重賞ウイナーレポート

2022年03月01日 若草賞(GDJ)

2022年03月01日 名古屋競馬場 小雨 良 ダ 1400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:アンティキティラ

プロフィール

生年月日
2019年04月14日 03歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:13戦7勝
総収得賞金
17,904,000円
シニスターミニスター(USA)
母 (母父)
ネオヴァシュラン  by  エンパイアメーカー(USA)
馬主
組)志士十二組合
生産者
下河辺牧場 (門別)
調教師
別府 真司
騎手
多田 羅誠
  • アンティキティラの母ネオヴァシュラン
    アンティキティラの母ネオヴァシュラン
  • 今年は新種牡馬マテラスカイを交配したネオヴァシュラン
    今年は新種牡馬マテラスカイを交配したネオヴァシュラン
  • 下河辺牧場の放牧地
    下河辺牧場の放牧地
  • 下河辺牧場のアプローチ
    下河辺牧場のアプローチ

 『グランダム・ジャパン2022』3歳シーズンの開幕戦「若草賞(名古屋)」は、高知からの遠征馬アンティキティラが2着レイジーウォリアーに4馬身の差をつける完勝。前走の花吹雪賞(佐賀)につづいて重賞連勝を飾り、2歳10月からの連勝を「6」に伸ばした。

 アンティキティラの生まれ故郷は、日高町の下河辺牧場。2003年の三冠牝馬スティルインラブや2017年の菊花賞馬キセキなど、数々のG1馬を送り出してきた名門牧場である。現役馬では、昨年の全日本2歳優駿(Jpn1)を制したドライスタウトや、JRAの3歳重賞で連続2着しているタイセイディバインなどの3歳馬が注目を集めている。

 「正直、この活躍には驚いています。アンティキティラは生まれつき右トモの寛骨が曲がっていて、競走馬になれるかどうか心配した馬だったんですよ。ただ、昼夜放牧をつづけているうちに脚元も良くなってきて、地方競馬でならデビューできそうなところまで完治しました。ケガで馴致が遅れたりもしましたが、1歳秋には体重も500kgぐらいまで成長し、1歳の12月に門別の松本隆宏厩舎へ入厩したんです」と、下河辺隆行さんはアンティキティラの誕生から競走馬になるまでの経緯を話してくれた。

 そうして下河辺牧場のオーナーブリーディングホースとしてホッカイドウ競馬でデビューすることになったアンティキティラは、2歳5月のフレッシュチャレンジ(新馬戦)を快勝。幸先の良いスタートを切ったものの、そこから2勝目を挙げるまでには約5か月の時間を要してしまった。「勝てない期間は気性の強さが災いして、レースに集中できていなかったようですね。秋になって、ようやく本来の力が出せるようになったと松本調教師も言っていました」とデビューからの戦績を振り返る。

 2歳秋に2連勝をおさめて調子が上がってきたアンティキティラだが、11月初旬でホッカイドウ競馬の開催は終了。そこで、以前からお付き合いのある高知の別府真司調教師に相談したところ、ダノングッドなどのオーナーである志士十二組合との売買が成立。そうしてアンティキティラは、新天地・高知での競走馬生活を始めることになった。「難しい馬を松本調教師がよく立て直してくれましたし、バトンを受け継いだ別府真司調教師もさすがですね。良い調教師に恵まれたことが、この活躍につながっているのだと思います」と、下河辺さんは2人の調教師に感謝する。

 アンティキティラの牝系をさかのぼると、1990年に下河辺牧場が米国から輸入したシアトルスルー産駒のティルティングという繁殖牝馬が祖となっている。お腹にシアトリカルの仔を宿している状態で日本へ輸入し、翌年生まれたオーパスワンはJRAの芝中距離レースで3勝を挙げて繁殖入り。そしてサンデーサイレンスとの間にピサノキャニオンが生まれ、そのピサノキャニオンにエンパイアメーカーを交配して生まれたのがアンティキティラの母ネオヴァシュラン。約30年にわたり、下河辺牧場が大切につないできた牝系だ。「母のネオヴァシュランもJRAのダートで2勝していますし、父はドライスタウトと同じシニスターミニスターですから、血統的にはJRAのダートで活躍しても不思議ではない馬なんですけどね。ただ、ネオヴァシュランは繁殖入りしてから難産などもあり、これまでに競走馬となれたのはアンティキティラ1頭だけなんです」と、その血統背景について説明してくれた。

 高知移籍後は4連勝。遠征した佐賀や名古屋の重賞でも結果を残し、快進撃をつづけるアンティキティラ。「うちの牧場は基本的にマーケットブリーダーですから、ご縁のある方に馬を買っていただき、喜んでもらうことが1番の目標なんです。ですからアンティキティラの活躍も、関わったスタッフみんなが心から嬉しく思っています。まだ3歳ですから、これから長くオーナーを楽しませてくれる馬になってほしいと願っています」とエールを送る下河辺さん。スペルマロンやダノングッドなど、高知競馬を代表する馬を管理する名調教師の下で、アンティキティラがどんな馬に成長していくか楽しみだ。