重賞ウィナーレポート

2021年10月24日 菊花賞 G1

2021年10月24日 阪神競馬場 曇 良 芝 3000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:タイトルホルダー

プロフィール

生年月日
2018年02月10日 03歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:8戦3勝
総収得賞金
1,068,751,000円
ドゥラメンテ
母 (母父)
メーヴェ(GB)  by  Motivator(GB)
馬主
山田 弘
生産者
岡田スタツド (静内)
調教師
栗田 徹
騎手
横山 武史

 名は体を表すというが、競走馬のオーナーは、決して安くはない金額を出して購入した愛馬に、それぞれの思いを込めた名前を付ける。そのネーミングからオーナーの期待の大きさや、血統に対するアプローチなども伺い知ることができる。それもまた、競馬ファンの楽しみのひとつだ。

 第82回菊花賞(G1)を勝ったタイトルホルダーの名前の由来はJRAホームページによれば「選手権保持者。父、母父、二代母父がダービー馬なので」とあるが、この菊花賞(G1)を境に菊花賞馬タイトルホルダーは文字通りに、大きなタイトルホルダーとなった。こんなサクセスストーリーは、そうあるものではない。

 そんなタイトルホルダーの生まれ故郷は北海道新ひだか町の岡田スタッド。1947年に創業された岡田蔚男牧場を前身とし、85年に同牧場を引き継ぐ形で現称へと変更されている。生産、育成、そして調教部門を兼ね備えた総合牧場で、その歴史の中で2016年の最優秀ダートホースのサウンドトゥルーや、07年有馬記念(G1)優勝マツリダゴッホ、あるいは2010、11年と2年連続でダートグレード競走特別賞を受賞したスマートファルコンなどを送り出してきたが、JRAのクラシック競走は今回が初勝利。牧場全体が喜びに包まれた。

 「半姉メロディーレーンは極端に小さな馬体で話題になりましたが、それでも牡馬に交じって菊花賞(G1)5着。当時、育成をスタートさせたばかりのこの馬に対する期待も膨らみました」と話してくれたのは岡田牧雄社長。北海道内外に7つの牧場を持つ、岡田スタッドグループの代表だ。

 そんな期待を背負いながら育成カリキュラムを確実にこなし、2歳春を迎えるころには期待が確信へと変わっていった。「同期生の中では抜けた存在になっていました。どこが良いって、とにかく心肺機能と運動神経が良い馬でした」と牧場時代を振り返る。

 2歳秋にデビューし、2戦目には重賞の東京スポーツ杯2歳(G3)で2着となるなど早い段階から頭角を表していたものの「目標は菊花賞(G1)」という信念に揺るぎはなく、それは弥生賞(G2)を逃げ切ったあとも変わることはなかった。

 ダービー(G1)のあとは北海道の牧場に戻して夜間放牧でリフレッシュ。秋初戦のセントライト記念(G2)は厳しいマークにあって思うような競馬ができなかったが、それが逆に自分のイメージを伝えやすくもなった。

 「菊花賞(G1)は目標としていたレースだから、悔いを残さないためにも逃げてスタミナ勝負に持ち込んでほしかった」。新聞やテレビなど各種メディアを通して、タイトルホルダーのセールスポイントを訴え続け、手綱を託された横山武史騎手はそうした思いに応えるように思い切った逃げ戦法から最後の直線で後続を突き放した。

 「昨年は購入馬デアリングタクトで牝馬三冠を獲らせてもらいましたが、やはり生産馬のクラシック制覇は格別なものがあります。タイトルホルダーは、まだまだ強くなってくれると思いますし、これからも、この馬に適したレースを選んで出走させることになると思います。頑張ってほしい」と期待に胸を膨らませている。