重賞ウィナーレポート

2019年01月12日 フェアリーS G3

2019年01月12日 中山競馬場 曇 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:フィリアプーラ

プロフィール

生年月日
2016年04月03日 03歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:3戦2勝
総収得賞金
56,974,000円
ハービンジャー(GB)
母 (母父)
プリンセスカメリア  by  サンデーサイレンス(USA)
馬主
(有) キャロットファーム
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
菊沢 隆徳
騎手
丸山 元気

 今年のフェアリーS(G3)を制したのは、ノーザンファーム生産馬のフィリアプーラ。半兄は朝日杯FS(G1)の優勝馬アルフレードであり、父のハービンジャーは昨年末の有馬記念(G1)(ブラストワンピース)など、中央の重賞で10勝をあげている。こうした産駒の活躍を受けて、昨年の総合リーディングサイアーランキングでは、キャリア最高となる5位へとランクアップしている。

 血統背景からしてもクラシックでの活躍が楽しみといえそうな、フィリアプーラの騎乗育成を行ったのがノーザンファーム空港。幾多の名牝を送り出してきた窪田淳調教主任は、母のプリンセスカメリアの育成にも携わってきた。

 「母は前向きな気性をしていて、調教でもセンスのある走りをしていました。現役時には1勝しかできませんでしたが、繁殖牝馬となって成功してくれたのは嬉しかったですね」(窪田調教主任)

 思い入れのある血統馬とも言えるフィリアプーラではあったが、窪田調教主任の元に来た頃には決して目立った存在では無かったという。

 「他の1歳馬たちと比べると馬体が華奢で、トモにも緩さがあったので、調教もワンテンポ遅らせるような気持ちで進めていきました。また、体質的なものもあるのでしょうが、冬毛が長く、春先を迎えてもフィリアプーラの毛艶だけがよく見えてきませんでした」(窪田調教主任)

 少なくとも2歳の春先までは、「本当に良くなるのはまだまだ先」と見込まれていたフィリアプーラ。しかし、遅れていたとは言えども、調教は順調に進められており、それにつれて走りには素軽さも出てくるようになってきた。

 デビュー戦は10月のメイクデビュー東京。3番人気で迎えたフィリアプーラは、後方から鮮やかな末脚を使って勝ち馬と同タイムの3着に入着。続く未勝利戦も310Mしかない中山競馬場の直線だけで、前を行く10頭を交わし去っていく。

 「デビュー戦を見たときには、ここまで切れる脚が使えるのかと驚きました。菊沢調教師とは、レースごとに電話でやりとりを行っているのですが、先生もデビュー戦の感触が良かったようで『次は絶対に勝てる』と話してくれていたので、その通りの結果を残してくれた時には、相当の馬になるのではとも思いました」(窪田調教主任)

 その未勝利戦と全く同じ、中山競馬場の芝1600Mで行われたフェアリーS(G3)。1枠1番から好スタートを切ったものの、これまでと同じく後方からレースを進めて行ったフィリアプーラは、直線で外に進路を向けると一気に末脚を爆発させていき、ゴールまでのホウオウカトリーヌとの叩き合いも頭差凌ぎきって先頭でゴールを果たす。

 これで芝のマイルで連勝となったフィリアプーラであるが、窪田調教主任は今後の距離延長に不安を感じてはいない。

 「スタートセンスがいいだけでなく、折り合いも付けられますし、どの位置からでもあの末脚を使えるような馬になってくれると思います」(窪田調教主任)

 一年前にノーザンファーム空港で管理されていた姿を彷彿とさせるかのように、このフェアリーS(G3)でも、馬体には冬毛が残っていたフィリアプーラ。ただ、見た目には現れない能力の高さを、今後のレースでしっかりと証明してくれるはずだ。