2017年05月11日 東京プリンセス賞(GDJ)
優勝馬:アンジュジョリー
プロフィール
- 生年月日
- 2014年04月12日 03歳
- 性別/毛色
- 牝/栗毛
- 戦績
- 国内:12戦6勝
- 総収得賞金
- 32,425,000円
- 父
- タートルボウル(IRE)
- 母 (母父)
- マクシマール by アグネスタキオン
- 馬主
- 竹下 浩一
- 生産者
- 上水牧場 (むかわ)
- 調教師
- 小久保 智
- 騎手
- 笹川 翼
『グランダム・ジャパン2017』3歳シーズンの第6戦「東京プリンセス賞(大井)」を、5番人気のアンジュジョリー(浦和)が優勝。アップトゥユー(川崎)がまんまと逃げ切ったと思ったところに、ゴール寸前で矢のように飛んできての差し切り勝ち。ゴール前で勝ち馬を待ちかまえるカメラマンもその姿を捕えきれないほど一瞬の鋭い切れ味だった。昨年8月に門別競馬場でデビューし、南関東へ移籍してクラシック路線を歩んできた期待馬が、12戦目にしてついに重賞タイトルを手中にした瞬間だった。
アンジュジョリーの生まれ故郷は、むかわ町の上水牧場。門別競馬場のすぐ近くに広大な放牧地を構え、2002年スプリンターズS(G1)&2003年高松宮記念(G1)とスプリントG1を連勝した名牝ビリーヴや、2008年の日本ダービー(Jpn1)でディープスカイの2着したスマイルジャックなど、多くの活躍馬をコンスタントに生産している。また地方競馬では、2007年、2008年のTCKディスタフ(大井)を連覇したパフィオペディラムや、2014年のリリーC(門別)、フローラルC(門別)を連勝したステファニーランなどのオーナーブリーダーとしても名を轟かせている。
「すごい脚でしたね。直線では2着も危ういかと半ば諦めていたのですが、馬ごみをひるまずによく伸びてきたと思います。広くて直線の長い大井コースはこの馬に間違いなく向くとは思っていましたが、想像以上の勝ち方でした」とレースを振り返るのは、(有)上水牧場の代表・上水明さん。当日、上水さんは門別競馬場でモニターを通しての観戦となったが、東京に住む大学生の息子さんが現地へ応援に駆けつけていたそうだ。
アンジュジョリーの母は、JRA1勝馬のマクシマール。祖母は北米の重賞を6勝し、1998年のジャパンカップ(G1)にも出走(5着)したマックスジーンという血統で、3歳上の半兄フェスティヴイェル(父シンボリクリカエス)はJRAで5勝を挙げてオープンクラスで活躍中だ。「兄のフェスティヴイェルが早い時期から活躍していましたので、アンジュジョリーも期待の大きな馬でした。体は華奢でしたが、お尻や肩にはしっかり筋肉がついており、動きも軽かったです」と、アンジュジョリーが牧場で過ごした時期について振り返る。
アンジュジョリーは、タートルボウルの本邦初年度産駒。昨年、フライングショットがサッポロクラシックC(門別)を制して本邦産駒の初重賞を飾っており、今回の勝利は父にとって2つ目の重賞タイトルとなった。「父タートルボウルも祖母マックスジーンも芝で活躍した馬ですし、兄のフェスティヴイェルも芝の中距離で結果を残していますから、アンジュジョリーも芝向きの馬かと思っていたんですがね。ダートでこれだけ走るとは意外でした」と話す上水さん。産駒が南関東牝馬クラシックを制し、これから注目が高まっていくと思われた矢先、種牡馬タートルボウル急死の訃報が入った。「種牡馬としてタートルボウルの名を日本にしっかりと残せるよう、アンジュジョリーにはますます活躍してほしいです」と、上水さんも愛馬のさらなる飛躍に期待を懸ける。
牧場には現在、アンジュジョリーの半妹にあたる1歳馬(牝、父ヘニーヒューズ)と、今年の3月22日に生まれた半弟の当歳馬(牡、父シンボリクリスエス)がいて、兄姉につづく将来の活躍を夢見ながら順調に育っている。「1歳の牝馬はヘニーヒューズ産駒ですが、祖母マックスジーンにコジーンの血が入っており、G1馬のアジアエクスプレスやモーニンと同じ配合になるので楽しみです。また今年生まれた当歳も、活躍馬フェスティヴイェルの全弟ですから期待しています」と妹弟を紹介。今年は母マクシマールにモーリスを交配し、無事に受胎したそうだ。
「アンジュジョリーは今後、牝馬ダートグレードに出走する機会も多くなると思います。中央馬の壁は厚いですが、地方馬の代表として頑張ってほしいですね。そして将来は牧場に戻り、血をつないでいってくれると嬉しいです」と愛馬にエールを送る上水さん。次にあの豪脚が炸裂するのは、どの舞台になるのだろうか。