重賞ウィナーレポート

2021年05月09日 新潟大賞典 G3

2021年05月09日 新潟競馬場 晴 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:サンレイポケット

プロフィール

生年月日
2015年05月02日 06歳
性別/毛色
牡/黒鹿毛
戦績
国内:19戦5勝
総収得賞金
261,501,000円
ジャングルポケット
母 (母父)
アドマイヤパンチ  by  ワイルドラッシュ(USA)
馬主
永井 啓弍
生産者
様似共栄牧場 (様似)
調教師
高橋 義忠
騎手
鮫島 克駿

 古馬中距離のハンデ戦「第43回新潟大賞典(G3)」が5月9日、新潟競馬場外回り芝2000mコースで14頭によって行われた。1番人気は条件特別を4連勝したのち、金鯱賞(G2)で2着デアリングタクトと差のない3着だったポタジェだったが、勝ったのは3番人気のサンレイポケット。ゴール前はハンデ戦らしく4頭による激しい追い比べとなったが、馬場の真ん中から最速の推定上りタイムを繰り出して悲願の重賞制覇となった。優勝タイムは1分59秒3。

 サイレイポケットの生まれ故郷は「アポイ岳ジオパークのまち」として知られる様似町の様似共栄牧場。昭和43年創業と半世紀以上の歴史を持つ牧場で、これまでエイシンセイテン(バイオレットS=オープン)やキタシバシンゲン(高崎大賞典2着)ワンダフルラッシュ(葵S3着)などの活躍馬を送り出しているがJRA重賞勝利は今回が初めて。先代の勝治さんから代表を受け継いだ2代目当主の辻陽さん「市場で高く評価いただき、また大きなケガをしたあとも期待してくださった馬だと思うので、その期待に馬が応えてくれて嬉しい。ほっとしています」と胸をなでおろしている。

 辻さんは「この馬が生まれたときのことはよく覚えています。馬の分娩予測に関してテレビの取材の方が見えていたのですが、ちょうどそのタイミングで生まれたのです」。分娩予測とは生まれる前にこぼれる乳汁のph値から仔馬が生まれるタイミングを予測するもの。「ウチのように家族だけの牧場では、馬の出産が予定日から大きくずれるだけで体力、精神力を消耗してしまうことがあります。分娩日がある程度正確に予測できれば、避けられる事故を防ぐこともできるので積極的に取り入れていました」

 そうして生まれたサンレイポケットはすくすくと育ち、北海道市場セレクションセールに上場。1,674万円で取引された。「期待を込めた予想以上の数字となって、本当に嬉しかったですし、驚いたのを覚えています」と述べた。

 3歳3月にデビュー。2戦目に勝ち上がるなど素質の一端を見せていたが、デビュー4戦目に骨盤骨折の憂き目にあう。「骨盤骨折と聞いて1度はあきらめかけましたが、オーナーはじめ治療、復帰に力を貸してくれたすべての方に感謝したいと思っています」

 それだけに、今も「レースを迎えるたびに不安になりますし、ゴールするたびに心配になります」とのこと。それでも「競馬場に戻ってきてくれたときは、レースに出走するだけで満足だったのですが、大きなけがを乗り超えて大きなタイトルも獲ってくれた。本当に感謝です。いつも一生懸命に走ってくれる馬。これからも、この馬らしい競馬をしてくれることを願っています」と期待している。