重賞ウイナーレポート

2018年06月10日 岩手ダービーダイヤモンドC(DS2018)

2018年06月10日 水沢競馬場 曇 良 ダ 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:チャイヤプーン

プロフィール

生年月日
2015年05月20日 03歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:9戦7勝
総収得賞金
45,850,000円
フェデラリスト
母 (母父)
サイレントエクセル by ウイングアロー
馬主
大久保 和夫
生産者
原 フアーム (静内)
調教師
千葉 幸喜
騎手
村上 忍
  • チャイヤプーンの母サイレントエクセルと今春生まれた当歳馬
    チャイヤプーンの母サイレントエクセルと今春生まれた当歳馬
  • 今年で15歳になったサイレントエクセル
    今年で15歳になったサイレントエクセル
  • チャイヤプーンの半妹(牝、当歳、父ロードアルティマ)
    チャイヤプーンの半妹(牝、当歳、父ロードアルティマ)
  • 原さんが自費で制作した肩掛け1 左から鎌倉記念(オウマタイム)、京浜盃(オウマタイム)、知床賞(ダンストンレガーメ)、留守杯日高賞(ダンストンレガーメ)
    原さんが自費で制作した肩掛け1 左から鎌倉記念(オウマタイム)、京浜盃(オウマタイム)、知床賞(ダンストンレガーメ)、留守杯日高賞(ダンストンレガーメ)
  • 原さんが自費で制作した肩掛け2 左からあやめ賞(ダンストンレガーメ)、寒菊賞(チャイヤプーン)、金杯(チャイヤプーン)、やまびこ賞(チャイヤプーン)
    原さんが自費で制作した肩掛け2 左からあやめ賞(ダンストンレガーメ)、寒菊賞(チャイヤプーン)、金杯(チャイヤプーン)、やまびこ賞(チャイヤプーン)

 『ダービーシリーズ2018』の第6戦「岩手ダービー ダイヤモンドカップ(水沢)」を、1.1倍の圧倒的人気に応えてチャイヤプーンが圧勝。道中は中団でじっくりと脚を溜め、4コーナーで馬なりのまま先頭を射程圏内に捕らえると、直線入り口では村上忍騎手が振り返って後続の位置を確認するほど余裕の手応えで先頭に立ち、そのまま突き抜けて4馬身差のゴールイン。寒菊賞(水沢)、金杯(水沢)、やまびこ賞(盛岡)につづく4つ目の重賞勝利を、見事に“ダービー”の大舞台で飾った。

 チャイヤプーンの生まれ故郷は、新ひだか町静内の原ファーム。3年前の京浜盃(大井)を制して南関東クラシック戦線で主役を張ったオウマタイムや、昨年の留守杯日高賞(水沢)に優勝したダンストンレガーメなどの活躍馬を生産した牧場で、今年で84歳になった場主の原剛さんが10頭の繁殖牝馬とその仔たちの管理を行っている。

 「1年に約7000頭が生まれるサラブレッドの中で、中央と地方あわせて9頭しかいない“ダービー馬”がうちの生産馬から誕生し、こんなに嬉しいことはありません。やはり“ダービー”の持つ重さは特別です」と、改めてダービー制覇の喜びをかみしめる原さん。当日は水沢競馬場へ応援に駆けつけ、オーナーや関係者と歓喜の瞬間を共有できたそうだ。「チャイヤプーンに限らず生産馬がレースに走るときは、できるだけ現地へ行くようにしています。馬を買っていただいたオーナーや管理してくれている厩舎スタッフとの人間関係を何よりも大切したいというのが私のモットーですから」と話す。実はその2週間前、九州ダービー栄城賞に出走した生産馬・エリザベスセーラの応援に、佐賀競馬場へも足を運んでいたそうだ。

 チャイヤプーンの母サイレントエクセル(その父ウイングアロー)は、現役時代に岩手競馬の重賞を6勝した活躍馬。3歳時には当時、交流G1競走だったダービーグランプリ(G1)で、並居る中央牡馬勢を相手に3着するほどの実力を誇っていた。「サイレントエクセルは、馬主さんとの縁で引退後に譲ってもらった繁殖牝馬なんです。岩手で大活躍した牝馬の仔が岩手のダービーを獲るなんて、夢のような話ですね。本当にドラマチックなことだと思います。岩手競馬の古くからのファンやマスコミの方もたいへん喜んでくれたようで、現地でもたくさん声をかけていただきました」と笑顔を見せる。サイレントエクセル自身も2006年の岩手ダービー ダイヤモンドカップで惜しくも2着に敗れた経験があり、チャイヤプーンは12年越しに母のリベンジを果たしたことにもなった。

 実は、サイレントエクセルのお腹にチャイヤプーンの生命が宿った背景にもドラマがあった。その父フェデラリストはエンパイアメーカーとダンスパートナーの間に生まれた社台ファームが誇る良血馬だが、日本での種牡馬供用は1年のみで、現在は韓国で種牡馬生活を送っている。「フェデラリストが種牡馬入りしたニュースを馬事通信に載っていた写真で知り、すぐに繋養先の白馬牧場へ実馬を見に行きました。そこで即決し、当時13頭いた繁殖のうちの6頭にフェデラリストを交配したんです。その繁殖の1頭がサイレントエクセルでした」と、交配に至った経緯を明かしてくれた。改めてフェデラリストの初年度種牡馬実績を調べてみると、21頭に種付けを行い、翌年に15頭の産駒が誕生。競走馬としてデビューできたのは11頭で、その約半分は原ファームの生産馬という計算になる。「いまでは韓国に行かないと種付けできませんから、貴重な血ですよね(笑)」と笑う原さんだが、その研究熱心さと行動力、そして決断力には感服させられる。

 「チャイヤプーンが牧場にいた頃は小さな馬だったのですが、デビューしたときには500キロ近くあってビックリしました。母もそれほど大きな馬ではないので、父に似たのですかね。ただ当時から母に似て気が強く、根性だけはありそうでした」とチャイヤプーンの幼少期を振り返る原さん。今春にはチャイヤプーンの半妹(牝、父ロードアルティマ)が誕生しており、母に寄り添いながら放牧地を元気に駆け回っている。「ロードアルティマも好きな種牡馬で、毎年1頭は種付けしています。競走馬の生産は長いサイクルでイメージしなければならない仕事なので、常に10年後に通用するかどうかを考えながら配合するようにしているんですよ」と種牡馬選びの極意を教えてくれた。

 「80歳になったとき、これからは何か記念になるものを残しておきたいと考え、生産馬が重賞を勝ったら実物と同じ肩掛け(優勝レイ)を自費で作ることに決めたんです。するとオウマタイムやダンストンレガーメが重賞を次々と獲り出し、ついにはチャイヤプーンがダービーにまで勝ってくれました。願いというのは叶うものなんですね。いま、ダービーの肩掛けが出来てくるのを楽しみに待っているところです」と、少年のように目を輝かせる原さん。

 「チャイヤプーンはいま、戸塚記念(川崎)を目標に南関東へ移籍していますが、秋には岩手に戻り、不来方賞(盛岡)、ダービーグランプリ(水沢)の三冠を目指すとオーナーから聞いています。馬が縁で知り合った皆さまと、また岩手でお会いできるのを楽しみにしています」と、原さんは常に前を向いて未来を見つめている。チャイヤプーンが岩手三冠をなし遂げ、古馬になってからも原さんが肩掛けを置く場所に困るほどの活躍を見せてくれることに期待しよう。


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