2022年06月16日 北海優駿(ダービー)(DS2022)
優勝馬:シルトプレ
プロフィール
- 生年月日
- 2019年04月29日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/栗毛
- 戦績
- 国内:10戦6勝
- 総収得賞金
- 113,507,000円
- 父
- ワールドエース
- 母 (母父)
- エアディケム by フレンチデピュティ(USA)
- 馬主
- 原 久美子
- 生産者
- 藤原牧場 (静内)
- 調教師
- 米川 昇
- 騎手
- 石川 倭
『ダービーシリーズ2022』の第7戦「北海優駿(ダービー)」は、シルトプレが断然の1番人気に応えて完勝。3番手から抜け出して北海道クラシック一冠目の北斗盃につづく連勝を飾り、北海優駿が春の開催となった2007年以降、史上6頭目となる二冠を達成した。
シルトプレが生を受けたのは、1904年創業の老舗・藤原牧場。八大競走で歴史に名を刻んだウイニングチケット、サクラスターオー、サクラユタカオーをはじめ、多くの名馬を送り出している。最近ではラプタスが昨年のサマーチャンピオン(Jpn3)を勝つなど、交流重賞で活躍。現在の繁殖頭数は26頭。新ひだか町御園に構える本場の放牧地には、2008年のヴィクトリアマイル(G1)を制したエイジアンウインズの姿もあった。
藤原悟郎代表の三男・藤原翔(かける)さんは北海優駿(ダービー)当日、門別競馬場へシルトプレの応援に駆け付けていたという。「北斗盃の時は向正面くらいから追い出してどうしようと思いましたが、今回は道中から安心して見ていられました。雰囲気も今回の方が良くなっていたように感じますね」と牧場初となる地方ダービー制覇の瞬間を振り返る。「北斗盃と同じメンバーが多かったですが、緊張しました。特に別路線組の馬は怖かったですね。勝ってくれてホッとしました」と期待通りの結果に安堵の表情を見せた。
シルトプレの母エアディケムは喉の疾病のため、中央でわずか1戦したのみで引退。きょうだいにはステイヤーズS(Jpn2)を制したエアジパングや、JRAの芝1200m戦で7勝を挙げたツルガオカハヤテがおり、藤原代表は「顔がめんこい」と手元に置いて大事にしてきた。これまで13頭の産駒を出産しているが、バトルプランを2度つけた以外はすべて違う種牡馬を交配し、父ワールドエースの11番子がシルトプレだった。翔さんは「代表はいつかこの馬から走る馬が出るからと言っていました」と明かし、「やっとだよ。こんなの奇跡だよ」と待ちわびた瞬間に藤原代表は表情を緩める。過去に腹痛で5度も開腹手術をしたことがあるというエアディケムだが、その窮地を乗り越えて北海道二冠馬を送り出した。
1歳の半妹(父ディーマジェスティ)、当歳の半妹(父ロジャーバローズ)ともに、栗毛で流星が頭の先から鼻まで長く伸びた母にそっくりな派手な顔立ち。「毎年、似たような仔が生まれてきます。1番遺伝が強いと思うのが顔立ち。離乳した後に分場へ連れていくと、スタッフがすぐに『ディケムの仔だね』と言うくらい。母は自分の仔の世話をすごくよくしますし、溺愛しています。削蹄する時に馬房から母親だけ出すとすごく嫌がり、仔だけ出しても嫌がります。いろんな種牡馬をつけて、どんな仔が出るか毎年楽しみ。20歳とは思えないような若い体をしており、まだまだ頑張ってもらいたいですね」と、翔さんは大きな期待を口にする。現在、エアディケムのお腹にはフィエールマンとの仔が宿っているそうだ。
藤原牧場が信念を貫いて生まれてきたシルトプレは、8月16日の王冠賞へ駒を進める。「ベストの状態に持っていってくれると思いますし、(米川昇)先生とジョッキーと馬が頑張ってくれると思います。三冠を取ってくれたらうれしいですけど、まずは無事に回ってきてくれることですね」と翔さん。ホッカイドウ競馬史上7頭目となる三冠馬の瞬間、生産者は静かにその時を待つ。