重賞ウィナーレポート

2022年09月22日 園田プリンセスC(GDJ)

2022年09月22日 園田競馬場 曇 稍重 ダ 1400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:アドワン

プロフィール

生年月日
2020年02月22日 02歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:3戦2勝
総収得賞金
12,785,000円
ストロングリターン
母 (母父)
カクシアジ  by  スウェプトオーヴァーボード(USA)
馬主
(有) 下河辺牧場
生産者
下河辺牧場 (門別)
調教師
土屋 洋之
騎手
田野 豊三
  • アドワンの母カクシアジ(11歳)
    アドワンの母カクシアジ(11歳)
  • アドワンの半妹(牝当歳、父フォーウィールドライブ)
    アドワンの半妹(牝当歳、父フォーウィールドライブ)
  • 下河辺牧場の放牧地
    下河辺牧場の放牧地
  • 下河辺牧場の坂路調教コース
    下河辺牧場の坂路調教コース
  • 下河辺牧場の看板
    下河辺牧場の看板

 『グランダム・ジャパン(GDJ)2022』2歳シーズンの開幕戦「園田プリンセスカップ」は、5番人気のアドワンが3馬身差の快勝。道中は4番手の内で脚を溜め、4コーナーで勢いをつけて外に持ち出すと、直線弾けて馬場の真ん中を突き抜けた。鞍上の田野豊三騎手、管理する土屋洋之調教師ともに、これが初めての重賞勝利。GDJ2歳シーズンの幕開けは、師弟にとっての記念すべきレースとなった。

 アドワンの生まれ故郷は、日高町の下河辺牧場。三冠牝馬スティルインラブを筆頭に多くの活躍馬を送り出してきた名門牧場だが、特にアドワンと同じ2020年生まれの馬たちの勢いは凄まじく、ロンドンプランが小倉2歳ステークス(G3)、ドルチェモアがサウジアラビアロイヤルカップ(G3)とJRAの2歳重賞を立てつづけに優勝。1歳上の世代にもノットゥルノ(ジャパンダートダービー(Jpn1))やドライスタウト(全日本2歳優駿(Jpn1))などのJpn1馬がいて、中央・地方問わず現役馬が重賞を賑わせつづけている。

 「アドワンを管理している土屋洋之調教師は弟(下河辺隆行さん)と中学高校の同級生で、担当している厩務員も昔うちの牧場で勤めていたことがあるんです。とても縁のある人たちが関わっている馬なので、今回の重賞勝利は本当にうれしかったです」と笑顔を見せるのは、同牧場の代表・下河辺行雄さん。「母のカクシアジも園田プリンセスカップを勝っているので、母娘で同一レース制覇というのも話題になっていいですよね」とつけ加えた。

 アドワンの母カクシアジも下河辺牧場の生産馬で、ホッカイドウ競馬からデビューし、2歳時にGDJの指定競走を3勝(園田プリンセスカップ、プリンセス特別、プリンセスカップ)。見事に2013年のGDJ2歳チャンピオンとなっている。その後、JRAに移籍して6歳3月まで現役をつづけ、2017年に生まれ故郷の下河辺牧場へ戻って繁殖入り。そして、ストロングリターンを交配して生まれた2番仔がアドワンだった。「この牝系はもともと仔出しが小さく、コロンとした体型に出る傾向があるんです。なのでスタイリッシュで脚長のストロングリターンを交配したのですが、やはり生まれてきた仔はコロンとした体型をしていましたね(笑)。とても丈夫で、育てるのに苦労しない馬でした」とアドワンの幼少期を振り返る。

 今年、カクシアジは父フォーウィールドライブの牝馬を出産。小柄ながらバランスが良く、いかにもスピードがありそうな雰囲気を醸し出しているという。「カクシアジの仔はこれまで牝馬ばかり生まれているので、GDJシリーズ専門になりそうですね(笑)。この血統で、地方競馬を盛り上げていければと思います」と抱負を語る。現在、カクシアジのお腹にはアジアエクスプレスの仔が宿っているそうだ。

 2010年のGDJシリーズ創設から12年が経ち、その理念である『いずれは母となって血をつなぎ、競馬の歴史を作っていく牝馬にスポットを当てる』という言葉が現実のものとなりつつある。ぜひともアドワンには、GDJのタイトルを獲って未来にその血を広げていってほしい。