2019年09月19日 秋桜賞(GDJ)
優勝馬:ジェッシージェニー
プロフィール
- 生年月日
- 2015年05月05日 04歳
- 性別/毛色
- 牝/栗毛
- 戦績
- 国内:14戦5勝
- 総収得賞金
- 26,750,000円
- 馬主
- 松田 整二
- 生産者
- びらとり牧場 (平取)
- 調教師
- 福永 敏
- 騎手
- 藤田 凌
『グランダム・ジャパン(GDJ)2019』古馬シーズン第6戦の「読売レディス杯(金沢)」は、南関東からの遠征馬ジェッシージェニーが2馬身半差の快勝。道中は後方につけていたが、3コーナー過ぎから内ラチ沿いを通って徐々に進出し、他馬が外に進路を取るのを横目に4コーナーで内をついて先頭に。そのまま直線で後続を突き放し、初の重賞タイトルを手にした。鞍上の藤田凌騎手も、デビュー3年目にして嬉しい初重賞勝利。内をついて一気に先頭に立ったコーナーワークはお見事で、まさに藤田騎手のファインプレーが導いた重賞タイトルと言っても過言ではないだろう。そして同コンビはGDJ古馬シーズン第8戦の「秋桜賞(名古屋)」も制し、遠征競馬で臨んだ重賞を連勝。同シリーズ最終戦の「レディスプレリュード(Jpn2)」を残し、ポイント争いでトップタイに躍り出た。
ジェッシージェニーの生まれ故郷は、平取町のびらとり牧場。サイレンススズカやスズカフェニックスなどのG1馬を生産した稲原牧場、グランダム・ジャパン指定レースのプリンセスカップ(水沢)や留守杯日高賞(水沢)を制したサプライズハッピーの生産者・二風谷ファームとは親戚筋にあたり、過去の生産馬には1989年のラジオたんぱ杯3歳牝馬ステークス(G3)を逃げ切ったレガシーワイス、ディープインパクトが勝った天皇賞・春(G1)で5着に入ったトウカイカムカム、目黒記念(G2)や大阪杯(G2)で2着したトウカイパラダイスなどがいる。
「長く牧場をやっていますが、取材してもらえるような活躍馬を生産するのはなかなか難しいですね。最近だと、うちの牧場の生産馬トウカイパラダイスが札幌競馬場の誘導馬を務めていることが1番の話題でしょうか(笑)」と苦笑いを浮かべて話すのは、びらとり牧場の代表・稲原敏也さん。「あと、1989年の桜花賞馬シャダイカグラが晩年にうちの牧場で繁殖生活を送り、ここから天国に旅立ちました。特に墓石などは建てていないのですが、それでも良いからと手を合わせに来る熱心なファンの方もおられます」と牧場の歴史を紹介してくれた。
ジェッシージェニーは、2012年の安田記念(G1)を制したストロングリターンの初年度産駒にあたる。「母馬にサンデーサイレンスの血が入っていたので、非サンデー系の中から芝もダートも可能性がありそうなシンボリクリスエス直仔のストロングリターンを選びました。初年度はそれほどでもなかったのですが、生まれて来る仔の評価が総じて高く、年々種付数が増えて今やブリーダーズ・スタリオン・ステーションのエース種牡馬になっていますもんね。ジェッシージェニーも生まれた時から見栄えのする馬体をしていました」と、ストロングリターンを配合した理由について説明してくれた。
「ジェッシージェニーの母馬はもういないのですが、うちの牧場には面白い血統の繁殖牝馬がたくさんいるんですよ。年度代表馬モーリスの半妹リャクダツアイ(父チチカステナンゴ)や、羽田盃馬ストゥディウムの半妹ジェットフォイル(父タイムパラドックス)、それに2006年のエーデルワイス賞(G3)を勝ったパラダイスフラワーも15歳になりましたが、今年も父フェノーメノの元気な牝馬を産んでいます。1999年の忘れな草賞で2着したトウカイティアラ(トウカイテイオーの半妹)の仔も繁殖としていますし、それらファンの多い馬に縁のある血統馬から、また取材してもらえるような活躍馬が出てくれると嬉しいですね」と笑顔を見せる稲原さん。
競馬場で我々を熱狂させたスターホース縁の血が、ここ平取の牧場でも脈々と受け継がれている。それこそが『グランダム・ジャパン』シリーズ創設の趣旨であり、まさに競馬がブラッドスポーツと言われる所以だ。後世へ血をつないでいけるよう、ジェッシージェニーのさらなる活躍に期待しよう。