重賞ウイナーレポート

2019年10月05日 サウジアラビアロイヤルC G3

2019年10月05日 東京競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:サリオス

プロフィール

生年月日
2017年01月23日 02歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:2戦2勝
総収得賞金
40,315,000円
ハーツクライ
母 (母父)
サロミナ(GER) by Lomitas(GB)
馬主
有限会社シルク
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
堀 宣行
騎手
石橋 脩
  • 育成馬も厩舎から顔をのぞかせていた
    育成馬も厩舎から顔をのぞかせていた
  • 木村厩舎の入り口は木陰にある
    木村厩舎の入り口は木陰にある

 現2歳世代はハーツクライ産駒の当たり年と言えそうだ。2歳サイアーランキングでは3位となっているだけでなく、総合アーニングインデックスで「3」を超えている数字が示しているように、重賞で2頭の勝ち馬が誕生。その中でも来年のクラシック戦線の主役に躍り出たと言えそうなのが、サウジアラビアRC(G3)をレコードで勝利したサリオスと言えるだろう。

 育成を手がけたのはノーザンファーム早来の木村厩舎。レパードS(G3)を制したハヤヤッコが、厩舎にとっての初重賞制覇となったが、それから間を置かないタイミングでの重賞勝利となった。

 「最初、イヤリングから来た時の第一印象は決して良くはありませんでした。大型馬特有の緩さがあった上に、トモも甘く、最初の移動の組でしたが、仕上げるのには時間がかかると思った程です」と話すのは木村浩崇厩舎長。このサウジアラビアRC(G3)では出走メンバーの中で唯一馬体重が500㎏を超えていたどころか、2歳馬離れした540㎏で出走していたサリオスではあったが、その見た目だけでなく、性格もまた大物感があったという。

 「兄弟の中でも最もおっとりとしていて、鞍や帯といった馴致なども何の問題も無く進められました。ただ、コースに出ると若いスタッフがいくら仕掛けても反応を見せようとせず、仕方なく自分が乗り変わって、無理矢理促す形で調教を行っていきました」

 その時に木村厩舎長はサリオスのある特徴を感じ取っていた。スピードが乗るにつれて、この馬体からは到底想像できないような、軽い走りをしていたのである。

 調教を休むようなトラブルや、脚元の問題も無く、順調に調教ペースを上げていったサリオスに対して、早期入厩のプランも持ち上がる。ただ、運動でかけた負荷の分、飼い葉をぺろりと平らげるサリオスの馬体は、なかなか引き締まってはこなかった。

 「堀厩舎に移動する際には、自分も付いていきました。堀先生もサリオスの馬体を見て、ちゃんと運動ができているのか疑問に思っていたようでしたが、ダグを踏ませたときに『素軽い動きができる』と驚いていました」

 6月2日のメイクデビュー東京。芝1600mで行われたレースには、ダービー馬レイデオロの半弟となるアブソルティスモも出走しており、人気こそ譲る形となったが、レースではそのアブソルティスモに2馬身差を付ける快勝を果たす。

 「アブソルティスモもノーザンファーム早来の育成馬であり、高い能力を有しているとは思っていましたが、それでも悪い勝負にはならないだろうなとの気持ちがありました。レースでも引っかかる様子は無かったですし、それでいながら抜群の反応を示してくれるなど、ひょっとしたらとんでもない馬なのではと思うようになりました」

 このメイクデビューの後、サリオスは木村厩舎へと戻って調整が行われる。レースを使ってきたことによる背腰の疲れこそあったが、飼い葉食いは全く落ちず、疲れが癒えてからは一気に調教ペースを上げていった。

 「レースの一か月前まで調整をさせてもらいました。2歳馬にしてはきつい調教メニューだったとは思いますが、それでもケロッとしていましたね」

 サウジアラビアRC(G3)はテレビで見ていたという木村厩舎長だが、パドックを周回する姿を見たときには、まだまだ緩いなと思ったという。

 「それでいながら、あのパフォーマンスですからね。ただ、大型馬だけに脚元が心配でしたが、レース後には問題無いとの連絡が入りましたし、その後の飼い葉もぺろりと平らげたと聞いて、凄い馬だなと改めて思いました」

 この性格なので「距離が延びても全く関係ないと思います」とも話す木村厩舎長。むしろ、サリオスが完成した暁には、どれほどの馬になるのかという期待ばかりが膨らんでいる。

 「これも繁殖厩舎、イヤリング厩舎から託された能力を、自分のところでも損ねること無く、堀厩舎の皆さんへと送ることができたからだと思います。その意味では、ノーザンファームしがらきを含めて、サリオスに関わったみんなに感謝するだけです」

 厩舎長としては初めて、そして木村厩舎長としてもトーセンスターダム以来となるG1制覇も成し遂げてくれそうなサリオス。その大きな馬体には、世界も制するような能力が詰まっているのかもしれない