2021年06月20日 高知優駿(DS2021)
優勝馬:ハルノインパクト
プロフィール
- 生年月日
- 2018年05月24日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:19戦11勝
- 総収得賞金
- 36,175,000円
- 父
- ヴァンセンヌ
- 母 (母父)
- エーシンフォチュナ by エイシンプレストン(USA)
- 馬主
- 深瀬 歩
- 生産者
- 中地 義次
- 調教師
- 宮路 洋一
- 騎手
- 西川 敏弘
『ダービーシリーズ2021』の最終戦として行われた「高知優駿(高知)」は、2番人気のハルノインパクトが3馬身差の快勝。金沢から2頭、兵庫と佐賀から各1頭の遠征馬が参戦するなか、地元馬の意地を見せて黒潮皐月賞につづく高知二冠を達成した。
ハルノインパクトの生産は、新冠町明和の中地義次さん。ダート重賞3勝を挙げ、2012年のフェブラリーS(G1)でも2着したシルクフォーチュンなどの活躍馬を送り出してきた牧場で、中地さんは若いころに日本ダービー馬カブラヤオーの育成にも関わったそうだ。現在は14頭の繁殖牝馬とその仔たちを、ご家族で管理している。
「他地区からの遠征馬も含めて強いメンバーが揃っていましたが、よく勝ってくれましたね。ずいぶん昔に育成で関わったカブラヤオーが日本ダービーを勝った時も嬉しかったですが、やはり生産馬がダービー馬となるのは格別です」と愛馬のダービー制覇を喜ぶ中地さん。「終始そつないレース運びで、位置取りや仕掛けのタイミングが絶妙でした。西川騎手の好騎乗も光ったと思います」とベテランジョッキーの手綱捌きに感心する。
「ハルノインパクトは、生まれた時から大きくて立派な馬でした。順調に育って1歳夏のサマーセールに上場したのですが、声が掛からず主取りとなってしまったんです。その後、庭先取引を経て現在のオーナーとご縁がありました」と、ハルノインパクトが牧場で育って巣立つまでの記憶をたどってくれた。
母エーシンフォチュナは現役時代、笠松競馬で4勝を挙げたエイシンプレストン産駒。4歳春に現役引退後、知人の紹介により中地義次さんの牧場で繁殖生活を送ることになった。「エーシンフォチュナはパワータイプの馬で、産駒の走りを見てもスピードが足りないと感じていました。それを補うために、スピードに優れてキレのある種牡馬を選んで配合したんです。せり場では『なんでダート馬の母に芝馬を種付けしたの?』とも言われましたが、こうして結果が出て良かったです」と笑顔を見せる。
中地さんが言う“スピードに優れてキレのある種牡馬”とは、ディープインパクト産駒のヴァンセンヌ。2015年の安田記念(G1)で、モーリスにクビ差まで迫る強烈な末脚を披露したのは記憶に新しい。2016年に種牡馬入りしてからの生産頭数は30~40頭に止まっているが、今年はトゥルスウィーが九州ダービー栄城賞、そしてハルノインパクトが高知優駿を制して地方競馬のダービーを2勝。2年目産駒のブレイクで、来年以降の種付けシーズンにも勢いがつきそうだ。
一方の母エーシンフォチュナは今年、サングレーザーを交配。キレのあるディープインパクト産駒という点では、ヴァンセンヌともイメージが重なる。「もともと仔出しの良い母馬ですが、ハルノインパクトの活躍でブラックタイプが濃くなりましたからね。来年生まれてくる仔もそうですが、これからの繁殖生活にも楽しみが膨らみます」と13歳となった母にもさらなる期待をかける。
「ハルノインパクトは、高知優駿が19戦目。本当に頑張ってくれていますね。今後も無事に競走生活を送ってほしいと願っています。そして多くの競馬ファンに、ハルノインパクトの名前を知ってもらえるような活躍を見せていってほしいです」とエールを送る中地さん。まずは8月29日(日)の黒潮菊花賞で、2009年のグランシング以来12年ぶり、史上4頭目となる高知三冠を達成することが最大目標となりそうなハルノインパクト。その先には、西日本ダービー(9月14日・名古屋)やダービーグランプリ(10月3日・盛岡)で、高知代表として全国各地の強豪馬たちと渡り合う姿をぜひ見たいものだ。