重賞ウィナーレポート

2021年07月17日 函館2歳S G3

2021年07月17日 函館競馬場 晴 良 芝 1200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ナムラリコリス

プロフィール

生年月日
2019年04月26日 02歳
性別/毛色
牝/芦毛
戦績
国内:3戦2勝
総収得賞金
39,299,000円
ジョーカプチーノ
母 (母父)
ナムラキッス  by  マツリダゴッホ
馬主
奈村 睦弘
生産者
桑田 正己 (荻伏)
調教師
大橋 勇樹
騎手
泉谷 楓真

 かつて、函館開催が札幌開催のあとに行われていた時代にはバンブトンコート(最優秀2歳牡馬)やシルクスキー(同2歳牝馬)あるいはサクラシンゲキ(スプリンターズS)やホクトフラッグ(朝日杯3歳S)シャダイソフィア(桜花賞)エルプス(桜花賞(G1))など、のちの活躍馬を続出させているレースだったが、1997年から北海道シリーズの開催順が入れ替わり、札幌開催の前となった。そのため、中央競馬の2歳世代馬にとっては最初のJRA重賞となった。

 今年は7月17日に、ホッカイドウ競馬所属馬1頭含む11頭により函館競馬場芝1200mコースで行われ、外枠からダッシュよく飛び出した泉谷楓真騎手騎乗の3番人気ナムラリコリス(牝2歳、栗東・大橋勇樹厩舎)が好位追走から最後の直線で楽に抜け出して勝利。世代最初の重賞勝ち馬となった。

 同馬の生まれ故郷は浦河町の桑田正己さん。昭和7年創業という歴史ある牧場で、現在、繋養繁殖牝馬は4頭。家族労働で、ていねいな馬づくりを実践してきたが、今回の勝利が、牧場創業以来、最初のJRA重賞勝利となった。

 「私たちのような牧場にとって、中央競馬の重賞競走は出走するだけでも特別なこと。競馬場に行きたい気持ちもありましたが、入場制限が行われていましたので」と2009年ニュージーランドトロフィー(G2)(オメガユリシス)以来となる生産馬の重賞出走を、テレビの前で家族揃って見守っていたそうだ。

 レース前は「本命になっていた馬は、札幌のデビュー戦で歯が立たなかった馬。でもナムラリコリスは負けたことでキャリアを積むことができた。その強みを生かして、少しでも良い競馬をしてくれたら」と思っていたそうだが、ナムラリコリスは力強い走りで先頭を駆け抜けた。

 「抜け出してからは無我夢中でした。子供や孫たちと一緒に喜ぶことができて、本当に嬉しい。素晴らしい繁殖牝馬を預けてくれたオーナーはもちろん、このレースを目標にしっかりと調子を整えてくれた大橋調教師、デビュー前から調教をつけてくれた泉谷騎手が馬の個性を理解してくれたおかげ。長くこの仕事をやってきて本当に良かった」と感謝の言葉を続けた。

 母ナムラキッスは桑田さんの生産馬ではないが、付き合いのある奈村睦弘オーナーの所有馬ということもあって桑田さんの牧場に幸運をもたらしてくれた。「ジョーカプチーノとの配合もオーナーに決めていただきました。母親は気性の激しい馬で、扱いに難しいところがあるのですが、今回の勝利で、少しでも恩返しが出来たのなら良かった」と話し、「生まれたときのナムラリコリスは、牝馬だけに少し線の細いところもありましたが、しっかりした馬でサイズ的には申し分ない馬でした。1歳年下には、グレーターロンドンを父に持つ弟がいます。この馬も元気に成長しています」と、その成長ぶりに満足し、楽しみにしている。

 「今年の春先に奈村オーナーが、競走馬は馬主だけが頑張っても、調教師だけが頑張っても、牧場だけが頑張ってもダメということをおっしゃっておられました。みんなの気持ちが一つになったからこそ、今回の勝利につながったのだと思いますし、そういう輪の中に入れたことがうれしいです。ナムラリコリスは、この勝利でクラシックの権利をとることができたので、とにかくこのあとは無事に、この馬らしい競馬をしていってほしい」とエールを送っている。