2021年05月23日 佐賀ヴィーナスC(GDJ)
優勝馬:ロカマドール
プロフィール
- 生年月日
- 2016年03月01日 05歳
- 性別/毛色
- 牝/鹿毛
- 戦績
- 国内:22戦7勝
- 総収得賞金
- 40,500,000円
- 父
- ロードカナロア
- 母 (母父)
- モエレフルール by ゴールドヘイロー
- 馬主
- 庄司 修二
- 生産者
- 三石橋本牧場 (三石)
- 調教師
- 山崎 尋美
- 騎手
- 山崎 誠士
『グランダム・ジャパン2021』古馬シーズンの開幕戦「佐賀ヴィーナスカップ(佐賀)」は、南関東からの遠征馬ロカマドールが差し切り勝ち。ゴールでは地元馬のアンバラージュやゴールドメファ、愛知からの遠征馬シーアフェアリーらと横一線に並ぶ大接戦となったが、馬群の中を鋭く伸びたロカマドールが内を突いてクビ差だけ先着。5歳にして嬉しい初重賞勝利をなし遂げた。
ロカマドールの生まれ故郷は、新ひだか町三石に牧場を構える三石橋本牧場。過去にはナリタブライアンが三冠馬となった1994年のクラシックで、日本ダービー(G1)3着、菊花賞(G1)2着と健闘したヤシマソブリンや、スティルインラブが牝馬三冠を達成した2003年のオークス(G1)で3着入線したシンコールビーなどの活躍馬を生産。現在は6頭まで繁殖牝馬の数を減らし、少数精鋭で生産をつづけている。「後継者がいないので、繁殖の数は一時期の半分に減らしました」と事情を話してくれたのは、同牧場の2代目となる橋本義次さん。「レースはあとから録画で観ました。あの位置からゴール寸前でグイっと伸びて、よく差し切りましたね。たいした根性だと思います」と生産馬の重賞勝利を讃える。
ロカマドールは、2017年のセレクトセール(1歳)取引馬。648万円(税込)で、ケイアイファームによって落札されている。「ロードカナロアの産駒ですし、馬の出来も良かったので自信を持って上場したのですが、お台からは競り上がらずにひと声で決まってしまいました。まあ、あれだけの凄い血統馬がずらりと並ぶセールですから、無事に落札していただいただけでも良しとしなければなりませんね」と話す。その後、ケイアイファームで育成が施され、美浦の尾形和幸厩舎に入厩。2歳10月の新馬戦(東京・芝1400m)で、見事にデビュー勝ちをおさめている。「JRAで新馬勝ちしたときは、この先が楽しみになると期待していました。でもクラスが上がるとなかなか勝つことができなくなり、4歳春に馬主変更で川崎へ移籍することになったんです。牝馬は1度調子を崩すと、戻るのに時間がかかりますからね」とデビューからの道のりを説明。JRAでは芝の短距離戦ばかりを使われて11戦1勝という戦績だったが、川崎へ移籍して2戦目から4連勝とダート競馬で結果を出し始める。そしてグランダム・ジャパンシリーズに照準を絞り、佐賀へ遠征。南関東から遠征した4頭の中では最も低い6番人気という評価だったが、見事に同シリーズ古馬シーズンの初戦を勝利した。
ロカマドールの母モエレフルールは現役時代、JRAの芝レースで2勝を挙げ、重賞にも出走したことのある活躍馬。5歳12月で競走生活を終え、繁殖先を探していた馬主から三石橋本牧場が購入。その初年度に種牡馬入りして2年目のロードカナロアが交配され、翌年生まれた初仔がロカマドールだった。「当時はロードカナロアの種付料も、まだ500万円でしたから。今ではとても手が出ませんが、あの時期に種付けしておいてよかったと思っています」と笑顔を見せる。「モエレフルールはとても利口な馬で、何事にも物怖じせず、仔出しも良い優秀な母馬です。ロカマドールも母に似て性格はおとなしく、とてもきれいな馬体をしていました」と母馬を紹介し、ロカマドールが牧場で過ごした時期を思い出してくれた。
その後も母モエレフルールには、クロフネ、サウスヴィグラス、モーリス、エピファネイアといった一流馬が交配されていく。そして今春生まれた牝馬の父はパイロ。JRAではケンシンコウやデルマルーヴル、南関東でもミューチャリーやハセノパイロなどが活躍を見せ、ダート競馬の大物を次々と輩出している種牡馬である。「今春生まれた当歳馬はパイロ産駒なので気性の強い面もありますが、とても人懐っこい性格をしています。馬よりも人間の方が好きなんじゃないかと感じることもありますよ(笑)」と当歳馬を紹介。現2歳の牝馬(父モーリス)はヒダカ・ブリーダーズ・ユニオンの募集馬となり、栗東・新谷功一厩舎からまもなくデビューを迎える予定だそうだ。
「ロカマドールには、これからも元気で無事に競走生活を送ってほしいですね。そして将来、牧場に戻って血をつないでくれると嬉しいです」と未来を見据える橋本さん。グランダム・ジャパン女王のタイトルを手土産に、ロカマドールが生まれ故郷へ戻って来る日を楽しみに待とう。