重賞ウィナーレポート

2022年04月17日 皐月賞 G1

2022年04月17日 中山競馬場 曇 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ジオグリフ

プロフィール

生年月日
2019年02月25日 03歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:5戦3勝
総収得賞金
272,976,000円
ドレフォン(USA)
母 (母父)
アロマティコ  by  キングカメハメハ
馬主
(有) サンデーレーシング
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
木村 哲也
騎手
福永 祐一
  • ジオグリフが育成されていたA1厩舎
    ジオグリフが育成されていたA1厩舎
  • 入り口から事務所までは、かなりの距離がある
    入り口から事務所までは、かなりの距離がある

 今年のクラシック牡馬一冠目となる皐月賞(G1)を制したのは、ノーザンファーム生産馬のジオグリフだった。デビュー2戦目の札幌2歳S(G3)で初重賞制覇を果たし、今年の共同通信杯(G3)でも2着に入着。今年の牡馬クラシック戦線において、常に主力を形勢してきた実力馬が、単勝一桁台が5頭と言う混戦を制してみせた。

 「札幌2歳S(G3)のレース内容からしても、同じ右回りの中山コースを苦にすることは無いと感じていました。また初めての芝2000mという距離に関しても、折り合いさえ付けられればこなせると思っていました」と話すのは、ノーザンファーム空港の伊藤賢調教主任。主任としては昨年のエフフォーリアに続き、これで2年連続で皐月賞馬を送り出したこととなる。

 そして、伊藤主任の管理厩舎からはジオグリフの他にも、ドレフォン産駒の初年度産駒たちが、様々な条件で活躍を見せていた。2歳時にオープンのカトレア賞を勝利し、サウジダービー(G3)と兵庫チャンピオンシップ(Jpn2)でともに3着となったコンシリエーレ、そして、若葉Sを逃げ切ったデシエルトは、ジオグリフと共に皐月賞(G1)へと出走している。

 「総じて素晴らしい馬でしたが、その中でも柔軟かつ、ストライドの大きな走りをしていたジオグリフは、芝の中距離ぐらいで活躍できるのではないかと思っていました」(伊藤主任)

 伊藤主任には札幌2歳S(G3)の後の取材で、ジオグリフの母となるアロマティコの育成も手掛けていた話も聞かせてもらっていた。

 「様々な条件で勝ち馬を送り出しているドレフォン産駒ですが、その中でもジオグリフが芝の中距離で活躍しているのは、母の良さも伝わっているのではと思います。共同通信杯(G3)は2着に敗れていますが、あのレース内容を見て一ハロン伸びても大丈夫だと確信しました」(伊藤主任)

 7枠14番からの出走となった皐月賞(G1)。好スタートを切ったジオグリフは道中は先団を追走。鞍上の福永祐一騎手とのコミュニケーションも良く、ポジションを上げていきながら最後の直線を迎えていく。

 「スピードだけでなく、パワーも要求とされた馬場条件も、ジオグリフには合っていたかもしれません。それでも4コーナーでの手ごたえも抜群でしたし、その時に勝利を確信しました」(伊藤主任)

 人気馬が横並びとなった最後の直線。内からはダノンベルーガ、外からはイクイノックス。そして後方で脚を溜めたドウデュースが、一気に末脚を伸ばしてくる。だが、ジオグリフは先に抜け出したイクイノックスに並びかけたかと思うと、一気に交わし去り、その勢いのままに1馬身差を付けてのゴール。まさに完勝と言えるレース内容だった。

 そして、2着馬のイクイノックスの母であるシャトーブランシュもまた、伊藤主任が厩舎長時代に管理をしてきた馬だった。

 「牝馬の育成をしてきて良かったと思いました(笑)。福永騎手も完璧な騎乗でしたし、馬もそれに応えてくれた完璧なレースでした」(伊藤主任)

 この後はクラシック二冠制覇をかけて、日本ダービー(G1)へと出走。アメリカのダートスプリントチャンピオンを父に持つジオグリフだけに、距離の不安もささやかれているが、伊藤主任は東京芝2400mの条件はクリアできると思っている。

 「母の競走成績からしても、折り合いさえつけば日本ダービー(G1)の距離もこなせるはずです。何より、ジオグリフ自身がまだまだ緩さの残っている馬ですし、皐月賞(G1)より更に成長した姿をダービー(G1)では見せてくれると思います」(伊藤主任)

 新種牡馬の日本ダービー(G1)制覇となれば、2009年のネオユニヴァース以来の快挙。父の力だけでなく、母の力も借りて、ジオグリフは2019年世代の頂点を目指していく。