重賞ウィナーレポート

2022年07月16日 函館2歳S G3

2022年07月16日 函館競馬場 小雨 稍重 芝 1200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ブトンドール

プロフィール

生年月日
2020年01月25日 02歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:2戦2勝
総収得賞金
38,462,000円
ビッグアーサー
母 (母父)
プリンセスロック  by  スウィフトカレント
馬主
合同会社雅苑興業
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
池添 学
騎手
鮫島 克駿
  • 函館2歳S(G3)は育成馬のモンファボリで挑んだレースでもあった
    函館2歳S(G3)は育成馬のモンファボリで挑んだレースでもあった
  • イヤリング厩舎では、1歳馬と当歳馬の入れ替えも始まっている
    イヤリング厩舎では、1歳馬と当歳馬の入れ替えも始まっている

 今年の中央競馬では、最初の2歳重賞となった函館2歳S(G3)。優勝したのはノーザンファーム生産馬のブトンドールであり、父ビックアーサーに初重賞タイトルを授けることにもなった。

 「あの走りには驚きだけでなく、感動も覚えました。自分たちの手が離れて間もない時期に重賞を勝ってくれるのは、信じられない思いもあります」とは育成を手掛けた、ノーザンファーム早来の山根健太郎厩舎長。ノーザンファーム生産馬であるが、父のビッグアーサーは新ひだか町のアロースタッドの繋養馬であり、母のプリンセスロックは浦河育成牧場の生産馬。ルーツは日高にあると言えるブトンドールに、山根厩舎長や厩舎スタッフたちはどう向き合っていったのだろうか?

 「他のノーザンファーム生産馬たちとは違って、父も母も接してきたデータは自分たちにありませんでした。それだけに純粋に馬に向き合っていったのですが、移動してきた頃からサイズのある立派な馬でした。しっかりと動かして、それに応えるだけの動きが可能となったのならば、2歳戦から十分に戦えると思っていました」

 父のビッグアーサーは高松宮記念(G1)を制するなど、芝のスプリント路線で活躍を見せており、現3歳を迎えた初年度世代、そしてブトンドールの2年目世代もまた、スプリントを中心とした活躍を見せている。

 「ただ、育成時のブトンドールはのんびりとした性格をしていました。馬体や走りなどはスプリンターとしての適性を感じさせながらも、果たして彼女の精神状態がスプリント向きなのかな?と思ったことはありました」

 山根厩舎長はスプリント向きと言えるスイッチを入れるべく、入厩時期が定まった頃に、スイッチを入れていくような前向きさを調教で促していく。それが発揮されたのはデビュー戦となるメイクデビュー函館だった。

 このレース、6枠から出走したブトンドールは好スタートを決めるも、鞍上の意図にすぐ従うかのように3番手に控える。最後の直線では前を行く2頭の外から脚を伸ばしていき、最後は1馬身半差抜け出しての勝利をおさめた。

 「ゲートが開いて、一歩目早かったのは想像以上でした。その後も味のある競馬を見せてくれましたし、ただ、行って押し切ったレースよりも、色々な競馬に対応できる馬だと思いました」

 中1週で臨んだ函館2歳S(G3)。人気は13頭中4番人気にとどまったものの、山根厩舎長は新馬戦のような競馬ができたのならば、見せ場はあると期待をしていた。

 「パドックを見ても人気上位馬たちの気配が良く見えていました。勿論、ブトンドールもいい状態だとは思っていましたが、現時点でどこまでやれるのだろうかと思っていただけに、直線を向いた時には本当に来るのか?とビックリしていました」

 メイクデビューと同様にスタートを決めたブトンドールであったが、その時よりもより激しい先行争いが繰り広げられると見たのか、中段でポジションを落ち着けていく。最後の直線では外に進路を取るも、それでも逃げていたクリダームとの差は5馬身差以上。それでも一歩一歩その差を詰めていき、最後は1馬身1/4差を付けての勝利となった。

 「直線に入った時ですら、逃げたクリダームが勝った競馬だと見ていました。ただ、函館競馬場の直線が長く感じたようなレースに思えましたし、ゴールしてから、クリダームにそれほどの着差を付けていたのかとビックリしました(笑)」

 2019年に厩舎を任されて以降、山根厩舎は管理初年度から毎年のように重賞を勝利し続けるメイケイエールを始めとして、各世代から活躍馬を送り出してきた。そして、牧場を離れて間もない時期に行われる2歳重賞で再び重賞馬を送り出したのは、育成厩舎の力あってと言えるだろう。

 「自分たちもブトンドールを通していい経験をさせていただきました。早い時期から使い込むのではなく、今後の上積みも見越して送り出しましたが、それが競馬場での成長に繋がっていてくれたのなら、ブトンドールにとっても良かったと思います」

 そしてこの勝利は父ビックアーサーだけでなく、オーナーの(同)雅苑興業にとっても、初めての中央重賞勝利となった。

 「一度、栗東に入ったにも関わらず、北海道でレースを使おうと進言してくださったのはオーナーだと聞いています。それもあって、デビューまでこちらで再調整をさせてもいただきましたし、そのオーナーの期待に応えられるような結果を、池添先生や、厩舎の皆さんと果たせたのも嬉しいですね」

 次走はファンタジーS(G3)への出走を表明。またチーム一丸となって一つのレースに突き進んだ向こうには2つ目の重賞タイトル、そして、G1タイトルも見えてくるはずだ。