2013年04月25日 東京プリンセス賞(GDJ)
優勝馬:カイカヨソウ
プロフィール
- 生年月日
- 2010年04月01日 03歳
- 性別/毛色
- 牝/鹿毛
- 戦績
- 国内:8戦6勝
- 総収得賞金
- 103,900,000円
- 母 (母父)
- マチカネヤマザクラ by エリシオ(FR)
- 馬主
- (有) キャロットファーム
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 川島 正行
- 騎手
- 今野 忠成
4月24日、25日と大井競馬場を舞台に南関東3歳クラシックが行われ、24日の羽田盃はアドマイヤドン産駒のアウトジェネラルが、25日の東京プリンセス賞はティンバーカントリー産駒のカイカヨソウが制した。この2頭は、非常に共通点が多い。2010年にノーザンファームで生まれ、廣森久雄厩舎(認定厩舎ノーザンファーム)所属としてホッカイドウ競馬でデビュー。そして秋に揃って船橋の川島正行厩舎へ転厩し、2頭揃って南関東クラシックを制覇したのである。
これほどまでに同じ釜の飯を食い続けてきた馬が2夜連続で重賞に勝ったことだけでも奇跡的なことだが、この2頭にはもう1つ大きな共通点がある。それは育成を担当し、認定厩務員として常に付き添ってきた人物が同じなのだ。そのホースマンは、ノーザンファーム空港牧場の島田崇厩舎長である。
「羽田盃には、同じくノーザンファーム生産でホッカイドウ競馬出身のジェネラルグラントも1番人気で出走していました。前哨戦の京浜盃ではジェネラルグラントに完敗していたのですが、距離が少し伸びる羽田盃はアウトジェネラルにも逆転のチャンスがあると思っていました。カイカヨソウもクラシック第一弾の桜花賞では力が出し切れなかったのですが、いい状態で出走してくれれば結果はついてくると信じて見ていました」と島田さんはさらっと話すが、牡馬と牝馬の育成を同一人物が手がけるのは難しく、ノーザンファーム空港牧場でも珍しいケースだという。心身共にタフな牡馬に比べて、牝馬はちょっとしたことで体調を崩すこともあり、それぞれに別の気を使わなければならないことに加え、同じ調教メニューを組むことができないからだ。必然的に仕事量は増えることになる。
「育成を行っていた頃のカイカヨソウは、普段からテンションが上がりやすく、調教の際にはメンコを付けるようにしました。すると、馬自身がメンコを付けた時と取った時とで気持ちの切り替えができるようになり、そのうちリラックスして走れるように変わっていったんです」と、これからの南関東競馬を背負っていくだろう牝馬の育成秘話を教えてくれた。
カイカヨソウが制した東京プリンセス賞は、「グランダム・ジャパン」3歳シーズンの第4戦にも組み込まれており、桜花賞で先着を許したイチリュウやアステールネオも出走していた。そんな中でも1.8倍の圧倒的な支持を得たのは、ファンも島田さんと同じ気持ちでレースを見守っていたからだろう。
「ホッカイドウ競馬にいた頃から、距離があった方が競馬がスムーズでしたし、脚質的にも広いコースの方が向きそうだと思っていました。大井競馬場の不良馬場も東京2歳優駿牝馬で克服していましたし、状態も含めて不安なくレースを見ることができました。最後の直線では前が壁になってどこを抜けだしてくるのかと一瞬心配しましたが、今野騎手がインコースに進路を向けた時には大丈夫だと思いました。イチリュウとの叩き合いも、馬の手応えが違っていたので、ゴール手前では勝利を確信しましたね」とレースを振り返る。
東京プリンセス賞のあと、カイカヨソウの次走が東京ダービーになることが陣営から発表された。「自分たちが育ててきたカイカヨソウとアウトジェネラルが、揃って東京ダービーに出られることをとても嬉しく思います。当然ジェネラルグラントも出てくるでしょうし、ノーザンファーム生産のホッカイドウ競馬出身3頭が、大舞台でどんなレースをしてくれるか今から楽しみです」と期待をかける。
ノーザンファーム生産・育成のホッカイドウ競馬出身牝馬といえば、一昨年の東京ダービー馬クラーベセクレタを思い起こさせる。偉大な先輩の後を継ぎ、史上6頭目の牝馬による東京ダービー制覇となるか。大注目の一戦は間もなくだ。