重賞ウィナーレポート

2022年06月19日 ユニコーンS G3

2022年06月19日 東京競馬場 晴 良 ダ 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ペイシャエス

プロフィール

生年月日
2019年03月18日 03歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:7戦3勝
総収得賞金
153,435,000円
エスポワールシチー
母 (母父)
リサプシュケ  by  ワイルドラッシュ(USA)
馬主
北所 直人
生産者
高村 伸一 (様似)
調教師
小西 一男
騎手
菅原 明良

 好スタートから先行勢を見るような位置でレースを進め、余力十分に最後の直線に向いたと思えたペイシャエスだったが、行き場を失いポジションを下げてしまったかのようにも見えた。そんな局面を打開したのは前々走からコンビを組んだ菅原明良騎手の右ムチ。これでペイシャエスの闘争心に火が付いた。狭いところを割って出るように先頭に立つと、7番人気という低評価を覆すように、そのまま後続の追撃を抑え込んだ。

 菅原明良騎手にとっては今年の京成杯(G3)(優勝馬オニャンコポン)以来の重賞勝利で通算3勝目。小西一男調教師は2020年のレパードS(G3)(優勝馬ケンシンコウ)以来の重賞勝利で通算7勝目となった。

 JRAで行われる世代最初のダート重賞「ユニコーンS(G3)」はG3格付けながら、ビッグタイトルが欲しいダート馬にとっては待望の舞台。今回で27回目と比較的歴史の浅いレースではあるが、かつてはタイキシャトルやウイングアロー、ユートピア。ほかカネヒキリやゴールドドリーム、サンライズノヴァ、ルヴァンスレーヴにカフェファラオなど優勝馬の多くが後にG1競走に優勝する出世レースとして知られている。

 第27回ユニコーンS(G3)優勝馬ペイシャエスの生まれ故郷は様似町の高村伸一牧場。もともとは同じ様似町の別の場所で乳牛の生産を行っていたそうだが、現在代表を務める高村伸一さんの父、秀司氏が1970年(昭和45年)に競走馬生産へと舵を切り現在に至っているという。1978年の菊花賞を勝ったインターグシケンや、三冠馬ナリタブライアンに土をつけたスターマン。あるいは短距離重賞4勝のガルボ、ひだかトレーニングセール出身でニュージーランドトロフィー(Jpn2)を勝ったサトノプログレスなどを送り出している。JRA重賞勝利は14年の函館スプリントS(G3)以来で通算15勝目。ほか88年のオークス(G1)2着マルシゲアトラスも同牧場の生産馬だ。

 「生産馬は重賞競走に出るのも久しぶり(21年きさらぎ賞(G3)=アクセル)。自分なりに恥ずかしい競馬はしないと思っていましたが、今回は相手もこれまでと比べて強くなっていましたし、本当に良く頑張ってくれたと思います」と笑顔を広げた。

 母リサプシュケも高村牧場の生産馬だ。「この血統は基本的には晩成型だと思っていますが、ワイルドラッシュ産駒の母リサプシュケは早い時期に2勝を挙げてレパードS(G3)にも出走してくれました。ペイシャエスは、その2番仔なのです」

 エスポワールシチーを父に持って生まれた仔は「牡馬にしては性格が穏やかで、手がかかった記憶はほとんどありません。体のラインが父親に似てとてもきれいな馬。なんとも言えない上品な雰囲気を持っている馬でした」。

 2歳10月のデビュー戦を快勝し、3歳4月に2勝目を記録。そして重賞ウイナーへと昇りつけた。「小西厩舎の方々含め、たくさんの人のおかげでどんどん強くさせてもらっていることに感謝しています。この血統は成長がゆっくりタイプだと思いますので、これからどんな競走馬に育ってくれるのか本当に楽しみです」と夢を広げている。