重賞ウィナーレポート

2013年09月19日 園田プリンセスC(GDJ)

2013年09月19日 園田競馬場 晴 良 ダ 1400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:カクシアジ

プロフィール

生年月日
2011年04月17日 02歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:5戦3勝
総収得賞金
9,028,000円
スウェプトオーヴァーボード(USA)
母 (母父)
ビフォーダーク  by  キングカメハメハ
馬主
(有) 下河辺牧場
生産者
下河辺牧場 (門別)
調教師
田中 淳司
騎手
川原 正一
  • カクシアジの全妹ビフォーダーク2012(牝1歳、父スウェプトオーヴァーボード)
    カクシアジの全妹ビフォーダーク2012(牝1歳、父スウェプトオーヴァーボード)
  • .姉と同じく負けん気の強い性格をしている
    .姉と同じく負けん気の強い性格をしている
  • カクシアジの生まれ育った下河辺牧場の厩舎
    カクシアジの生まれ育った下河辺牧場の厩舎
  • 下河辺牧場の育成スタッフ
    下河辺牧場の育成スタッフ
  • 下河辺牧場の看板
    下河辺牧場の看板

 今年も『グランダム・ジャパン2013』2歳シーズンが開幕。2011年生まれの牝馬たちによるフレッシュな戦いが、大晦日の「東京2歳優駿牝馬(大井1600m)」まで続いていく。そのオープニングを飾ったのは、園田競馬場1400mを舞台に行われる「園田プリンセスカップ」。昨年は、当レースを制したカツゲキドラマが『グランダム・ジャパン2012』2歳シーズンのチャンピオンに。また一昨年の当レース優勝馬アスカリーブルは、2歳シーズン2位、3歳シーズン2位、古馬シーズン総合優勝と、3年連続で『グランダム・ジャパン』シリーズを盛り上げている。

 今年、その重要な一戦を制したのは、ホッカイドウ競馬からの遠征馬カクシアジ。最内枠を利してハナを奪い、終始ライバルのプレッシャーを受けながらも、直線ではさらに後続を突き放す快走を披露。「カクシアジ、初重賞ごちそうさまゴールイン!」の実況とともに、先頭でゴール板を駆け抜けた。

 カクシアジの生まれ故郷は、日高町の下河辺牧場。今年の桜花賞馬アユサンを初め、ダッシャーゴーゴー、レッドスパーダ、ダノンシャーク、ヒラボクディープなど、現役の重賞馬を並べただけでも豪華なラインナップが並ぶ。過去には三冠牝馬スティルインラブや、オークス馬ダイワエルシエーロ、快速馬サンアディユなど、多くの名牝が本牧場から巣立っていった。

 「向正面でムチが入っていたので、一時は失速してしまうかと心配しましたが、最後までしぶとく伸びてくれましたね。初コースでふわふわしていた分、川原騎手がムチを入れたみたいです。2歳にして初めての長距離輸送も克服し、改めてすごい牝馬だと思います」とレースの感想を語ってくれたのは、現地まで応援に出向いていた下河辺隆行さん。初遠征、初コースで初重賞制覇と、初モノづくしのレースを無事に終えた愛馬に労いの言葉を寄せる。

 カクシアジが牧場で過ごした時代について伺うと、「母の初仔だったので馬体は大きくありませんでしたが、気の強さを秘めていました。競走年齢に達し、それが闘争心につながっているように思います。天性のスピードは、父スウェプトオーヴァーボード譲りでしょうね」と振り返る。いくつもの広い放牧地を構える同牧場で十分な運動を促し、心身ともにたくましく育ったそうだ。

 カクシアジの祖母のインゴットは、2004年の紫苑ステークスに優勝し、秋華賞(G1)(優勝馬スイープトウショウ)へも駒を進めた活躍馬だった。そして母のビフォーダークも、父にキングカメハメハを持つ同牧場で生まれた期待馬だったが、ケガのため未出走のまま繁殖入り。その無念を晴らすべく、初年度から3年連続でスウェプトオーヴァーボードが配合され、初仔として誕生してきたのがカクシアジだった。現在牧場では、カクシアジの全妹に当たる1歳馬が元気に放牧地を駆け回っている。「1歳の妹も普段はおとなしいのですが、姉のカクシアジと似て負けん気の強い馬です。体もまだ小さいのですが、食欲は旺盛。素軽い走りは父の良いところが現れていますね。これから乗り慣らしを始めます」と全妹を紹介。姉の活躍によりデビュー前から注目を集めることになりそうだが、厩舎前をウォーキングする脚さばきは力強く、その姿を眺めていると、少し気は早いが姉妹重賞制覇への期待も高まってくる。

 「カクシアジには、当牧場の先輩グレイスティアラ(エーデルワイス賞(G3)、全日本2歳優駿(G1)、兵庫チャンピオンシップ(G2)優勝)のように、2歳、3歳の大舞台で活躍できる馬になってほしいと願っています」とエールを送る下河辺さん。410kg台の小さな馬体に秘められた隠し味は、まだまだ奥が深そうだ。名門牧場からまた1頭、名牝への道を歩む馬が誕生してくる予感がする。