2022年05月29日 日本ダービー G1
優勝馬:ドウデュース
プロフィール
- 生年月日
- 2019年05月07日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:6戦4勝
- 総収得賞金
- 1,250,497,000円
- 父
- ハーツクライ
- 母 (母父)
- ダストアンドダイヤモンズ(USA) by Vindication(USA)
- 馬主
- (株) キーファーズ
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 友道 康夫
- 騎手
- 武 豊
3歳世代7,522頭の頂点を決める日本ダービー(G1)。その頂へとレースレコードで駆け抜けたのはドウデュースだった。
今年の日本ダービー馬を手掛けたホースマンの中でも、騎乗育成を手掛けてきたのが、ノーザンファーム空港の木村純一厩舎長だった。
「レースは自宅で見ていました。ノーザンファームで働かせてもらってから改めて、先輩の皆さんの日本ダービー(G1)に対する強い思いを目の当たりにしてきましたし、改めて勝つ大変さも感じていました」
それでも木村厩舎長の送り出した育成馬は、昨年の2歳牡馬G1をドウデュース(朝日杯FS(G1))とキラーアビリティ(ホープフルS(G1))が相次いで優勝。皐月賞(G1)だけでなく、この日本ダービー(G1)にもG1を制した育成馬2頭が18頭のゲートに入っていた。
「ドウデュースは皐月賞(G1)で3着でしたが、悔しいという気持ちよりも、クラシックを勝つのは簡単ではないと実感していました。ただ、その中で武騎手がこの馬の末脚を生かすような競馬をしてくれていましたし、牧場時代から器用さもある馬で、距離の不安も感じていなかっただけに、日本ダービー(G1)はチャンスがあるのではと思っていました」
ただ、今年の日本ダービー(G1)はハイレベルなメンバーとなった。18頭立てで行われるようになってから初めて、重賞を勝利したコマンドラインが除外対象となっただけでなく、青葉賞(G2)や京都新聞杯(G2)を勝利してきた新興勢力も18頭の中に加わってきた。
「皐月賞(G1)を勝ったジオグリフや2着のイクイノックスも強い馬でしたし、1番人気に支持されたダノンベルーガも高い能力を持っていると思いました。その意味ではキラーアビリティと2頭で、いいレースを見せてくれればと、レース前のプレッシャーは感じていませんでした」
ドウデュースの馬体重は皐月賞(G1)よりマイナス6㎏の490㎏。皐月賞(G1)の後から更に引き締まった馬体は、テレビ越しにも木村厩舎長には最高の状態に見えた。
「素晴らしい出来でした。パドックも落ち着いていましたし、一頭だけ汗もかいていませんでした。返し馬に入っていったときの動きも良かったですし、東京の芝2400mに向いた無駄な体力を使わない走りができると思っていました」
コロナ禍以降では最多の来場者となる、6万2,364人の歓声の中をレースはスタート。決して有利とはいえない7枠13番からのスタートとなったドウデュースは、後方14番手からレースを進めていく。
「ジオグリフ、ダノンベルーガと有力馬を目の前に置く形でのレースとなったので、位置取りとしてはこれでいいのではと思っていました。また後方からいつでも抜け出せるようなポジションでもあっただけに、同じ後方のレースとなりながらも、皐月賞(G1)とはまた違った印象がありました」
最後の直線、ドウデュースは馬場の真ん中へと進路を取る。
「仕掛けた時の反応を見て、前の馬は交わせると思いました。ただ、外からイクイノックスが伸びてきているのも見えていましたし、交わされるのではとドキドキしていました」
しかし、ドウデュースはイクイノックスの追撃をクビ差凌ぎ切って優勝。しかも、計時された勝ち時計の2分21秒9はレースレコードともなった。
「あのタイムには驚かされました。ただ、驚きや感動に浸っている間もなく、ゴールの瞬間から次々と連絡が入ってきました。さすが日本ダービー(G1)だなあと思いました」
「その喜びは日を追うごとに大きくなってきています」とも話す木村厩舎長。そして、共に働いてきたスタッフもまた、日本ダービー馬に接したホースマンとなった。
「スタッフたちも一生懸命に仕事をしてくれていますし、ドウデュースに関われたのは、誰もが誇りに思っているはずです」
そしてレース後、陣営からは凱旋門賞(G1)挑戦が発表された。木村厩舎長にとっても、凱旋門賞(G1)出走馬を手掛けるのはこれが初めてとなる。
「出られるだけでもあるかないかの世界ですし、楽しみだけでなく、チャンスもあると思っています。日本ダービー(G1)は応援に行けなかったので、凱旋門賞(G1)は行けたらいいなあと思っています」と木村厩舎長は笑顔を見せた。