重賞ウィナーレポート

2021年12月11日 中日新聞杯 G3

2021年12月11日 中京競馬場 曇 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ショウナンバルディ

プロフィール

生年月日
2016年04月23日 05歳
性別/毛色
牡/黒鹿毛
戦績
国内:25戦5勝
総収得賞金
171,916,000円
キングズベスト(USA)
母 (母父)
バノヴィナ(AUS)  by  Redoute's Choice(AUS)
馬主
国本 哲秀
生産者
木村牧場 (門別)
調教師
松下 武士
騎手
岩田 康誠

 かつては父内国馬限定重賞として行われ、現在では暮れの中京競馬開催を締めくくる古馬ハンデキャップ競走として親しまれている中日新聞杯(G3)が12月11日に行われ、日高町の木村牧場生産ショウナンバルディが、積極的な先行策からマイペースに持ち込み、8番人気の低評価をあざ笑うかのように先頭ゴールイン。デビュー25戦目で重賞初勝利を記録した。

 生産した木村牧場にとってはハートオブクィーンが勝った2007年の函館2歳S(Jpn3)以来の重賞勝利。牧場は喜びに満ちている。

 日高町清畠に位置する木村牧場は昭和12年創業。当時は地域柄アラブ生産がメインだったというが、早い時期からサラブレッドに切り替え、そして1987年からは生産事業の傍ら、育成事業をスタート。94年からはファンタストクラブ内に厩舎を構え、本格的な育成牧場としてスタートを切っている。日本調教馬として初めて凱旋門賞(G1)2着したエルコンドルパサーも木村牧場の育成馬だ。

 現在、けい養する繁殖牝馬は約30頭。木村豪繁殖場長以下4人のスタッフで健康で丈夫な馬づくりに励んでいる。

 レースは土曜日ということもあって牧場テレビの前でスタッフ全員で見ていたそうだ。木村さんは「今回、休み明けということもあって人気はありませんでしたが、6月の鳴尾記念(G3)が2着で、七夕賞(G3)は3着。重賞競走でも十分に通用する能力があると思っていましたので楽しみにしていました」とレース前は思っていたそうで「正直に言えば能力を100%発揮してくれるのは、1度実戦を使われてからかなという思いもありました」。

 そんな半信半疑だった生産者の思いを打ち消すような逃げ戦法。「逃げても逃げなくても競馬ができる馬ですが、今回はメンバー的に逃げる選択肢もあるかなとは思っていました。ただ、これまでのレースでは休み明けは必要以上に力むケースもあったのですが、今回は岩田騎手が上手に導いてくれました」と笑顔を広げた。

 「自分たちのような牧場にとって中央競馬の重賞競走を勝つということは本当に大変なこと。今回はテレビ観戦ということもあってレース直後はあまり実感が湧かなかったのですが、たくさんの方からお祝いの電話やメールをいただき、そして花などが運び込まれるのを見て、改めて凄いことなんだと改めて思いました」と愛馬をたたえた。

 そんなショウナンバルディの牧場時代のことを尋ねると「母のバノヴィナはジェイエスの繁殖セールで買い求めた馬で、そのときにお腹に入っていたのがキングズベスト産駒。今のショウナンバルディです」と誕生エピソードをちらり。そして「牡馬としては少し線の細いところもありましたが、大きな病気をすることなく、順調に育ってくれた馬でした。体の成長を待つようにデビューは遅くなりましたが、その初戦で経験馬相手に逃げ切り勝ちを収めてくれたように能力の高さは持ち合わせていたと思います。ただ、それでも今のこの馬があるのは、この馬の成長に合わせてレースを選んでくれたオーナー、調教師や育成をしていただいたクローバーファームなど周囲の方々のおかげだと思います。年が明けてもまだ6歳馬。少しずつ力をつけてきた馬ですし、これからも1戦1戦 この馬の力を出しきるような競馬で、また大きなタイトルを獲ってくれたら嬉しいです」と期待している。