重賞ウィナーレポート

2021年12月04日 ステイヤーズS G2

2021年12月04日 中山競馬場 晴 良 芝 3600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ディバインフォース

プロフィール

生年月日
2016年04月05日 05歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:23戦4勝
総収得賞金
167,868,000円
ワークフォース(GB)
母 (母父)
ツクバビューティ  by  ゼンノロブロイ
馬主
吉田 晴哉
生産者
追分ファーム (安平)
調教師
寺島 良
騎手
田辺 裕信
  • 昨年は中央では過去最高となる、70頭の産駒が勝ち上がった
    昨年は中央では過去最高となる、70頭の産駒が勝ち上がった
  • 施設も拡充されつつある
    施設も拡充されつつある

 格上挑戦となったステイヤーズS(G2)を優勝。見事に重賞ウイナーの仲間入りを果たしたディバインフォース。2010年に英ダービー(G1)、そして凱旋門賞(G1)を制した父ワークフォースにとっても、これが産駒初となるグレードレース制覇となった。

 その勝利は育成を手掛けただけでなく、毎年のように調整も行ってきた追分ファームリリーバレーのスタッフにとってもまた、格別の勝利となった。育成時からディバインフォースの成長を見届けてきた河野厩舎長は、「育成時の印象としては優等生な馬であり、乗り役も選ばなかったところか、気のいいのに扱いやすいという優等生でした」と育成時の印象を振り返る。2歳のデビュー時は440kg台、6歳になっても460kg台の馬体重ながら、このサイズが長距離に適した燃費の良さともなったのではと河野厩舎長は分析する。

 「ワークフォース産駒としても線の細い印象がありますが、これは母系の特徴も出ているのかもしれません。飼い葉の食いは細くは無かった一方で無駄肉が付きづらく、重たさとは無縁の動きを見せていました」

 順調に調教も進められたこともあり、2歳時にはメイクデビュー札幌で初戦を迎えるも、河野厩舎長は2歳時からというより、レースを使われながら成長していくと見ていた。

 「管理をしていただいている寺島先生も、洋芝をこなせるような力はつき切っていないが、時計勝負の競馬場よりも適性があるとの判断でレースを使ってくれたようです。レースを見てもまだまだスピードも足りませんでしたが、確実な良化も見て取れましたし、未勝利で終わる馬ではないとも感じていました」

 その期待通りに5戦目に3歳未勝利戦を勝ち上がると、次走は青葉賞(G2)へと出走。その後は追分ファームリリーバレーへと戻ってきて、英気を養った。

 「次の年も牧場へ戻ってきましたが、その時も疲れは見られず、痛んでもいませんでした。この辺も長距離向きという良質な筋肉を身にまとっていたのかもしれません」

 その適性を示したのが横山典弘騎手を鞍上に、4着に入着した菊花賞(G1)だった。その後も芝長距離のレースを使われながら、好走を続けていく中、今年の天皇賞(春)(G1)にも出走。15着に敗れた後、三度、追分ファームリリーバレーへと戻ってくるが、その時の姿は、これまでには見たことがないほどに疲弊しきっていた。

 「サンシャインSから中1週での天皇賞(春)(G1)参戦となったことや、やはり、G1特有の厳しいレースとなった疲れもあったかと思います。筋肉も痛んでいたのか、人間に触られるのもいやな仕草を見せていましたし、時には攻撃的な面も見せるようになっていました」

 関係者との話し合いの結果、肉体面だけでなく、精神面のケアに充てる時間も必要との判断がされ、夏期間は北海道シリーズへ参戦させずに、秋競馬を目標に立て直されていく。

 「リラックスさせているうちに心身ともに落ち着いてきて、歩様もゴツゴツしていたのが取れてきました。入厩間際になると、昨年、一昨年のイメージに近づいてきた感もありましたし、これならいけるのではとの期待もありました」

 デビューから23戦目での重賞制覇となったが、「改めて、競走馬はアスリートだと見つめ直す機会となりましたし、ゴール前での頑張りは、ディバインフォースに関わってきたみんなの努力を、馬自身が受け止めてくれたような気がしています。芝3600mの距離を走り切ったことも含めて、改めてご苦労様という気持ちです」と労をねぎらう。そして河野厩舎長は、この勝利でもう一つ達成された「初めて」にも喜びを述べた。

 「吉田晴哉社長の勝負服では、初めての重賞勝ちとなったのは、社員の一人としても嬉しいです。励みにもなりますし、追分ファーム全体が、また1つ前に進めたような気もしています」と河野厩舎長は力を込める。次走は日経賞(G2)、その後は天皇賞(春)(G1)への出走を予定。追分ファームが更に前に進むためにも、一気にG1馬へと上り詰めてもらおう。