重賞ウィナーレポート

2021年10月30日 アルテミスS G3

2021年10月30日 東京競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:サークルオブライフ

プロフィール

生年月日
2019年03月24日 02歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:3戦2勝
総収得賞金
141,325,000円
エピファネイア
母 (母父)
シーブリーズライフ  by  アドマイヤジャパン
馬主
飯田 正剛
生産者
千代田牧場 (静内)
調教師
国枝 栄
騎手
M.デムーロ

 まだレースとしての歴史は浅いものの過去の優勝馬には、のちのちの活躍馬がズラリと名を連ねる「第10回アルテミスステークス(G3)」が10月30日に東京競馬場で行われ、新ひだか町の千代田牧場生産サークルオブライフが、後方待機策から最後の直線で力強く脚を伸ばして、デビュー3戦目で重賞初勝利を記録した。通算成績は3戦2勝。

 千代田牧場は1945年創立の総合牧場。屋内坂路コースや1000mトラックコースを備える新ひだか町の本場はじめ、千葉牧場、新冠分場、カントリー牧場(旧カントリー牧場)など多様な施設を使って生産、育成、中期育成、調教、休養などを行っている総合牧場で、天皇賞馬イチフジイサミやニッポーテイオー、ヴィクトリアマイル(G1)優勝ホエールキャプチャなど数多くの活躍馬を送り出している。

 「デビュー戦も十分な見せ場を作ってくれましたし、前走は鳥肌が立つような競馬で勝ち上がってくれました。育成時代から高い評価を与えていた馬ですから、私たちにとってはその期待通りの走りを見せてくれたこと、そして勝利に導いてくれたM・デムーロ騎手にとっての重賞100勝目という区切りの勝利となったことも嬉しいです」と興奮冷めやらぬ口調でレースを振り返ってくれたのは千代田牧場の飯田貴大専務。大学を卒業後、この2歳世代が生まれる春から牧場に戻ってきただけに喜びもひとしおだ。

 「社長(飯田正剛氏)が95年の米国キーンランド社ジュライセールで買い求めたのが本馬の曾祖母スターマイライフです。86年米国年度代表馬レディーズシークレットの半妹という血統で、そのセールでは1番馬とも言われていたそうです。まだ私が生まれる前の話です」と飯田専務。

 大きな期待とともに日本の地を踏んだスターマイライフは種子骨炎を患うなど競走馬としてはその期待に十分応えたとは言い難いが、初勝利を挙げたときには2着馬を7馬身引き離すなど非凡な能力を見せた馬だった。そのスターマイライフに日本調教馬として欧州G1制覇を成し遂げたタイキシャトル、そして名牝ビワハイジ、シーザリオの血を取り入れたのがサークルオブライフ。その名前のとおりに命の輪を紡いで生まれた名牝だ。

 「母シーブリーズライフは新潟競馬場の新馬戦、そして東京競馬場のクロッカスSに勝ってフィリーズレビュー(G2)5着馬。桜花賞(G1)まで駒を進めた馬ですが、少し馬格に恵まれないところがありました。エピファネイアを配合したのは能力が魅力だったのはもちろんですが、体型的な相性の良さを感じたからです」と牧場時代のエピソードも話してくれた。

 レース後は、すぐに千葉牧場に戻してケア。「痛めたところもなく、疲れもまったく見せていません」と、さっそく次の目標(阪神ジュベナイルフィリーズ(G1))に向かって態勢を整えていくそうだ。

 「新たな血を取り入れてから、それが実を結ぶまでに時間がかかることもありますが、決して諦めることなく、大切に血を育んでいけば報われると感じさせてくれる勝利でした。この馬の最大のセールスポイントは優れた心肺機能。この勝利で桜花賞(G1)、そしてオークス(G1)への出走をほぼ確実にしたと思うので、これからはとにかく無事に、そしてレースでは、この馬の能力が十分に発揮できるような競馬をして欲しい」と期待に胸を膨らませている。