2021年11月03日 JBCクラシック(中央交流) Jpn1
優勝馬:ミューチャリー
プロフィール
- 生年月日
- 2016年03月31日 05歳
- 性別/毛色
- 牡/芦毛
- 戦績
- 国内:23戦8勝
- 総収得賞金
- 279,080,000円
- 父
- パイロ(USA)
- 母 (母父)
- ゴッドビラブドミー by ブライアンズタイム(USA)
- 馬主
- 石瀬 丈太郎
- 生産者
- 芳住 鉄兵 (新冠)
- 調教師
- 矢野 義幸
- 騎手
- 吉原 寛人
金沢競馬場で行われたJBCクラシック(Jpn1)は船橋から参戦したミューチャリーが優勝した。
本馬の生産は新冠町の芳住鉄兵さん。約50年にわたって家族経営でサラブレッドの生産をしている。現在、繁殖牝馬は10頭。
レース当日、芳住鉄兵さんは母・邦子さんと牧場で声援を送っていた。「先行できればチャンスと思っていました。吉原寛人騎手が理想の競馬をしてくれたと思います。4コーナーをまわって先頭に立った時には勝利を予感しました。最後はオメガパフュームが迫っていたので、祈るような気持ちでした。金沢競馬場の直線が長く感じました」と、喜びを語った。牧場にとってはこれが生産馬初のグレードレースV。新冠町のレ・コード館には優勝垂れ幕が掲げられ、鉄兵さんのツイッターには、多くのファンからお祝いメッセージが寄せられた。
本馬は父パイロ、母ゴッドビラブドミー、母の父ブライアンズタイムという血統。母は3番子から芳住牧場で出産を始め、本馬は7番子だった。牧場時代の本馬については、「パイロの産駒としては大人しく、小ぶりで、母馬の特徴が表れていますね。姿のきれいな馬で、当時は中央で1つ、2つ勝てるだろうという期待を持っていました」(芳住さん)
同牧場で1歳春までを過ごし、その後は新冠町の日高軽種馬共同育成公社に移動。じっくりと中期・後期育成期間を過ごした。同牧場・業務課長の漆原和幸さんは、「1歳5月末に入厩しまして2か月間、夜間放牧をしました。その後、8月から馴致を始めて、9月には乗り始めていました。順調に進んで、早い段階から調教できましたね。リフレッシュを挟みながら坂路やダートコースで調教し、2歳春過ぎに送り出す頃には終い1ハロン13秒ぐらい出していました。トビが大きく、迫力ある動きが目立っていましたし、デビュー戦からやれると自信を持っていました」と、振り返る。
本馬の母ゴッドビラブドミーは芳住さんの牧場で繁殖生活を続けている。阪神3歳牝馬S(G1)・3着の祖母ゴッドインチーフと同じく芦毛で、すっかり白い姿だ。1歳には父パイロの牡馬、当歳には父アジアエクスプレスの牡馬がいる。来年の出産はお休みで、現在は他の当歳馬たちと元気に過ごしている。
「1歳はセレクションセールで販売しました。細身のタイプで、ミューチャリーと似ていますね。当歳は幅があって大きくなりそうです。性格はやんちゃですね。こちらは庭先取引でご縁がありました。ともに将来を楽しみにしています。ゴッドビラブドミーは来年の配合を検討中です。ミューチャリーと一緒に走ったことのあるクリソベリルも考えています」(芳住さん)
これまでも幾度とJpn1レースで上位争いをしてきたミューチャリーは、今回の勝利で獲得賞金が2億6,000万円を超えた。高い壁となっていた地方馬によるJBCクラシック(Jpn1)制覇を成し遂げ、地方競馬史に残る名馬へ階段を上がっている。脚質に幅が出て、今後も古豪健在の走りを見せてくれるだろう。芳住さんは「無事に」と今後の競走生活を願う。
「これからも一戦一戦、無事に走ってきて欲しいです。この馬自身、サンデーサイレンスの血が入っていませんし、パイロの後継種牡馬の一頭として、先々は種牡馬になってくれたら最高ですね」