重賞ウィナーレポート

2021年06月13日 エプソムC G3

2021年06月13日 東京競馬場 曇 良 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ザダル

プロフィール

生年月日
2016年02月12日 05歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:10戦5勝
総収得賞金
169,964,000円
トーセンラー
母 (母父)
シーザシー(USA)  by  Lemon Drop Kid(USA)
馬主
(有) キャロットファーム
生産者
新冠橋本牧場 (新冠)
調教師
大竹 正博
騎手
石橋 脩

 英国ダービー(G1)が行われるエプソム競馬場と日本ダービー(G1)が行われる東京競馬場が姉妹競馬場として提携したのをきっかけに始まったエプソムカップ(G3)が6月13日、東京競馬場芝1800m、フルゲート18頭立てで行われた。

 勝ったのは新冠町の新冠橋本牧場生産の3番人気ザダル。2歳12月にデビューを予定していたが、競馬場へむかう馬運車の中でケガを負い、出走取消。それでも、翌1月のデビュー戦から3連勝でプリンシパルSに勝つなど早くから重賞級の能力を示してきた馬だ。慢性的な脚部不安を抱えて思うように競馬を使うことができずに5歳となって、今回が10戦目。昨年秋の毎日王冠(G2)以来の実戦ではあったが、早め先頭から後続の追撃を退けて、今回が待望の重賞初勝利となった。

 ザダルの生まれ故郷は新冠橋本牧場。昭和23年(1948年)創業という長い歴史がある牧場で、かつて第1回馬事文化賞を受賞した宮本輝氏の「優駿~オラシオン」が映画化されたときのロケ現場となったことで知られる牧場だ。生産牧場としてもその歴史の中で東海S(G2)やブリーダーズGC(Jpn2)など中央、地方の重賞5勝をあげたメイショウトウコンやフラワーカップ(G3)などを勝ったタイムフェアレディを送り出している。現在は橋本英之代表以下、8人のスタッフが約40ヘクタールの土地を使って、毎年30頭前後の競走馬を送りだしているが、JRA重賞勝利は2007年エルムS(G3)以来、14年ぶりのビッグタイトルとなった。

 橋本代表は「その間、惜しいレースは何度かありましたが、勝つと負けるのでは大違い。今回は繁殖牝馬を預けていただき、そして十分なケアをしながら、ここまで育ててくれたノーザンファームのおかげと考えていますが、重賞タイトルというのはやはり特別なもの。やっぱりうれしい勝利です。コロナの関係もあってテレビ観戦ではありましたが、ゴールしたあとからたくさんのメールやラインをいただきましたし、牧場に届くお祝いの花や品々で実感がわきました」と目尻を下げている。

 牧場時代のことをうかがうと「当牧場で管理していたのはノーザンファームイヤリングへと移動する前までですが、当時から高い評価をいただいていた馬でした。広い放牧地を親子で走り回るときもブレない走りで、しっかりとした動きをしていましたのでどんな競走馬に育ってくれるのか、楽しみにしていた1頭です」と述べ「無敗のままプリンシパルSを勝ったときは、いろいろと夢が膨らんだ馬。そういう意味では嬉しいことも、悔しいことも経験させてもらっておりますが、年齢の割にはキャリアが浅い馬。たくさんの人のおかげで大きいタイトルを獲ることもできましたし、まだまだ底を見せていない部分もあると思います。携わった一人としては誇らしい気持ちで、応援はしていますが、今はこの馬に続くような馬を育てて牧場へと送り出すことが目標です」と気持ちを切り替えている。