重賞ウィナーレポート

2022年04月24日 フローラS G2

2022年04月24日 東京競馬場 雨 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:エリカヴィータ

プロフィール

生年月日
2019年02月03日 03歳
性別/毛色
牝/青毛
戦績
国内:3戦2勝
総収得賞金
70,650,000円
キングカメハメハ
母 (母父)
マルシアーノ  by  フジキセキ
馬主
三木 正浩
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
国枝 栄
騎手
田辺 裕信
  • 毎年のようにクラシック出走馬を送り出してる
    毎年のようにクラシック出走馬を送り出してる
  • 1歳馬たちが柵沿いに集合
    1歳馬たちが柵沿いに集合

 近年、オークス(G1)における活躍馬を多数輩出しているのが、オークストライアルのフローラS(G2)。過去にもこのレースを制したウインマリリン、モズカッチャン、チェッキーノが2着となっているだけでなく、昨年3着のユーバーレーベンは続くオークス(G1)を優勝。それだけに今年の勝ち馬となったエリカヴィータも注目が集まる。

 2020年のセレクトセール1歳セクションでは1億8700万円という、高い評価を受けたエリカヴィータであるが、イヤリング厩舎からノーザンファーム早来の村上厩舎に移ってきた時も、その馬体の良さは目を引いていたと話す。

 「キングカメハメハ産駒にしてはすらっとした体型をしており、脚長にも出ていました。乗り出した頃から背中には柔らかさも感じられていたように、様々な面でのポテンシャルの高さを感じさせていました」とは村上隆博厩舎長。この素材の良さを生かすべく、村上厩舎長は1歳から2歳にかけての冬場は決して急がせることなく、競走馬としての基礎作りに特化していく。

 「こちらが動かせば、動いてしまうのではないかと思えた程の感覚もありました。ただ、そこまで我慢をさせたことで、春先になって速いところを始めると、一気に良化してくれたのを見た時には、待って良かったと思いました」(村上厩舎長)

 2歳10月のメイクデビュー東京を勝利した後は、年明けのフェアリーS(G3)に出走。ただ、スタート直後に進路が狭くなっただけでなく、トップスピードに乗りかけた4コーナーでも、外に斜行した馬にぶつけられる形で大きくバランスを崩した。

 「牧場にいた頃から走りが綺麗で、トビも大きい馬だっただけに、トモを落とすほどの不利は可哀そうでした。ただ、そこから良く巻き返してくれたと思いますし、レース後、馬に怪我はないと聞いてホッとしました」(村上厩舎長)

 そこから約3か月を置いての出走となったフローラS(G2)。馬体重はフェアリーS(G3)よりも4㎏増となったが、その間の体重管理に関する苦労を、村上厩舎長はノーザンファーム天栄のスタッフからも聞いていた。

 「それでも体質も良くなっていたと話していましたし、しっかりと飼い葉を食べながら、運動をしてのこの馬体重だったので、前走よりも更にパフォーマンスは上がっているはずだと思っていました」(村上厩舎長)

 今回はゲートもスムーズに出たエリカヴィータは、向こう正面を前にパーソナルハイとシンシアウィッシュが激しい先行争いを繰り広げていくも、折り合いの不安も見られず、最内でじっくりと脚をためていく。最後の直線では外に進路を向けるも、前が狭くなったのを見た田辺裕信騎手は、再び内へと進路を変えていく。しかし、その間隙を縫うように、エリカヴィータがいたスペースに入った馬と挟まれるような形になるも、ひるむことなく抜け出てくると、そこからは抜群の瞬発力で、逃げ粘るパーソナルハイを交わした。

 「能力の高さや、センスの良さだけでなく、勝負根性の高さも感じさせてくれました。競走馬として必要な要素が揃っていることを証明してくれたレースになったと思いますし、改めてオークス(G1)が楽しみになりました」

 近親にはキンシャサノキセキといった短距離馬の名前もある血統背景ながらも、村上厩舎長は距離の心配はしてないだけでなく、むしろ、再び直線が長く、広い東京コースはエリカヴィータ向きだと話す。

 「本番まで時間はありませんが、馬体の維持さえできたのならば、能力を発揮してくれると思います」と村上厩舎長。今年のオークス(G1)でも要注目のフローラS(G2)出走馬となりそうだが、今年は優勝馬のエリカヴィータが、その勢いのままに樫の女王を戴冠するのかもしれない。