重賞ウィナーレポート

2022年10月29日 アルテミスS G3

2022年10月29日 東京競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ラヴェル

プロフィール

生年月日
2020年02月14日 02歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:2戦2勝
総収得賞金
122,401,000円
キタサンブラック
母 (母父)
サンブルエミューズ  by  ダイワメジャー
馬主
(有) キャロットファーム
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
矢作 芳人
騎手
坂井 瑠星
  • 今では落ち葉も雪で覆われている
    今では落ち葉も雪で覆われている
  • 育成馬は2歳重賞を沸かせている
    育成馬は2歳重賞を沸かせている

 アルテミスS(G3)は3番人気の支持を集めたラヴェルが優勝。デビュー2戦目での重賞初制覇となった。

 実は育成を手掛けたノーザンファーム早来の大谷厩舎にとっても、これが厩舎開業後の第一期生かつ、初めての重賞勝ち馬ともなった。

 「デビュー前から期待をしていた馬でした。ただ、育成の仕事をしていると、その期待通りに行かないことの方が多いですし、アルテミスS(G3)は強い勝ち方をした馬も出走していたので、ここが試金石になると思っていました」と話すのは大谷渡厩舎長。今年のチューリップ賞(G2)を勝ったナミュールの半妹となるラヴェルであるが、その姉が重賞戦線を沸かす前からラヴェルは高い素質を感じさせていた。

 「ラヴェル自身が高い身体能力を有しており、馬体からしてもいい馬であるのは間違いありませんでした。本格的な育成に入ってからも、怪我無く順調に進められたように、苦労らしい苦労もありませんでした」(大谷厩舎長)

 5月に本州へと移動したラヴェルは、その後、管理をされる矢作厩舎へと入厩。その後の調整もスムーズに進められ、7月のメイクデビュー小倉では一番人気に支持されると、見事に初戦を飾る。

 「勝ったと言えどもゲートの出が悪かったように、こちらにいた頃からゲートが難しい馬でした。実際に入厩してからゲート試験に合格するまで時間を要してしまいました。そこが、これから大きなレースを目指していく上では課題になっていくとの思いもありました」(大谷厩舎長)

 アルテミスS(G3)も決していいスタートとは言えなかったが、それでも後方2番手から折り合いもスムーズにレースを進めていく。

 一方、大谷厩舎長が話していた『強い勝ち方をしていた馬』であり、このレースでも単勝1.4倍という圧倒的な支持を集めていたリバティアイランドは、ひと固まりとなった馬群の後方に位置していた。

 「ラヴェルは楽な手応えで走れていただけでなく、直線に向いた時にリバティアイランドとの差がそれほど離れていなかったので、ひょっとしたらいいところもあるのではと思いました」(大谷厩舎長)

 そのリバティアイランドは前が壁となって進路を失う中、馬群の外を選んだラヴェルは、仕掛けのタイミングを計っていく。ようやく前が開いたリバティアイランドであったが、その前に抜け出ていたラヴェルは、残り200mで一気に加速を始める。

 「その時の反応の良さを見て、ひょっとしたらこのまま押し切ってしまうのではと思いました」

 ラスト3ハロンのタイムはリバティアイランドが33秒3だったのに対して、ラヴェルは33秒フラット。先に抜け出してから更にその差を広げる末脚を使ったのはラヴェルだった。

 レース当日は土曜日だったこともあり、勝利の瞬間は休憩所が湧きかえっただけでなく、様々な関係者から祝福の連絡が来たという。

 「以前にサブチーフを務めていた厩舎長も、わざわざ厩舎を訪ねてくれました。主に育成を担当していたスタッフもとても喜んでいましたし、それもまた嬉しかったです」(大谷厩舎長)

 重賞勝ちを果たして臨む次走は2歳最強牝馬を決める阪神JF(G1)となる。

 「頭数も増えますし、メンバーも強くなるだけに一筋縄ではいかないと思います。ただ、アルテミスS(G3)の内容からしても、高い能力を持ち合わせているのは間違いないだけに、力を出し切るようなレースを期待しています」(大谷厩舎長)

 ラヴェルは重賞タイトルに続き、G1タイトルも大谷厩舎長に授けてくれるのかもしれない。