重賞ウィナーレポート

2019年08月11日 エルムS G3

2019年08月11日 札幌競馬場 晴 稍重 ダ 1700m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:モズアトラクション

プロフィール

生年月日
2014年03月23日 05歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:28戦6勝
総収得賞金
145,029,000円
ジャングルポケット
母 (母父)
エーシンラクーリエ  by  コロナドズクエスト(USA)
馬主
(株) キャピタル・システム
生産者
築紫 洋 (三石)
調教師
松下 武士
騎手
藤岡 康太

 札幌競馬場を舞台に行われるダート重賞「第24回エルムステークス(G3)」は新ひだか町の築紫洋氏生産で、藤岡康太騎手騎乗の2番人気モズアトラクションが最後の直線で力強く末脚を伸ばして1分41秒9で優勝。先代の芳雄さんが軽種馬の生産をスタートさせてから創業約70年という築紫さんの牧場に、初のJRA重賞タイトルをもたらした。

 そんなモズアトラクションの競走馬人生はどん底からのスタートだった。3歳1月のデビュー戦は短期免許を取得して来日した愛国のシェーン・フォーリー騎手が騎乗したものの10頭立て10番人気。そのレースは、後方から5着に追い込んだものの、その後も10戦して3着が最高着順。番組上最後となった3歳未勝利戦も7番人気9着という結果だった。通常であれば、そのまま登録が抹消されるところだが、諦めきれない関係者は2クラス上の1000万円以下(現2勝クラス)に挑戦することを決め、馬はその期待に応えるように4着と健闘している。この1戦をきっかけに上昇気流に乗った愛馬は3連勝。準オープン級も2戦で卒業して、昨年春には一気にオープン級へと駆け上がている。

 生産者の築紫洋さんは、そんな愛馬のサクセスストーリーの第一幕クライマックスを札幌競馬場で見守っていた。

 「生産馬が重賞競走に出走するというのは大変なこと。今回は人気を集めている馬もいましたので、レース前は勝てるとは思わなかったですが、本当に馬が頑張ってくれました。天気が回復し、馬場が乾いてくれたことや展開も味方してくれたのだと思いますが、おかげで応援に行った家族みんなで喜ぶことができました。馬に感謝です」と相好を崩している。

 長い歴史を持つ築紫さんの牧場は、現在17㏊の土地に繁殖牝馬が12頭。「当たり前のことを手を抜かずにしっかりと行う」など家族でていねいな馬づくりに励んでいる。

 モズアトラクションは、その母エーシンラクーリエをオーナーから預かったことから、築紫さんの牧場で産声をあげた。母はわずか5戦の競走キャリアしかないが特別戦含む2勝をあげている。「良い馬を預けてくださって、感謝しておりますし、このような形で恩返しが出来たことを嬉しく思います」と話し「ジャングルポケットとの配合もオーナーが決めました。この年の生産馬は牡馬が多かった世代ですが、その中でも健康で元気な馬でした。ケガや病気といった記憶はありません」と牧場時代のことを話し「今のこの馬があるのは、市場でめぐり合った馬主さんや調教師はじめ厩舎スタッフの方々のおかげです。私としては、もう十分に褒めてあげたいという気持ちですが、まだ5歳。この馬に期待してくれている人たちのためにも、ケガや病気をすることなくもっと上を目指して頑張って欲しい」と応援メッセージが送られた。