、芝との流れの違いにも対応。ゴール前では先に抜け出したノンライセンスをクビ差捉えて、約2年半ぶりの勝利をあげる。
「行きたがる素振りは見せていましたが、そこで砂を被ったことで、上手く気持ちが中和されたのではと思います。また、あんな感じで終いをしっかりと伸ばしてくるイメージもあっただけに意外でした」(野崎厩舎長)
続くグリーンチャンネルCは2着に敗れたものの、改めてオープン級のメンバーとも互角以上の走りができていることを証明して迎えた武蔵野S(G3)。一番人気は連勝を重ねてきたレモンポップに譲ったものの、ギルデッドミラーは2番人気を集める。
「更にメンバーが強くなっただけでなく、年齢的にもここが今後の競走生活を占うレースになると思っていました。最後の直線ではレモンポップとの差も開いていただけに、何とか交わしてくれとの思いで応援をしました」(野崎厩舎長)
その思いが届いたかのように、最後はハナ差交わしての勝利。武蔵野S(G3)の歴史において、牝馬の優勝馬はこれが初めてとなった。
「自分自身、長きに渡って牝馬の厩舎長を務めてきただけでなく、そもそも、中央のダート重賞を牝馬が使ってくるのが稀だけに、自分にとっても初めてとなります。好騎乗を見せてくれた三浦騎手、松永先生や厩舎の皆さん、そして、ノーザンファームしがらきのスタッフと、昨年、いい夏を過ごさせてくれた大谷厩舎のスタッフには感謝しかありません」(野崎厩舎長)
この勝利で出走権を掴んだチャンピオンズC(G1)は見送ったが、来年以降はどんな活躍を見せてくれるかと期待は膨らんでくる。
「クラブの規定で来春での引退は決まっていますが、それまでタイトルを積み重ねて、更に箔を付けた形で繁殖入りを果たしてもらいたいです」と野崎厩舎長は今後の活躍も楽しみにしていた。