重賞ウィナーレポート

2018年04月17日 東海クイーンC(GDJ)

2018年04月17日 名古屋競馬場 雨 重 ダ 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ウォーターループ

プロフィール

生年月日
2015年02月23日 03歳
性別/毛色
牝/栗毛
戦績
国内:11戦4勝
総収得賞金
16,549,000円
ウォーターリーグ(USA)
母 (母父)
ウォーターグリーン  by  サウスヴィグラス(USA)
馬主
山岡 良一
生産者
野表 篤夫 (静内)
調教師
塚田 隆男
騎手
友森 翔太郎
  • 起伏のある野表ファームの放牧地
    起伏のある野表ファームの放牧地
  • ウォーターループもこの放牧地で昼夜放牧されて鍛えられた
    ウォーターループもこの放牧地で昼夜放牧されて鍛えられた
  • 母にぴったりと寄り添う当歳馬たち
    母にぴったりと寄り添う当歳馬たち
  • 野表ファームの看板
    野表ファームの看板

 『グランダム・ジャパン2018』3歳シーズンの第4戦「東海クイーンカップ(名古屋)」を、3番人気のウォーターループが快勝。道中は2番手で折り合い、3コーナー手前で早くも先頭に立つと、直線では後続との差を広げて3馬身差のゴールイン。同馬は次走、牡馬相手の「ぎふ清流カップ(笠松)」にも勝利し、東海地区の3歳頂上決戦「東海ダービー(名古屋)」でも3着と健闘。その実力がトップクラスであることを証明している。

 ウォーターループの生まれ故郷は、新ひだか町静内西川の野表篤夫牧場。生産馬が軍馬として購入されたこともあるというほど古い時代からつづく牧場で、近年では2012年の南部駒賞(水沢)を制したオグリタイムなどの活躍馬を生産。現在はご夫婦2人で7頭の繁殖牝馬とその仔たちの管理を行っている。「このあたりの牧場も、アラブを生産していた時代と比較して3分の1ほどに減りました。私も今年で70歳になりますし、後継者もいないのでそろそろ引き際かと思い、2年ほど前から繁殖牝馬の数を減らしたんです。その際に、ウォーターループの母ウォーターグリーンも別の牧場へ移りました」と話す野表さん。「母のウォーターグリーンはオーナーの意向で、7年連続ウォーターリーグを交配しました。その中でもウォーターループは1番良い体型をして生まれてきたのを覚えています」と当時を振り返る。

 母ウォーターグリーンは、サウスヴィグラスの2世代目産駒。同父の同期馬には2011年の武蔵野ステークス(G3)を制し、岩手競馬に移籍して重賞12勝を挙げたナムラタイタンなどがいる。福山競馬で5戦1勝の戦績を残し、野表さんの牧場へ繁殖牝馬としてやってきたウォーターグリーンだが、当初はそのきつい気性とクセのある性格にたいへん手こずったそうだ。「直検(直腸検査=妊娠診断のための触診)や注射を極端に嫌がり、押さえるのに毎回苦労しましたね。ただ仔出しは良く、毎年きっちりと出産してくれました」と話す。2番仔のウォーターエイト(牡7歳)、4番仔のウォーターディル(牡5歳)は共に塚田隆男厩舎(名古屋)に在籍中の現役馬で、それぞれ15勝、17勝を挙げて活躍中(2018年6月7日現在)。そして同厩舎からデビューした5番仔のウォーターループが重賞を2勝。自己所有の繁殖牝馬に自己所有の種牡馬をつづけて交配し、同厩舎にいる全兄妹3頭が同時期に活躍するというのも珍しいパターンだろう。

 その父ウォーターリーグは、現役時代にJRAで20戦6勝。3歳時にはユニコーンステークス(G3)4着という実績もあり、5歳夏までマイル前後のダート戦で活躍した。2007年に新ひだか町のアロースタッドで種牡馬入りして以降、生産頭数は毎年5頭に満たないが(2014年のみ10頭)、その中から2013年のギャラクシーステークスに勝ち、JRAのダート戦で6勝を挙げたウォータールルドや、昨年の東海ダービー2着馬サンタンパなどを輩出。種付料無料に設定された種牡馬としては、こちらも異例のケースと言えるかもしれない。「ウォーターリーグは米G1を2勝したデヒアの産駒で、オーナーも相当の思い入れがあって種牡馬にしたのだと思います。少ない産駒の中からでもこうして活躍馬が出て、オーナーも喜ばれていることでしょうね」と話す野表さん。「我々も夫婦2人であと何年牧場をつづけられるかと思っていたところに、重賞を勝つような生産馬が出てきてくれて本当に幸せです。これまでお世話になってきた馬主さんたちに、改めて感謝したいと思います」と優しい笑顔を見せてくれた。野表さんご夫婦にとってウォーターループやその兄たちの走りが、牧場を1日でも長くつづける活力となるかもしれない。ますますの活躍を期待しよう。