2021年06月17日 北海優駿(ダービー)(DS2021)
優勝馬:ラッキードリーム
プロフィール
- 生年月日
- 2018年05月09日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:9戦6勝
- 総収得賞金
- 192,760,000円
- 母 (母父)
- サクラスリール by ファンタスティックライト(USA)
- 馬主
- 林 正夫
- 生産者
- 谷岡牧場 (静内)
- 調教師
- 林 和弘
- 騎手
- 石川 倭
『ダービーシリーズ2021』の第7戦「北海優駿(ダービー)」は、JBC2歳優駿(Jpn3)&北海道クラシック一冠目・北斗盃の覇者ラッキードリームが1番人気に応えて快勝。同厩舎でありライバルのリーチを残り200mで捕らえ、ホッカイドウ競馬3歳三冠に王手をかけた。
ラッキードリームの生まれ故郷は、新ひだか町静内の谷岡牧場。1935年創業と歴史は古く、サクラチヨノオーやサクラローレルなど“サクラ”の冠で知られる名馬を多く輩出。今年も日本ダービー(G1)前日に行われた3歳重賞・葵ステークスを、生産馬のレイハリアが優勝。コンスタントに活躍馬を送り出してきた名門牧場だ。現在は繁殖牝馬26頭を管理しており、NARグランプリ年度代表馬に2度輝いたラブミーチャンも同牧場で繁殖生活を送っている。
「北海優駿(ダービー)は北斗盃と逆の展開になり、同厩のリーチが思いのほか粘り強かったので、最後の直線は少し苦しそうに見えました。でも、無事に勝ってくれてホッとしました」とレースを振り返るのは、同牧場の3代目代表・谷岡康成さん。「ラッキードリームは手がかからず、クセがなくて扱いやすい馬でした。体も丈夫で余計な心配をする必要がなかったですね」と同馬が牧場で過ごした時期を思い出しながら話してくれた。
ラッキードリームの起源は1969年、康成さんの父・幸一さん(谷岡牧場2代目代表)がイギリスの繁殖セールに故・岡田繁幸氏ら数人と出向き、スワンズウッドグローヴという繁殖牝馬を購入して輸入したことに遡る。その牝系からは1988年の日本ダービー馬サクラチヨノオーをはじめ、サクラホクトオー(朝日杯3歳S(G1)など重賞3勝)、サクラプレジデント(中山記念(G2)など重賞3勝)、サクラエイコウオー(弥生賞(G2)など重賞2勝)、サクラセカイオー(エプソムカップ(G3))、サクラトウコウ(七夕賞(G3))など、綺羅星のごとく活躍馬が出て谷岡牧場繁栄の礎を築いてきた。そのスワンズウッドグローヴからサクラセダン(中山牝馬Sなど26戦6勝)~セダンフオーエバー(未出走)~サクラユスラウメ(6戦1勝)~サクラスリール(未出走)と牝系をつなぎ、サクラスリールの3番仔として生まれたのがラッキードリーム。基礎繁殖導入から約50年の時を経て生まれたダービー馬ということになる。「牧場を経営していく中で、どの血統を残していくかには頭を悩ませます。サクラスリールは未出走馬ですが、馬体がしっかりとして扱いやすかったのでサクラユスラウメの後継として繁殖に残しました」とその経緯を明かす。
1歳夏まで順調に育ったラッキードリームは、2019年のサマーセールに上場。無事に落札されて門別競馬場(北海道・林和弘厩舎)へ移動し、育成が施されていった。「デビュー前の能力検定の動きが本当によかったですね。調教師もそれを感じていたと思います」と谷岡さんが話すように、ラッキードリームは2歳5月のデビュー戦を4馬身差で圧勝。そして秋にはサッポロクラシックカップで重賞初勝利を飾り、その勢いを駆ってJBC競走の2歳カテゴリーとして新設されたJBC2歳優駿(Jpn3)も制覇する。「JBC2歳優駿(Jpn3)はJRAからも強い馬が参戦する中のレースだったので、最後の直線に入ってからはゴールを切るまでずっとハラハラしながら観戦していました。記念すべきレースで生産馬が勝ってくれて本当に嬉しかったです」と昨年の快挙についても振り返ってくれた。
ラッキードリームの1歳上にはカプリフレイバーがいて、南関東競馬の短距離路線で活躍中。昨年の優駿スプリント(大井)を制し、北海優駿(ダービー)の2日前に行われた川崎スパーキングスプリント(川崎)で重賞2勝目を飾っている。「サウスヴィグラスとの交配で生まれた2番仔がカプリフレイバーで、シニスターミニスターとの交配で生まれた3番仔がラッキードリームです。シニスターミニスターのパワーある馬体はずっと気になっていて、種牡馬としての実績が上がってきていたので試してみることにしました」と交配の理由について説明する。
そして、昨年誕生した牝馬(現1歳)の父はコパノリッキーで、ユニオンオーナーズクラブでの募集がまもなく始まる。「コパノリッキーは馬産地でも注目の種牡馬ですし、兄2頭が重賞ウイナーですから楽しみですね」とデビューする日が待ちきれない様子。今春は父シルバーステートの牝馬が誕生し、母に寄り添いながら放牧地で健やかに育っている。「福永祐一騎手がシルバーステートのことを賞賛していたのが気になり、過去のレースを何度も観て交配を決めました。生まれてきた仔は気が強く、母親譲りの丈夫な体をしています」と当歳馬を紹介。現在、サクラスリールのお腹にはダイワメジャーの仔が宿っているそうだ。
「丈夫な馬は古馬になっても成長して走り方が変わっていきます。ラッキードリームはまだ3歳ですし、慌てずに成長を見守っていきたいですね。そして将来、チャンピオンズカップ(G1)やフェブラリーステークス(G1)で走る姿を見てみたいです」とエールを送り、未来を見据える谷岡さん。ぜひ、その壮大なドリームを実現してほしい。