2015年11月30日 プリンセスC(中央認定)(GDJ)
優勝馬:サプライズハッピー
プロフィール
- 生年月日
- 2013年02月26日 02歳
- 性別/毛色
- 牝/栗毛
- 戦績
- 国内:7戦3勝
- 総収得賞金
- 15,742,000円
- 母 (母父)
- ハナマル by アフリート(CAN)
- 馬主
- 西村 專次
- 生産者
- 二風谷ファーム (平取)
- 調教師
- 櫻田 浩三
- 騎手
- 山本 聡哉
『グランダム・ジャパン2015』2歳シーズンの第5戦は、水沢競馬場1400mが舞台となる「プリンセスカップ」。北海道から3頭、笠松から3頭の遠征馬を、5頭の地元・岩手勢が迎え撃つレースとなったが、優勝したのは4番人気の地元馬サプライズハッピー。中団追走から最後の直線で大外に持ち出し、先に抜け出したミスミランダー(笠松)、いっしょに外から伸びたラプレシオーサ(北海道)をゴール板できっちりと差し切った。サプライズハッピーの重賞勝利は、同条件で行われた9月の「ビギナーズカップ」につづく2勝目。レベルの高いホッカイドウ競馬の遠征馬や出身馬を退けてつかみ取ったこの勝利は、非常に価値の高いものといえるだろう。
サプライズハッピーの生まれ故郷は、平取町の二風谷ファーム。沙流川中流に建設された二風谷ダム湖のすぐそばに位置し、隣接する二風谷軽種馬共同育成センターで育成も手掛ける総合牧場だ。近年の生産活躍馬には、昨年のキャピタルステークスに優勝し、今年も重賞で好走しているシェルビー(牡6歳)や、昨年の福島2歳ステークスを制して朝日杯フューチュリティステークスにも駒を進めたペイシャオブロー(牡3歳)などがいる。
「これまでは脚を余して負けてしまうことも多かったのですが、今回は外に持ち出してきっちりと差し切ってくれましたね。北海道からも強い馬が遠征してきていましたが、スムーズなレース運びができれば勝負になると思っていました」と愛馬のレースぶりを振り返るのは、二風谷ファームの代表・稲原昌幸さん。ここ数戦は道中ちぐはぐなレースがつづき、もどかしい思いを積もらせていたそうだ。
サプライズハッピーの母ハナマルは二風谷ファームのオーナーブリーディングホースで、岩手競馬デビューから中央競馬へ移籍し、通算4勝を挙げた活躍馬。祖母のパーティプラザも中央競馬で3勝を挙げた生産所有馬で、二風谷ファームが大切につないできた牝系。そのブラックタイプには、1978年の日本ダービー馬サクラショウリの名前もある。「父の代になるのですが、祖母のパーティプラザが初めて自己所有馬として競馬を使った馬なんですよ。それだけに思い入れの深い血統で、この牝系の馬が活躍してくれると特別に嬉しいです」とサプライズハッピーの血統背景を話してくれた。
その牝系をつなぐハナマルに、ゴールドアリュールを交配して生まれてきた5番仔がサプライズハッピー。1つ上の姉ハッピーサークル(父キンシャサノキセキ)も同じオーナーの所有馬で、サプライズハッピーがデビューする3か月前にJRAで新馬勝ちを収めている。「ゴールドアリュールは芝でもダートでも活躍馬を出している堅実な種牡馬ですし、産駒も総じて見栄えがするので、せりに上場しても高評価をしてもらえるだろうと期待して配合しました」と種牡馬選択の理由を明かす。
「母のハナマルはアフリート産駒でがっしりとしたタイプなのですが、サプライズハッピーもトモのしっかりした良い馬体をしていました。当時からスピードがありそうだなと感じていました」と、サプライズハッピーの幼少期を思い出す稲原さん。大きな怪我や病気もなく、1歳秋まで牧場の放牧地を元気に駆け回っていたそうだ。
現在、牧場にはサプライズハッピーの妹にあたる当歳馬(父バトルプラン)がすくすくと育っており、ハナマルのお腹にはタイキシャトルの仔が宿っている。「当歳はサプライズハッピーと少し違ったタイプで、つなぎがゆったりとしていますね。想像していた通りの好馬体に育ってくれています。ハナマルの産駒は牝馬が多く生まれるので、近年は繁殖として血をつないでいく跡取りとなることも想定し、将来的にサンデーサイレンス系と配合できる種牡馬を選ぶようにしています」と未来を見つめる。
「サプライズハッピーが今後も活躍し、馬主孝行をしてくれると嬉しいですね。期待して見守っています」とエールを送る稲原さん。母がデビューした岩手の地でさらに大きく羽ばたき、たくさんの“驚くような幸福”を馬主さんと二風谷ファームへ届けてほしい。