2022年06月04日 鳴尾記念 G3
優勝馬:ヴェルトライゼンデ
プロフィール
- 生年月日
- 2017年02月08日 05歳
- 性別/毛色
- 牡/黒鹿毛
- 戦績
- 国内:10戦3勝
- 総収得賞金
- 378,047,000円
- 母 (母父)
- マンデラ(GER) by Acatenango(GER)
- 馬主
- (有) サンデーレーシング
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 池江 泰寿
- 騎手
- D.レーン
新馬戦、萩Sと連勝を重ねて初重賞挑戦となったホープフルS(G1)で2着。3歳初戦のスプリングS(G2)でも2着となり、8着に敗れた皐月賞(G1)を挟んで出走した日本ダービー(G1)では10番人気ながら3着に入着。神戸新聞杯(G2)ではその年の三冠馬コントレイルと0秒3差のレースをして2着となり、菊花賞(G1)では2番人気を集めたほどの実力馬。
クラシックタイトルとは縁が無かったものの、次の年のAJCC(G2)でも2着となったヴェルトライゼンデは、重賞タイトルは勿論、G1タイトルにも手が届くだけの能力を持ちあわせていたのは、ここまでの経歴にも証明されている。
だが、このレースの後に右前脚の屈腱炎が判明。そこからヴェルトライゼンデは長期の休養を余儀なくされる。
「一言で言うなら、いい馬でした。あの世代の管理馬の中でも馬っぷりの良さは際立っていましたし、動きも含めて目立った存在でした」と話すのは育成時、そして休養時にも管理を行ってきたノーザンファーム早来の山内大輔厩舎長。
「AJCC(G2)のレース内容からしても、古馬になって更に良くなると確信できただけに、屈腱炎で休養すると聞かされた時はショックでした。しかも、症状的には決して良くなかっただけに、じっくりやっていくしかないと思うようにもなりました」
当初は乗り運動も行えず、トレッドミルを中心とした調整しかできなかった。そのうち、症状が収まってからは乗り運動も再開。その後の経過も順調で、復帰戦も視野に入ってくるようになる。
「当初は日経賞(G2)で復帰させるプランでした。ただ、動きに物足りなさもあったのは事実でした。今年の2月にノーザンファームしがらきに送ったのですが、向こうでもじっくりと乗り込んでくれました」
今年の5月に入厩を果たすも、脚元を考慮して、坂路での調整しかできていなかった。
「調教の動きこそ良かったのですが、距離のあるレースを走るには息が入らないのではと思ったのも事実でした。レースでは2番人気に支持してもらいましたが、復帰が出来て良かったというのが一番であり、勝ち負けのレースになるとまでは思っていませんでした」
ただ、スタートを決めたヴェルトライゼンデは、後半にかけて流れが速くなっていったペースも難なく追走。最後の直線では馬場の中央から脚を伸ばしていくと、その勢いのままに先頭へと躍り出る。
「いい反応を見せていた頃を知っていただけに、最後の直線ではそこから突き抜けることができるのかと思っていました。ただ、そこから頑張ってくれましたし、改めて強い馬だと思いました」
前走から1年4か月ぶりでのJRA平地重賞制覇は、88年のオールカマ―(G3)を制したスズパレードの1年3か月を超えたどころか、34年ぶりの新記録。その事実だけでも奇跡のような重賞勝利と言えるだろう。
「長期休養明けで勝ってくれると、嬉しさだけでなく、厩舎のみんなだけでなく、しがらきのスタッフや、池江先生や厩舎の皆さんと共に頑張ってきた証のような気持ちもしています。本当にいい経験をさせてもらいました」と感慨深げに話す山内厩舎長。次走はまだ決まっていないが、不屈の天才馬が精一杯に走った時には、更に大きなタイトルが見えてくるに違いない。