重賞ウィナーレポート

2013年04月29日 留守杯日高賞(GDJ)

2013年04月29日 水沢競馬場 晴 良 ダ 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ハードデイズナイト

プロフィール

生年月日
2010年03月28日 03歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:13戦3勝
総収得賞金
38,640,000円
サウスヴィグラス(USA)
母 (母父)
プロフュージョン  by  ジョリーズヘイロー(USA)
馬主
(有) グランド牧場
生産者
グランド牧場 (静内)
調教師
佐々木 仁
騎手
山崎 誠士
  • ハードデイズナイトの従妹に当たるザデイ2012(牝1歳)
    ハードデイズナイトの従妹に当たるザデイ2012(牝1歳)
  • ザデイ2012の父は同牧場生産の天皇賞馬スズカマンボ
    ザデイ2012の父は同牧場生産の天皇賞馬スズカマンボ
  • グランド牧場にあるスズカマンボ像
    グランド牧場にあるスズカマンボ像
  • 今年の日高地区は桜の開花が遅く、グランド牧場敷地内の桜も5月中旬にようやく満開
    今年の日高地区は桜の開花が遅く、グランド牧場敷地内の桜も5月中旬にようやく満開
  • グランド牧場
    グランド牧場

 ハードデイズナイト。
 ビートルズの名曲を馬名とする牝馬が、「グランダム・ジャパン2013」の舞台で躍進した。

 水沢競馬場で行われた「グランダム・ジャパン2013」3歳シーズン第5戦「留守杯日高賞」は、地元・岩手の馬が7頭、笠松からの遠征馬が4頭、そして唯一南関東から遠征のハードデイズナイトを加えた12頭による争い。地元重賞2勝を含む4連勝で臨んできたブリリアントロビン(水沢)と、第3戦の「ル・プランタン賞(佐賀)」を快勝して3歳シーズンのポイントトップに躍り出たエイシンルンディー(笠松)が人気を分け合う中、少し離れた3番人気に支持されたハードデイズナイトが果敢に先手を奪い、そのままゴールまで楽に逃げ切って5馬身差の圧勝を収めた。

 ハードデイズナイトの生まれ故郷は、グランダム・ジャパンシリーズで幾度となくその名前を耳にしてきた新ひだか町静内のグランド牧場。昨年は3歳シーズンの桜花賞をコテキタイが、2歳シーズンのエーデルワイス賞(Jpn3)をハニーパイが優勝。今年も3歳シーズン第2戦の桜花賞をイチリュウが制しており、その勢いは加速する一方だ。

 「2歳5月のデビュー勝ちから1年が経ち、着実に成長してきましたね。ハミを替えて、調教の成果も十分出たようです。マイルまでの距離が合っていそうですね」とハードデイズナイトのレースを振り返ってくれたのは、グランド牧場の伊藤佳幸社長。この春は大舞台で生産馬の活躍が目立ち、大井の東京スプリント(Jpn3)をラブミーチャン(笠松)が優勝、またホッカイドウ競馬からJRAに移籍したストーミングスターがニュージーランドトロフィー(G2)で僅差の3着に入り、NHKマイルC(G1)へも駒を進めた。ハードデイズナイトもデビューの地は門別。ホッカイドウ競馬デビューから全国区へというグランド牧場生産馬のゴールデンロードが確立しつつある。

 「初仔だったので馬体はやや小さかったですが、サウスヴィグラスの産駒らしく筋肉質でパワーを感じさせていました。扱いやすい面は母と一緒で、順調に育ちました」とハードデイズナイトの牧場時代を伝えてくれたのは、同牧場の中間育成マネージャーを務める鈴木詠介さん。母のプロフュージョンも同牧場の生産・所有馬で、現役時代は南関東で5勝を挙げる戦績を収めた。6歳で競走生活を退き、サウスヴィグラスとの配合で初めて産み落とした仔がハードデイズナイトだったのだ。

 さらに母系を遡ると、ハードデイズナイトの祖母に当たるウエイアウト(米国産)もグランド牧場の所有馬として中央競馬でデビューし、新潟芝1200m戦で1勝を挙げている。5代母にはケンタッキーオークス馬Native Streetがいて、その一族からはジャパンカップダート(G1)の勝ち馬フリートストリートダンサーも出ている優秀なファミリーだ。「着実に実績を残している母系で、プロフュージョンも良いお母さんになりました。生まれてくる仔は総じて体型が良く、利口で人間の手を煩わせないのが特徴です」と鈴木さんも太鼓判を押す。

 ウエイアウトの4番仔に当たるプロフュージョンは、ハードデイズナイトを生んだ翌年に父セイントアレックスの牡馬を誕生させており、グランドファイヤーと名付けられて、こちらもホッカイドウ競馬からデビュー予定。また、ウエイアウトの3番仔ジャズカーニバル(牝13歳、父マヤノトップガン)、7番仔ザデイ(牝7歳、父シンボリクリスエス)もJRAで勝利を挙げたのちに牧場へ戻って繁殖生活を送っており、その優秀な牝系はグランド牧場で大きく枝葉を広げ続けている。

 中でも牧場の夢を膨らませてくれているのが、昨年生まれたザデイの初仔(牝1歳)。父は天皇賞馬スズカマンボで、父母共にグランド牧場生産の活躍馬ということになる。「初仔にしては立派な体つきをしています。父スズカマンボは今年G1馬(オークス馬メイショウマンボ)を出しましたし、母系も優れているので楽しみです。父からスタミナを、母からスピードを受け継ぎ、クラシックを意識できる馬へと成長させていきたいですね」と鈴木さんも意気込んでいる。

 「ハードデイズナイトは、これからどんな走りを見せてくれるか楽しみです。同世代の生産馬イチリュウとともに、次走以降も良い結果を出して欲しいですね」との期待通り、6月3日に大井競馬場で行われた「優駿スプリントトライアル」を快勝して連勝を収めたハードデイズナイト。その先には、同牧場出身で同じ父を持つ快速牝馬ラブミーチャンとの対戦も…とファンの夢は広がる。偉大な先輩の後を受け継ぎ、地方競馬を牽引していくような活躍にも期待したい。