重賞ウィナーレポート

2021年11月14日 福島記念 G3

2021年11月14日 福島競馬場 晴 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:パンサラッサ

プロフィール

生年月日
2017年03月01日 04歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:18戦4勝
総収得賞金
301,700,000円
ロードカナロア
母 (母父)
ミスペンバリー(IRE)  by  Montjeu(IRE)
馬主
広尾レース (株)
生産者
木村 秀則 (静内)
調教師
矢作 芳人
騎手
菱田 裕二

 秋の福島開催を代表するハンデ戦「第57回福島記念(G3)」が11月14日に行われ、新ひだか町駒場の木村秀則牧場生産で、5番人気パンサラッサが逃げ切り勝ち。木村秀則牧場は11月6日の東京競馬「京王杯2歳S(G2)]に続く2週連続重賞勝利となった。

 同牧場は2011年創業という歴史の浅い牧場だが、2019年福島記念(G3)、20年七夕賞(G3)を勝ったクレッシェンドラヴも送り出しており、「牧場としても福島競馬場は相性の良い競馬場になりました。今年前半はあまり良いことが多くなかったので、なおさら嬉しいです」と、少し照れたように白い歯を見せた。

 現在、同牧場には繁殖牝馬21頭。その多くは馬主から預かっている馬だというが、約50haという広大な土地を利用して、丈夫で強い馬づくりに励んでいる。

 「母ミスペンバリーは競馬で勝つことはできませんでしたが、初年度から2年連続でディープインパクトを配合してきたように、とても期待の高い繁殖牝馬です。これだけの繁殖牝馬をオーナーからお預かりしたのですから、何とか結果を出したかったのでほっとしています」と木村社長。その牧場時代は「半姉ディメンシオンも本当に素晴らしい馬でしたが、この馬も骨太で、バランスが良く、十分に高い評価を与えられるような馬でした」と期待の膨らむ1頭だったそうだ。

 レース当日は牧場でのテレビ観戦。「初勝利のときが不良馬場で大差勝ち。ラジオNIKKEI賞(G3)も、稍重馬場で2着。レースの前は何とか福島地方に雨が降ってくれないかと願っていました」という生産者の心配を払拭するようにダッシュよくゲートを飛び出した愛馬は、前走同様にグングン飛ばして後続を引き離していく。

 「オクトーバーSは、見た目には後続を引き離した逃げでしたが前半1000mが59秒3と平均ペースでした。今回は直線が短い福島競馬場とはいえ前半1000m通過が57秒3。ラップを見たときは、さすがに不安な気持ちになりましたが、それでも心の中で頑張れ、頑張れと応援していました」。

 そんな木村さんの思いが届いたのか、1度は後続に差を詰められたものの、そこから再び加速。ゴールでは2着馬に4馬身の差をつけて、重賞ウイナーの仲間入りを果たしている。

 「レースのあと(父ロードカナロアを繋養する)社台スタリオンステーションの方からもお祝いの言葉をいただきましたが、この馬が重賞競走に勝つことができたのは、オーナーサイドのご協力や矢作厩舎の方々はもちろん、中期育成牧場や後期育成牧場の方々など携わったすべての人のおかげです」と感謝の言葉を述べ「生産者が馬にしてあげられることは限られたことだと思いますので、その限られたことは手を抜かずにやり遂げたい。良いことも、悪いこともある仕事だからこそ、これからも自分自身に嘘を付くことなく、馬と真正面から向き合っていきたいです」と久しぶりに表れた個性派スターの生産者は前を向いていた。