重賞ウイナーレポート

2014年12月01日 プリンセスC(中央認定)(GDJ)

2014年12月01日 水沢競馬場 雨 不良 ダ 1400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ミラクルフラワー

プロフィール

生年月日
2012年05月13日 02歳
性別/毛色
牝/黒鹿毛
戦績
国内:7戦3勝
総収得賞金
23,339,000円
プリサイスエンド(USA)
母 (母父)
イイデトゥインクル by オジジアン(USA)
馬主
簗詰 幸子
生産者
加野牧場 (三石)
調教師
齊藤 正弘
騎手
松井 伸也
  • ミラクルフラワーの母イイデトゥインクルの妹グロリアスシーン(13歳)と生産者の加野さんご夫婦
    ミラクルフラワーの母イイデトゥインクルの妹グロリアスシーン(13歳)と生産者の加野さんご夫婦
  • 一昨年のプリンセスCを制したブリリアントロビン(4歳)も加野牧場へ里帰りし、繁殖生活を始めている
    一昨年のプリンセスCを制したブリリアントロビン(4歳)も加野牧場へ里帰りし、繁殖生活を始めている
  • 新ひだか町三石にある加野牧場の放牧地
    新ひだか町三石にある加野牧場の放牧地

 『グランダム・ジャパン2014』2歳シーズンの第5戦は、水沢競馬場で行われた「プリンセスカップ」。北海道から3頭、笠松から2頭、南関東からも1頭が2歳女王の座を狙って参戦し、地元馬6頭を含めた12頭によって行われた。レースは水が浮くような不良馬場の中でゲートが切られ、外枠からスタートしたミラクルフラワーが押さえられない手応えで先頭に立つと、道中も2~3馬身後続を離す逃げを披露し、直線ではさらにその差を広げる独り舞台の圧勝。4馬身差の2着にパシコペンネッタ、そのクビ差3着にユヅルノオンガエシが入り、ホッカイドウ競馬から遠征の3頭が上位を独占する結果となった。

 ミラクルフラワーの生まれ故郷は、コスモバルクの生産牧場として名高い新ひだか町三石の加野牧場。繁殖牝馬20頭を抱え、2004年のJBCスプリント(G1)優勝馬マイネルセレクトや、2011年のエーデルワイス賞(Jpn3)を制したシェアースマイルなどの活躍馬を送り出してきた。また、今年の東京ダービーでハッピースプリントの2着に入線したスマイルピースも同牧場の出身である。

 「初コースと輸送が気になりましたが、自分の競馬ができればチャンスがあると期待していたんです。スタートからうまく逃げを打つことができ、4コーナーでは早くも勝利を予感しました。馬場もこの馬の脚質に合っていたのでしょうが、それにしても強い内容でしたね。前々走の盛岡、前走の川崎と遠征を重ねながらもプラス体重で出走できていますし、今回もその経験が活かされたのだと思います」とミラクルフラワーの頑張りを讃えるのは、生産者の加野英樹さん。「オーナーにとってはミラクルフラワーが初めて所有した馬となり、レース後にたいへん喜んでおられました」と歓喜のシーンを振り返ってくれた。このレースは一昨年も同牧場生産馬で同じ齊藤正弘厩舎からデビューしたブリリアントロビンが制しており、「本当に相性の良いレースですね。齊藤厩舎に入厩したうちの生産馬はほとんどオープン馬になっており、厩舎の皆さまにも感謝しています」と笑みをこぼす。

 ミラクルフラワーと同じく、前述の生産活躍馬シェアースマイル、スマイルピース、ブリリアントロビンはいずれもプリサイスエンドの産駒。加野さんはプリサイスエンドの高い種牡馬能力に惚れ込んでおり、毎年多くの所有繁殖牝馬に交配を行っている。「芝のレースはかなりレベルが上がっていてなかなか太刀打ちできないので、近年はダート適性の高い馬の生産を意識して狙っています。ただコスモバルクが出た牝系は芝向きなので、この血統でもうひと花咲かせたいとも考えています」と夢を語る。

 ミラクルフラワーの母イイデトゥインクルも同牧場生産馬で、競走馬としてはJRAで3戦、ホッカイドウ競馬で1戦して未勝利だったが、その最後のレースは齊藤正弘現調教師が騎手時代に手綱をとったという縁もある。その血統を遡ると名牝イットーの名前があり、ハギノカムイオー、ハギノトップレディ、ダイイチルビーなどが出た“華麗なる一族”の出身だ。甥には2006年の阪急杯(G3)を制したブルーショットガンがいる。「牧場では長らくこの血統の繁殖牝馬を置いていますが、総じてスピードがあり、名牝イットーの影響力を強く感じます。ミラクルフラワーの1歳下に父メイショウボーラーの牝馬がいるのですが、こちらにも高い素質を感じています」と、大切につないできた血統に自信を覗かせる。現在、牧場ではイイデトゥインクルの半妹グロリアスシーンが繁殖生活を送っており、里帰りしたブリリアントロビンらとともに、今後の加野牧場を背負っていく存在として期待されている。

 ミラクルフラワーの幼少期について加野さんは、「小柄でバランスが良く、馬体は父母の長所を受け継いだ印象でした。特にトモが立派だったのを覚えています。放牧地で駆ける姿もスピード感がありましたし、母に似て負けん気の強い性格をしていました」と振り返る。1歳秋まで同牧場で過ごし、ホッカイドウ競馬・齊藤正弘厩舎で後期育成が施された。そして2歳6月のデビュー戦では、2着馬に7馬身をつけるぶっちぎりの勝利を挙げ、素質馬が集う道営2歳馬の中でも一目置かれる存在となる。その後、地元の重賞では結果が出なかったが、10月に遠征した盛岡の「知床賞」で重賞初勝利。つづく川崎の「ローレル賞」は8着に敗れたものの、今回の重賞2勝目で『グランダム・ジャパン2014』2歳シーズン総合チャンピオンも狙える位置につけた。

 「この調子でシリーズ優勝できたら最高ですね。兄姉と同じくデビュー勝ちのあとに苦しんでいたので、血統的なものかなぁ…と心配していたのですが、杞憂に終わってホッとしています。実際にパドックで見ると馬体重以上に大きく見せる馬で、レースではまだ幼い面も見せていますから、さらに成長して来年以降も頑張ってくれるとことでしょう。期待しています」とミラクルフラワーにエールを送る加野さん。遠征先でも力を存分に発揮できるのは、生まれ持った心身の強さの証。大晦日の大井競馬場で、ミラクルが起きるかもしれない。